尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.45

2021/06/02

不正競争防止法における不正競争行為

 次のような行為は、中国で許されるのでしょうか。

・有名ブランドの包装をまねて、そのブランドの商品であると誤認させて商品を売ること
・商品の性能について、虚偽の広告をして商品を売ること
・ライバル会社を撤退させるため、原価割れで大量に商品を売ること
・商品Aを買うには、Aとは無関係の商品Bも買わせること

 

 これらの行為は、不正競争防止法違反となる可能性があります。「不正競争行為」とは、経営者が生産経営活動において、不正競争防止法に違反し、市場競争秩序を乱し、他の経営者又は消費者の合法的な権益を損なう行為です。不正競争防止法は、主に以下の行為を不正競争行為として定めています。

 

1)他人の商品、又は他人と特定関係があると誤認させる混同行為

a.他人の一定の影響がある商品名、包装、装飾などと同じ又は類似する標識を無断で使用する
b.他人の一定の影響がある企業名称(略称、商号を含む)、社会組織名称、氏名(ペンネーム、芸名、訳名などを含む)を無断で使用する
c.他人の一定の影響があるドメイン名の主体部分、ウェブサイトの名称、ホームページなどを無断で使用する
d.他人の商品、又は他人と特定関係があると誤認するに足りるその他の混同行為

 

2)商業賄賂行為

経営者が財物又はその他の手段で賄賂行為を行なうことにより取引機会又は競争上の優位を
図ることは禁止されます。

 

3)虚偽宣伝などの行為

経営者は、その商品の性能、機能、品質、販売状況、ユーザーの評価、受領した栄誉などに対して虚偽又は誤解され得る商業宣伝を行い、消費者を欺瞞、ミスリードしてはなりません。
経営者は虚偽の取引を組織することなどを通じて、他の経営者の虚偽又は誤解され得る商業
宣伝に協力してはなりません。

 

4)営業秘密の侵害行為

営業秘密とは、公知ではなく、商業価値を有し、かつ権利者が相応の秘密保持措置を講じた技術情報、経営情報等の営業(商業)情報をいいます。

 

5)不当景品付き販売行為

以下の景品付き販売行為は禁止されます。
a.設置した景品の種類、交換条件、景品金額又は景品などの景品付き販売情報が明確ではなく、景品の交換に影響する
b.景品付きと偽り、又は故意に内定者に当選させるような欺瞞的な方法により景品付き販売を行う
c.抽選による景品付き販売で、景品の最高額が5,000元を超える

 

6)虚偽情報又は誤解され得る情報を捏造し、これを流布することにより競争相手の商業上の信
用、商品の名誉に損害を与える行為

 

7)技術手段を利用して、ユーザーの選択を影響すること又はその他の方式を通じて、他の経営者が合法的に提供するオンライン製品又はサービスの正常運行を妨害し、破壊する行為

不正競争防止法に違反した経営者は、他人に損害をもたらした場合、法により民事責任を負います。また、不正競争行為とその情状によって5万元以上500万元以下の過料等が科せられます。なお、不正競争防止法に違反し、刑事犯罪を構成する場合は、法により刑事責任を追及されます。

 


zhuojian

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尹秀鍾 Yin Xiuzhong尹秀鍾 Yin Xiuzhong
卓建律師事務所深圳本部 パートナー弁護士、法学博士 (慶応義塾大学)

【主な業務領域】
外商投資、移転/撤退、知財侵害、紛争解決

 

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