広東人の話し方・習慣

2022/03/23

スクリーンショット (815)広東語(Cantonese)は漢チベット語系漢語族の声調言語で、主に広東、広西、香港、マカオなどの地域で使われている言語だ。古代の中原地区で話されていた雅言を起源とし、秦漢時代に広東、広西の両エリアに広まった後に、南越族(原住民)の言葉と融合して生まれた。
広州語は春秋戦国時代の古漢語に由来し、中国に現存する伝統的な漢語の要素が最も多い言語。
中国史の中で、華北と華中は長期にわたって異民族の侵入を受け、言語にも影響を与えた。したがって、雅言(今の広東語)は嶺南以南で、完成されたといえる。広州語は9音あり、北京語(普通話)の4音よりも古代中国語の発音に近い。
外国人として、「你好」「多谢嗮」「早晨」などの広東語を話せたら、広東人は「広東文化をよく勉強したね」と感心するかもしれないが、以下の広東語を話すことができれば、広東人は拍手したり、びっくりしたり、広東のベテランと思ったりするかもしれない。
今回は、広東人がよく使う4つの話し方を紹介する。

1.阿〇(阿+苗字/名のうちの1文字)阿発音は「あ」と同じ
広東人が使う、人の呼び方の中で、他の地方の人を最も困惑させるのはやはり「阿」の冒頭の呼称。でも、広東人にとっては、普通話の「小明、小紅」(普通話に小+姓はよく使う)、日本語の「ちゃん」と同じで、よく使う口で、仲の良い人に対する呼び方。これは上司や取引先などには使えず、部下や友人、後輩などによく使われる。
また、親族の中でもよく使われる。例えば「阿公/阿爷=おじいさん」、「阿嫲/阿婆=おばあさん」「阿叔=おじさん」、「阿婶=おばさん」。広東で、「阿~」と呼ぶと、一般的には仲の良い関係か、相手が良好な関係を築きたいと思っている証。しかし、広東省以外の人は、実はこのような呼び方があまり好きではなく、地味な感じがして、そのまま本名を呼んだほうがいいと思う人が多いようだ。それでも、広東人がこの習慣で人を呼ぶのを阻止することはできない。広東に来たら、この呼び方で人を呼んだほうがいいだろう。
たまに、広東人は洋風な英語名に「阿~」をつけて呼ぶケースもある。例えば“ken、ben、jane……”など、広東では「阿肯=アケン、阿笨=アベン、阿珍=アジェーン……」になる。

2.靓仔/靓女
二つ目は中国人の若者、男女問わずみんなが大好きな「靓仔、靓女」。「靓仔」の意味は「かっこいい男の子」で、「靓女」は「きれいな女の子」である。
初めて広東省に来た人は、街で「靓仔、靓女」と呼ばれると、うれしくなって「自分がかっこいい/きれいだからそう呼ばれたんだ」と思う人がとても多いだろう。けれど、広東の街中では、太っていても痩せていても、背が高くても低くても、例え50歳でも、「靓仔、靓女」と呼ばれる。つまり、容姿とはまったく関係なく使われる表現なのだ。日本語の「あの、すいません」とニュアンスがよく似ており、人に話しかける時になんと話しかければいいかわからないから「靓仔、靓女」と呼びかけるのだ。これは広東以外の人がよく困惑してしまう使い方かもしれない。

3.老板
広東では、「街では誰もが老板=ボスだ」という面白い現象も見られ、一般的には年長の男性に対して、広東人は「老板、老细=ボス」と呼び、「靓仔、靓女」と同じ、実は尊称として使われている。普通話の「先生=Mr、小姐=Mrs」と同じ意味で、例えば街でチラシを配っている人は、若い男性女性に対して「靓仔、靓女、フィットネスクラブに興味ありますか」と言い、35以上の男性に対して「老板、フィットネスクラブに興味ありますか」と話しかける。
また、市場や食堂を歩いていると、人生の中でたぶん最も多い「老板」に出会うことができ、「自分はいつ老板になったんだろう?」なんて呆然とするかもしれない。けれど、「 老板」と言われると、聞く人は嫌な気はしないし、商売をする人ももちろん楽しい、誰でも広東の魅力に惹きつけられるだろう。

4.食べ物で人を罵るのが好き
広東では、上司や目上の人に叱られる時、「叉烧(チャーシュー)、蛋散(揚げ菓子)、粉腸(ソーセージ)、番薯(サツマイモ)、水魚(さかな)……」などがよく使われる。なんだかかわいく聞こえるが、広東人が人を罵る時は、このように食べ物の名前を使うことが習慣とされている。でも実際には、真剣に怒っているのである。
食べ物を使って人を罵る時、その意味が変わる。例えば、チャーシューは廃物を意味し、粉腸は大便を、水魚は詐欺師を指す。
「生嚿叉烧都好过生你=君に比べて、叉烧として生まれた方がいいね。叉烧は食べれるけど、君は廃物だから、何もできないの意味」「成旧大番薯咁,解释极都唔明=アホですね、何もわからない」、結構辛辣だが、たまに聞かれる表現だ。
この習慣に関する理由は諸説ある。その中で多くの人が思っているのは、「中国でも広東人は食べることが大好きな民族なので、人を罵る時も美食と繋がりたいと思っている」説だ。外部の人からしたら、このような悪口は優しいイメージをあたえるだろう。

以上、ところ変わればいろいろな言い回しがある。広東ならではの習慣をぜひ知っておこう。

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