総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:お酒の知識

2022/01/26

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新型コロナの流行は、およそ2年にもわたって続いており、いまだに収束する目途が立たない状況です。この流行は我々の仕事や日常生活に大きな影響を与えてきましたが、中でも飲食習慣に関しては劇的な変化をもたらしたのではないでしょうか。外食が当たり前だった人たちにとっては辛いものかもしれませんが、飲酒の機会が減って減量できたという声も少なくありません。一方でコロナ禍とはいえ既にかなりの飲酒量になって、頭の隅で健康への影響を心配しているにもかかわらず相変わらず飲み続けている人もいるのではないでしょうか。
さて、クリスマスから春節までは特に飲酒の機会が増える時期です。飲酒は緊張を解き気分を高揚するなどして、コミュニケーションを図るうえでも都合が良いものですが、その一方で飲み過ぎは健康を損ねる危険性があることはもちろんのこと、様々なトラブルの引き金となってしまうことさえあります。諸刃の剣ともいえるお酒は、いくら好きだといってもその特性を理解してたしなみたいものです。

お酒の歴史
ヒトは元来飲酒することはありませんでした。自ら好んで酒を飲む動物はまずいないことからもこのことは理解できますね。ヒトが発見した「アルコール」は恐らく偶然の産物でした。この新しい発見を機に、酒類を利用し文化にまで昇華させることができたのは、ヒトが著しく進化した生物であったからにほかなりません。人類が最初にアルコールを手にしたのは1万数千年前。蜂蜜がたまたま発酵したものだったそうです。その後、米や果実を原料としてアルコール飲料を醸造するようになったのは紀元前7000年ころ、中国中央部ではないかと考えられています。またエジプトでは紀元前2700年ころにはワインやビールが飲まれていたという記録が残されています。ピラミッド建設の労働者にビールが支給されていたという話は有名です。日本では、稲作が始まった弥生時代になって酒が飲まれはじめたという説がありますが、はっきりとしたことはいまだにわかっていません。それでも奈良時代から平安時代には豊作祈願の神事などに酒が盛んに用いられたことがわかっており、この頃から日本酒が神聖なものとして扱われるようになってきたのではないかと考えられています。

アルコールの作用
アルコールには精神的、肉体的な作用があります。精神的な作用として知られているリラックス効果は、その薬理作用で理性を司る大脳新皮質の働きを低下させ、普段は抑制されている本能的な言動を支配する旧皮質が有意となることで得られます。適度な飲酒であれば心地よい気分になれることから、アルコールは「人類が手にした最初の向精神薬」ともいわれています。この精神的作用は、血中のアルコール濃度に比例して大きくなります。適量であれば緊張が解けコミュニケーションを円滑にするので、人間関係にもプラスの効果が期待できますが、それを超えると理性が失われたり、感情の抑制ができなくなったりして、時にはトラブルの原因になることさえあります。大事ではなくとも、お酒の上での失敗は多くの人が経験していることでしょう。また肉体的な作用としては心拍数や呼吸数の増加に始まり、やがて千鳥足になるなど歩行にも支障が出ます。さらには平衡感覚を完全に失って立つことすらできなくなってしまいます。極度に血中濃度が増すと、最後は呼吸停止して死に至ります。

健康に及ぼす影響
アルコールの効果を期待する人もありますが、残念ながら間違いなく身体に負荷をかけるものです。飲酒に伴っておきる急性の身体的影響(心拍数増加~歩行困難、あるいは急性中毒など)とは異なるものとして、慢性的な影響(高血圧症、脂質異常症、糖尿病、痛風といった生活習慣病)のリスクを高めてしまうことも明らかです。これらは肥満との関連でも共通しています。肥満は飲酒自体が直接的な原因になるというより、長時間にわたる飲酒では、食べる量も増えて摂取カロリーが増加するのが原因でしょう。
では、がんとの関係はどうなのか。国立がん研究センターによれば、毎日飲酒していても、その量が日本酒換算で2合未満に留まっているのであればリスクが高くなるとは言えないとしています。ただし飲酒に喫煙が加わるとそのリスクが格段に高まることもはっきりとデータに現れているとのこと。喫煙時に発生するタール成分などがアルコールに溶け込み、発がん物質が余計に体内に入ってしまうのです。少なくともタバコを吸いながらの飲酒はやめておいたほうが良さそうです。

お酒が一段と美味しく感じられる季節でもあり、ついつい飲酒量が増えてしまうことは仕方がないのかもしれません。楽しくお酒を飲みたいと思っている気持ちに水を差す気はありませんが、お酒は自分が最も気持ち良く飲める量を、少しは意識して飲みたいものです。平均寿命が延びて人生は長くなっているのに、あえて自身の余命を縮めることはありません。いつまでも長く楽しく飲めるのは、飲兵衛にとっては最高の人生。「酒は飲むもの、飲まるるな」幾度となくグラスを傾けても決して忘れてはいけない格言として、心に刻んでおきたいですね。


堀様1 藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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