僕の香妻交際日記 第70回 香港でヘルパー探しに困っている方へ

2022/02/09

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我が家では3年前に娘が誕生して以来住み込みのヘルパーを雇うようになったのだが、いかんせんこのヘルパー運に恵まれていない。先日見たテレビ番組でも「良いヘルパーを見つけるのは六合彩(宝くじ)で当選するのと同じくらい難しい」と言っていたが本当にその通りなのだから…泣けてくる。

初めてのヘルパーはフィリピン人のアリン。当時35歳くらいで夫とは離婚したため息子の養育費を支払うために香港へやってきたとのこと。履歴書を見るとヘルパーとしては珍しく一応大学を卒業していたので、多少は知識や教養が備わっているように見えた。面接時に話した感じでは、あまりおしゃべりな感じではなく謙虚にウフフと笑うタイプだったので、このような性格なら息子のために黙々と仕事に励んでくれるだろうと思い面接当日に契約書にサインした。仕事ぶりは3の上くらいだったのだが、6ヶ月後に香港の金融会社からアリン宛に借金返済の催促状が白い封筒に入れられて我が家に送られてきたので妻も私もそれはそれは驚いた。それでもアリンは良い奴だったので給料前倒しで借金返済を援助しようとしたのが、頑なに「この借金は私のじゃない、友人に騙されたものだ」と私たちのオファーを断り、逃げるように母国へと帰って行った。

アリンの突然の帰国に妻も私も大ショックを受けていたのだが、娘のことを考えると一刻も早く次のヘルパーを見つけなければいけないとアリンと同じエージェントを通してフィリピン人のマリア(当時35歳くらい、子持ち)と間もなく契約を交わした。アリンよりもハキハキと話すタイプだったので、彼女となら意思疎通がうまく取れそうだと私たちの直感を信じた…のだがそれが大ハズレだった。何が大ハズレかというと、掃除も洗濯も料理もできないひたすら飯を食らい息を吸うだけのただのヒトだったのだ。雇ってから1週間が経つ頃には妻も私も堪忍袋の緒が切れて「ええかげんにせえよ」と説教をしたところ「じゃあ今日やめます」と言いかえしてきたので、「いいわよ、1ヶ月前通知をしていないから、1ヶ月分の給与支払ってからフィリピンへ帰ってね」と伝えたところそんな金はないと言って労働局に泣きついて「雇用主に暴力を振るわれた」と嘘の供述をしてきたものだから妻も私も激おこぷんぷん丸。こちらも弁護士を雇って、証拠となる録音音声、録画動画を全て揃えてマリアの訴えを一蹴した。とはいえ、まさに悪夢のような1週間だった。
35歳くらいの子持ちなら養育費のために一生懸命に働いてくれるだろうと思っていたのだがこうもトラブルが続くとちょっと路線を変更しなければならないと、思い切ってインドネシア人のアヌー(24歳、独身)を雇うことに決めた。知識も教養もいらない、ただ健康で従順に私たちの言うことを聞いてくれる人間が必要だったのでこの若者に私たちの運命を委ねることにした。案の定、知識も教養もなかったのだが、私たちもアヌーを無垢な妹だと思って優しく接した。24歳にしてはそれなりに頑張っていたのだが、2ヶ月おきくらいに謎の行動を起こすようになり、徐々に雲行きが怪しくなっていった。6ヶ月を過ぎたくらいからは、いよいよ会話のすれ違いがひどくなってきたので、私たちもまるで小学生を扱うかのように、毎日ダメだったこと良かったことを書かせて何とか彼女の更生を試みたのだが、2021年の旧正月に妻の堪忍袋の緒が切れた音がしてご臨終となった。アヌーもいい奴だったのだが、いかんせん無知過ぎたのが敗因だった。

もうこれ以上は失敗できないと複数のエージェントから多数のヘルパーを紹介してもらい慎重に面接を行い、最終的にインドネシア人のマリアンナ(36歳)と契約を交わした。
インドネシア人にしては珍しく英語ができて履歴書も面接の印象もこれまでで一番良かった。実際に彼女の働きぶりは5段階評価の4くらいでようやくヘルパーらしいヘルパーが我が家にもやってきてくれたと妻も私も安心した。そして、順風満帆に早6ヶ月が経った先日、郵便受けに真っ白な封筒がアリアンナ宛に届いた。この封筒、妻も私もどこかで見覚えがあるなと一瞬嫌な予感がしたのだが、まさかね…と私たちはお互いに言い聞かせながらその白い封筒を片手にエレベーターに乗り込んだのだった…
私たちのヘルパーとの闘いはまだまだ続く。


ルーシー龍ルーシー龍(りゅう)

東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

 

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