総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:がんでは死ななくなる

2021/11/24

健康コラム がんでは死ななくなる

 健康診断シーズンともいえる今の時季、日本全国でバリウム検査も盛んに行われていることでしょう。およそヒトの飲み物とは言えないドロドロの液体を飲むのはとても辛いものです。それに比べると鎮静剤を使った内視鏡検査はとても楽であり、早期がんの発見にも断然有利です。死亡者数が増えている大腸がんも、内視鏡検査を数年に一度でも受けておけばとても安心です。がんも早期発見さえできれば怖い病気ではありません。胃や大腸のほか子宮頸がんや前立腺がんなど、ごく早期に発見できて、完治の可能性が高いがんもいくつもあるので、検診は受けておくべきものと考えます。早期発見できずにステージが進んでしまうと、治癒率が極端に落ちてしまうのががん治療の難しさです。私たちが最も恐れる病気のひとつががんです。しかも2人にひとりが罹患するといわれており、その早期発見と完治を目指していかに治療するかは、人類にとって永遠の課題であるかに思えたものでした。しかし、とても嬉しいことに今後20年もすると、がんは死なない病気になるというのはほぼ確実なようです。すでにがんの治療成績は急速に高くなってきており、ある程度進んでしまったがんでも治癒できるケースが増えているのです。

 

新しい治療薬

 私たちは「分子標的薬」と「免疫チェックポイント阻害薬」というがんに対抗するためのふたつの強力な武器を手に入れています。分子標的薬は1980年ころから盛んに開発されるようになった、抗がん剤に替わると期待されるがん治療薬。がん細胞が持つ特定のタンパク質を標的にして攻撃するので、正常な細胞を傷つけてしまうことが非常に少なく、抗がん剤につきものの辛い副作用が表れにくい薬です。一方、免疫チェックポイント阻害薬は2014年に世界初の免疫治療薬として日本で承認されました。創薬にかかわった中心人物はノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生です。がんは十数年後には糖尿病や高血圧症のように、薬でコントロールできる慢性疾患と同等の扱いになると予想しているのが本庶先生。現在のがん治療は人々が思っている以上に、すさまじい勢いで進歩しており、本庶先生の予想は決して誇張ではありません。近年がんの治療成績が非常に良くなっているのは、このような新しい治療薬をはじめ革新的な治療法が次々に開発され、我々が持つ「がん治療の武器」が増えているからです。さらにがん検診の受診や自己検診を積極的に行うなど、早期発見への人々の意識の高まりがその理由に挙げられます。

 

がんで死ななくなると

 がんが死の病でなくなるのはとても喜ばしいのですが、その一方で平均寿命がおよそ8歳も延びて、高齢化社会の問題がとても大きくなるのです。仮に現時点でがん死亡がなくなると、日本人女性の平均寿命は95歳、男性でも90歳を超えてしまい、おそらく100歳以上の人口は現在の数倍にまで膨れ上がるのではないでしょうか。人生100年などと言われてきましたが、まさに現実のものとなって、誰もが自分のこととして超高齢化社会の問題と真剣に向き合わなければいけなくなります。医学が進歩して、これまで多くの人々を苦しめてきた病気に関しても次々と治療法が見いだされ、今後も疾病死亡が少なくなっていくに違いありません。もちろん誰もが死に向かって生きているので、必ず最期がやってきます。これからはどのような最期を迎えるかが大きな関心事となるわけであり、誰もが死に向かっての課題を背負わされているともいえそうです。残念ながら老化は現代医学では止められません。

 

100歳になってもトイレを使えるように

 いくら元気に長生きできても、老化は確実に進みます。老化というとしわやシミなど外見的なものを気にしますが、そんなことはどうでも良いのです。足腰の運動機能や脳の機能低下が大きな問題になります。このうち脳の問題の解決は現代の最新医学をもっても極めて難しいのですが、運動機能に関しては本人次第で大きく変えることができるのです。足腰は年齢とともに確実に衰退しますが、本人の努力でそのスピードを緩め、結果的に死ぬまで歩行できる運動能力の維持が期待できます。歩けなければトイレにも行けません。下の介助を必要とするのかどうかは、本人のみならず家族など周囲にとっても大問題です。100歳になっても自分でトイレに行ける、たったそれだけの運動機能を維持するためにも、少しでも若い時からの準備が必要です。特別な運動がいるわけではありませんが、とにかく歩きましょう。階段があれば積極的に利用するべきです。歩ける距離ならぜひ歩いてください。少々疲れるのは当たり前です。そのような日常の積み重ねは、いつまでも健康を維持して満足な最期を迎える準備になるのです。

 少しくらい動いただけでは汗が出ない快適な季節を迎えました。乾燥した爽やかな風を受けながら、今こそ身体を動かしましょう。少し大股で、早歩き。背筋を伸ばしてカッコよく歩きたいものです。歩く速度と老化は比例します。頑張ってください。


堀様1 藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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