深センものがたり第40回

2021/11/03

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　客家人（ハッカ）は、11世紀頃の北宋時代に、戦いを避けるため華北から長い年月をかけ、江南、福建、華南へ移住した正統な漢民族である。※一部は、広西省や四川省、台湾や東南アジアへも移住。

　客家人の人口は、海外も含め１億２千万人、日本の人口に匹敵する。

　歴史上には、著名な思想家、革命家、政治家が多く、文化の継承にも長けている。主に客家語（唐宋時代の漢民族語）を話す。

〜客家の音楽〜

スクリーンショット 2021-11-02 091311 　客家の音楽には、興国山歌、梅州客家山歌、福建省西部客家十番音楽、広東漢楽など国家級の無形文化遺産がある。他にも、竹の板歌、広東省西客家の”恋の唄“などもある。

　客家山歌とは、客家人の民謡である。客家人が住む地域では、古くから客家山歌が唄われている。大自然を舞台に、客家人たちは感情豊かな歌を長い年月にわたり歌い続けている。歌詞は客家語である。

　このコラムでお聴かせできないのは誠に残念であるが…、とても情の深い歌詞であり、心に響くメロディーなのだ。

　客家の子孫である老人たちは、今も華南の山岳地帯で山歌を唄いながら素朴な生活を守っているという。

〜客家の芸術〜

スクリーンショット 2021-11-02 091356 　深センにはいくつかの客家人が住む古い集落があり、その中のひとつ、龍華区観ラン牛湖にある版画村は、「深センで一番美しい村」と言われている。近代中国の木版画の先駆者、有名な版画家、美術評論家の故郷である。家は典型的な客家の排屋形式であり、版画村の周囲は緑の木々で覆われれいる。村の前には一面に油菜畑があり、1月から3月は最高の鑑賞期間だ。

　南方独特の趣のある建物に版画芸術の基地がある。ここは静かで落ち着く場所だ。周囲には草花が咲き、蓮の池がある。絶好の撮影ポイントであるが、くれぐれも静かに訪れていただきたい。

〜客家のファッション〜

スクリーンショット 2021-11-02 091410 　客家人の伝統的な男女の衣服は”衫裤（スーツ？）“と呼ばれる。女性は上服に”围裙（エプロン？）“ を着けて、胸元から膝までを覆い、汚れから衣服を守る。

　ちなみに若い女性のデザインは装飾が多く、カラーもビビット系。中高年の女性はシックなトラッド系を好む。共に機能性を重視した動きやすさが重要なポイント。下衣（スラックス？ズボン？）の特徴は、股上が深く、ウエスト部分から裾までストレート裁断で、全体的に幅広である。これは通気性と運動性を考慮した機能的デザインである。

　夏服は通気性を保つ生地のシングルスタイル、冬服は防寒のためにダブル仕立てで綿入れタイプ。

　また、帽子も女性の衣服の一部という考えで、夏の帽子は”涼帽“、秋冬の帽子は”冬頭帕“という。客家人独特の帽子ファッションである。

スクリーンショット 2021-11-02 091435 　客家の服飾の歴史は長く、唐の末と二宋の時期に中原戦乱のため中国の南へ移動。客家の先民は中原文化の優れた芸術と共に保ち続けてきたのだ。各地域の先住民の文化と絶えず融合し、文化芸術を形成し、服飾も例外なく、伝承と発展を得て、シンプルでありながら、粋で、快適で、丈夫で、独特な客家のファッションをクリエイトしている。