エッセーの瀬!Vol.132「北京で経験すべきこと」

2022/09/21

essay (2)

~在中邦人の感賞的後日談~
音楽、文藝、料理、絵画…世の中のありとあらゆる藝術を、市井の目線から解いてゆく…
気鋭のライター4人が送る痛快リレーエッセイ

久々に、そして突然にバトンが渡された。あまりの突然さに、バトンが手からすり抜けそうだよ。締切まであと4日、さすがだぜ、じゅんさん。ちょっとズルいネタかなとも思いつつ、急だから仕方ないよね。許してね。

北京に来て1年半が過ぎた。さすが首都と言わんばかりのコロナによる規制であったり、状況的、心情的、性格的理由もあり、過ごした時間ほど北京経験は多くはない。が、なんだかんだ結構北京が好き。多くはない経験の中から、「北京来たらこれ経験してみて!」というものを紹介したい。あくまでも個人的意見なので、あしからず。

まず、北京の朝ごはんと言えば「豆汁(兒)」(私の中国語は生粋の南育ち。兒化は恥ずかしくできません)。本来ならおじちゃん、おばちゃんが胡同でこぢんまり経営しているお店に買いに行くもんだろうけど、そこはこのIT時代。美団でワイマイしちゃう。結構アツアツで届くお椀の蓋を開けた瞬間、独特な匂いが漂う。何度嗅いでも、思わず「臭っ」と言わずにはいられない臭い。おずおずと椀を口に運ぶ。ずずずずー。口に入れてしまえば、臭いは気にならない。が、想像よりもはるかにサラサラの液状で、独特な酸味に飲み込むのを一瞬ためらう。発酵っていうより腐ってない?っていう酸っぱさ。一回飲み込んじゃうと、これまた不思議。意外とそのあとも飲めちゃう。でも、間違ってもガブガブ飲むものではありません。豆汁のお供は、玉ねぎリングフリッターの玉ねぎ抜けちゃったやつみたいな焦圏(兒)とお漬物。北京に来たら、やっぱり現地の人みたいに、ずずずーっと豆汁すすらなきゃね。

豆汁(兒)。緑豆の煮汁を発酵させたものらしい。だから豆乳とは違ってサラサラの液状。

豆汁(兒)。緑豆の煮汁を発酵させたものらしい。だから豆乳とは違ってサラサラの液状。

北京と言ったら「万里の長城」。一般的には八達嶺ってところから登るらしいけど、おすすめは、もうほぼ河北省の古北水鎮の中にある司馬台から。理由は3つ。
①ロープウェーで一気に上がれるので楽
②両壁のない長城の道で、見晴らしがいい
③夜も開いている唯一の長城(時期によってはほかのところも夜登れるサービス開始)古鎮から見るライトアップされた道を見るのもとてもきれい。

万里の長城は英語で「Great Wall of China」って言うらしい。 英語レッスン中に思いつきで話始めたら、言い方わからなくて、 「very long wall」って言いました。

万里の長城は英語で「Great Wall of China」って言うらしい。英語レッスン中に思いつきで話始めたら、言い方わからなくて、「very long wall」って言いました。

最後は、北京に来たら四季を感じて欲しい。広州にいると、90%は夏で、残りの10%くらいが冬かな。北京にはすごく短いけど、春も秋もある。春には桃、桜が咲き乱れ、柳絮の綿が舞い散り、夏にはブルーが濃い高い空、槐の黄色の花が落ち、秋には銀杏やもみじが紅葉して、冬には雪景色や氷が張るピリリとした冷たい空気が肌を刺す。街路樹の木蓮が花をつけたら、もうすぐ春の訪れ。ちょっと日本が恋しくなったら、四季に癒されに北京へどうぞ。ss


アキ
北京在住。「日本人らしさを忘れない」をモットーに生きているものの、やっぱり知らないうちにナニジンかわからない人に。現在人生に迷子中。道先案内人募集中。

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