尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.34

2020/12/16

深セン個人破産条例の重要ポイント(5・完)

 

Q13:個人破産手続の管理人の確定方法は?

A:企業破産手続と同じく、個人破産手続における管理人は、破産事務管理部門が認可した弁護士、公認会計士及びその他法律、会計、金融等の専門資格を有する個人又は仲介サービス機構が担当する。

 個人破産手続において、債権者による推薦又は破産事務管理部門による指名の2つの方式で管理人を確定する。複数の債権者が複数の管理人人選を推薦した場合、裁判所が最終の管理人を確定する。注意すべきなのは、「個人破産条例」は、管理人を推薦する債権者の債権性質、金額及びその割合等について規定を置いていないため、実務において問題が生じる可能性がある

 

Q14:個人破産を受理する前にすでに弁済を受けた債権は返還すべきか?

A:通常、破産申請が提出される前の6ヵ月以内に、債務者が個別の債権者に対して弁済を行った場合、又は破産申請が提出される前の2年以内に、債務者がその親族及び利害関係者に対して個別弁済を行った場合、管理人は裁判所にこれを取り消すよう請求する権利を有する。即ち、債権者は前述の状況下で個別弁済を受けたものを返還しなければならない。但し、個別弁済により債務者の財産に利益をもたらした場合や、債務者の正常生活に必要である場合を除く。

 「個人破産条例」は、債務者が訴訟、仲裁、執行手続を経て上記の期間内に債権者、親族又は利害関係者に対して行った個別弁済行為を取り消すことができるか否かについて明確に規定していない。

 

Q15:債権者は、債務者が個人破産手続を利用して債務から逃れていることを確認した場合、どのような救済措置を講じることができるか?

A:債務者が個人破産手続を利用して債務から逃れていることを、債権者が確認した時間によって、それぞれ次の5つの方法を講じて救済することができる。

① 裁判所による破産申請の審査段階で、債権者は裁判所に破産申請を受理しないよう申請することができる。

② 裁判所が債務者の破産申請を受理したが、まだ破産を宣告していない段階で、債権者は裁判所に破産申請を却下する裁定を下すよう申請することができる。

③ 更生計画の執行期限において、債権者は裁判所に債務者の更生計画の執行を終了し、かつ債務者に対して破産清算を行うよう申請することができる。

④ 裁判所が債務者の未弁済債務の免除を裁定した後、債権者は裁判所に未弁済債務の免除の裁定を取り消すよう申請し、債務者に対して債務の弁済を請求することができる。

⑤ 債権者は何時でも裁判所に法により債務者に対して訓戒、勾引、過料、拘留処分を行い、債務者の犯罪行為に対して刑事責任を追及するよう申請することができる。

 

本文参考資料:
1. 深圳市中级人民法院 《敢闯敢试!深圳个人破产条例的破冰之旅》
2. 深圳市人大常委会法工委《深圳经济特区个人破产条例》解读
3. 池伟宏《深圳个人破产条例不得不了解的15个问题》

 


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尹秀鍾 Yin Xiuzhong尹秀鍾 Yin Xiuzhong
卓建律師事務所深圳本部 パートナー弁護士、法学博士 (慶応義塾大学)

【主な業務領域】
外商投資、移転/撤退、知財侵害

 

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