エッセーの瀬!Vol.126

2022/08/10

essay (2)

~在中邦人の感賞的後日談~
音楽、文藝、料理、絵画…世の中のありとあらゆる藝術を、市井の目線から解いてゆく…
気鋭のライター4人が送る痛快リレーエッセイ


 

夏休み~この道わが旅とイゴッソ~

『この道わが旅』とは国民的ゲームソフトと名高いドラゴンクエストシリーズのBGMである。故すぎやまこういち氏によって作曲され、元はシリーズ2作目の『ドラゴンクエストⅡ悪霊の神々』のエンディングテーマであった。これは1987年に発売されたものだが、私が初めてこの曲と出会ったのはテレビアニメの『DRAGON QUEST-ダイの大冒険-』で、この作品では歌詞がついてエンディングソングとなっていた。調べてみると、このアニメが放送されていたころは90年代前半で、当時私は小学校低学年だったようだ。リアルタイムでこのアニメを観ていたのか記憶が曖昧であるが、『この道わが旅』のメロディを聞くと夏休みの記憶がよみがえる。

その頃の私の夏休みはというと、ポンキッキーズの「夏休みは~やっぱり~短い~」という歌で目覚め、少年アシベや、ダイの大冒険の再放送を観た後、ゲームボーイとかスーパーファミコンをやって、市民プールに行ったり、ソーメンやペヤングソース焼きそばを食べたり、家で獲れたトウモロコシをかじったり、自転車に乗って友達の家に行って、改造したミニ四駆で遊んだり、近くのイオン(当時Jusco)に行って、スイカのボールとか、浮き輪とか、水鉄砲、虫取り網や、虫かごに入ったカブトムシ、クワガタムシなどが満載され、夏休み全開となったおもちゃ売り場を歩き回り、親にガンプラを買ってもらったなどというものだ。なんだか大したことをやっていない気がするが、毎日ワクワクして遊びつくせないほど遊んだと思う。これこそが私にとっては二度と戻ることのない、夢のような体験であり、この先老いても忘れたくない大切な思い出の一つである。

私が子供のころに楽しんだもの(特にアニメやゲーム)は今でもシリーズが続いていたり、リメイクされたりと世代が変わっても生き続けている。これは本当に貴重なことで嬉しいものだ。しかしながら大人というものは成長し、社会に適応した結果、とかく現実的、商業的に、つまらなく考えてしまうものだ。最近ではゲームのリメイクが流行っているが、リメイクされた作品に対して、売れる、売れないとか、リメイク商法だとか、改良された、改悪された、難易度がおかしいとか、思い出補正とか、思い出を踏みにじられたとか、何かと評価することばかり気にしているように思える。私としてはどうか自分が子供のころの夏休みを思い出して、子供のような気持ちでリメイクされた物そのものを純粋に、全力で楽しむのが良いと思うのだ。(我々が子供のころは、売れようが売れまいが、商法とも知らず、バグがあろうが、設定に矛盾があろうが、それ自体を楽しめたはずだ)9e88947e8385eb467f04d72020fe3d7

あとがき
さて、私イゴッソは周知の通りインドア派のゲーム好きであります。この前『ドラゴンクエスト11S 過ぎ去りし時を求めて』を全クリしました。(正確に言えばストーリーのエンディングを見ただけで、真の裏ボスは倒していないですが。)エッセイの内容と矛盾するようですが、大人になってからのドラクエはなかなかつらいものがありました。子供の頃と違って時間が限られております。夜な夜な1時間だけ進めるということを繰り返し、数年かけて何とかクリアしたと言ったところです。

ж「イゴッソや 子供のころ お母さんの ゲームは 1時間だけ という言いつけを 守ったことはないのに ほんとうに りっぱに なりましたね……。」

長年、シリーズ最高傑作といえばドラクエ5が定説となっておりましたが、シリーズ11番目の今作の登場は私にとって最高傑作更新となりました。歴代シリーズで使用された楽曲やストーリー、隠し要素がちりばめられた今作はドラクエ好きにはたまらない作品です。ドラクエは3までしかやったことがないとか、ゲームは卒業したという人にも絶対におすすめです。タイトルにある、過ぎ去りし時を求める冒険の旅に出かけましょう。


スクリーンショット (1551)

イゴッソ・YOSHIDA
訪中歴10年後半のベテラン選手。広州が大好きで日本に帰りたくない派である。仕事で訪れた中国の都市は数えきれないが、仕事以外はいつも家にいる。趣味は、ゲーム、読書、音楽鑑賞、ガンプラ、外卖など生粋のインドア派。個人的にヴィジュアル系ロックバンドの波が来ている。封鎖式管理を機にVR(バーチャルリアリティー)に乗り出しインドア派レベルを上げた。

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