エッセーの瀬!Vol.128「辛い物が好きなんです、再び」

2022/08/24

essay (2)

~在中邦人の感賞的後日談~
音楽、文藝、料理、絵画…世の中のありとあらゆる藝術を、市井の目線から解いてゆく…
気鋭のライター4人が送る痛快リレーエッセイ


前回に引き続き辛い物(外国料理限定)のお話。まだまだ暑いし。

ホテル隔離なんてものがなければ外国へひとっ飛びしているところですが、そうもいかないので現地のシェフとスタッフがやっているレストランでも行ってその国の気分を味わうしかないんです……。隔離とか早く終われ。

今回はタイのお話。タイといえば海外に行った事がある人、旅行が趣味の人やバックパッカーの多くが一度は行った事があるぐらい、ド定番中のド定番観光大国である(筆者はない。というか東南アジアに行ったことが無い)。みんな声を揃えてタイは良い、というがあまり興味を引かれず、そのうち行こう行こうと思いつつも目的地にはならず、ズルズルと今に至るわけである。

さて、そんなタイ料理。なんとなくふとした時にタイレストランに気が向いたので足を運んだのだ。とりあえずトムヤムクンとパクチーのイメージしかなかったため、メニューを見せられても何もわからず。そういえば、とタイが好きな友人に連絡してみた。

私「タイ料理なにが好き?」
友「ガパオライス」
私「おk」

ということでとりあえず「ガパオライス(泰式羅勒雞)」なるものを注文。ちなみに「ガパオライス」という料理自体は日本でアレンジされたもののようで、本場タイでは「パットガパオ〇〇(〇〇とホーリーバジル炒め)」と呼び、〇〇にはガイ(チキン)、ムー(ポーク)、ヌア(ビーフ)など一緒に炒める肉の種類や海産物の名前が入る。”ガパオライス”という言葉を直訳すると”ハーブご飯(ホーリーバジルとライスだけ)”の様になり、店員さんには伝わらないというか変な目で見られるそうだ。1さて実食。辛いのは大丈夫かと注文時に店員さんに聞かれたが、それほど警戒するほど辛くなく、おぉ、これは美味い!辛いだけでなく、インゲンと唐辛子の土臭さとホーリーバジルとナムプラーが香る、素朴な東南アジアの風味が何とも言えない。食べながらどことなく中華っぽい感じがしないでもないな、と。そんなタイ料理、調べてみればまあ当然でしょうか、中華とのつながりも。2

___近代に入り、多数のタイ華僑の出身地であった広東省の文化が入り、潮州料理を中心とする、さまざまな中華料理が流入した。いくつかのものは現地化してタイ料理の定番メニューになっている。たとえばライスヌードルの一種クァイティオ(ก๋วยเตี๋ยว)は潮州の「粿条」(コエティオウ)、カオマンガイは海南省の「文昌鶏」(ブンチアンコイ)などである。また、朝食に中華粥を食べる習慣もタイの食生活に広く浸透しており、ジョーク(โจ๊ก。広東語で粥)と呼ばれる雑炊に似た広東風の粥を朝食に出す料理店や屋台が多い。シェンタンや中華風の漬物を調味料として用いることも中華料理の影響である。(Wikipedia)

あーやっぱり。距離的にも雲南省の端っこからタイの北端まで150kmぐらい、何かしら影響はあるのかなと。先に調べてから行けばもっとつながる料理が発見できたかも。

そんな感じでタイ料理と出会い、週1ぐらいはタイレストランに通うように。何を注文しても、これがまた辛い、辛い、だからビールが美味い!(身体には良くなさそう)3

有名なトムヤムクン(パクチーと海老スープ)、パッタイ(タイ式やきそば)、パパイヤサラダ……。エキゾチックな料理が夏にピッタリ!ビールにもピッタリ!!!

これはなんかもう、ハマる。南国特有の不思議な魅力が料理にも詰まっている(南国も行ったことが無いが)。

そういえば最近ひょんなとこでお会いした、ド●キホーテ海外店のエライ人曰く、「飲んだあとのクァイティオは、日本で〆に食べるラーメンより美味しい」とのことでした。何度も足を運ぶ、タイリピーターの気持ちがちょっとわかる気がします。

暑くて食欲がないと思ったら、お近くのタイレストランでトライ!素敵なスパイシー生活をお送りください。


ショーン
マルコポーロの著書「東方見聞録」にて敦煌に憧れを抱く、暑いのが大の苦手なくせに香港・華南に住み着くただのスタンド使い。好んで辛い物を食べてはお腹が辛くなり後悔する、の繰り返し。猫が飼いたい。好きな役は一盃口、面前・手役派。

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