中国の国潮ブーム、日本でも地殻変動を起こせるか

2022/10/26

ここ数年、中国の若い世代を中心に一大ムーブメントを起こしている国潮(グオチャオ)。
そもそも国潮とは一体何なのか。
また日本のZ世代にも中国ブームが来ると囁かれ始めて久しいが、今現在どうなのか--。スクリーンショット (2204)

今さら聞けない「国潮」とは?
1990年代後半から2000年代に生まれた中国の若者を中心にブームとなっている「国潮」。国風と潮流を掛け合わせた造語で、中国伝統文化の要素を取り入れた新たなトレンドをいう。2018年に中国最大級のスポーツブランド「李寧(リーニン)」が漢字プリントなど中華テイストのファッションスタイルを発表したことが発端といわれており、その後も続々と国潮的デザインのブランドが誕生。アジアを中心にその勢力を伸ばしている。香港では上記リーニンの旗艦店が間もなくオープンするほか、チャイナドレスをモードにアレンジするなど中華モチーフが特徴の「MUKZIN(ムクジン)」は、まだ日本に実店舗はないものの既に国内でファンがつき、インスタグラムの日本専用アカウントを作成。そのなかで有名日本人モデルを起用するなど、日本展開を大きく視野に入れた動きを見せている。またこの国潮ブームは衣料品だけでなく、化粧品、食品、家電、自動車など様々な消費市場に広がっている。スクリーンショット (2205)

中国版インスタグラムの凄さと若者向けブランドのEC戦略
ご存知のように中国ではインスタグラムが使えない。そこで中国の若者を一躍とりこにしたのが「小紅書(RED)」だ。インターフェイスがインスタグラムに酷似していることから中国版インスタグラムとも呼ばれるが、少し違うところは独自のオンラインショッピングサイト運営によって投稿からダイレクトに商品の購入決済ができる点。SNS型のECアプリ(Amazonなどの販売サイトと同じ機能を持ったアプリケーション)と言える。ユーザーは90年代以降に生まれた若者が中心で、登録者は3億人。2013年のスタート時は化粧品の口コミアプリだったということもあり、女性ユーザーが8割以上と圧倒的に多い。
中国では若者世代をターゲットにした商品展開をする企業はどこも小紅書にアカウントを持ち、KOL(キーオピニオンリーダー)と呼ばれる、莫大なフォロワーを抱えるインフルエンサーを起用。商品のブランディングを行っている。人気の若者向けブランドは、最新のEC戦略のもと販売することで消費者を惹きつけているのだ。
日本市場進出はまだで、かつ中国語か英語のみの対応にも関わらず、中国文化に関心の高い若者や中国市場を狙ったモデルやアイドル、ユーチューバーなどを中心に、日本でも徐々に利用者が増えてきているという。スクリーンショット (2206)スクリーンショット (2203)

日本での動向は?
女性ファッション誌が特集を組むなど、日本でもじわじわと浸透してきた国潮ブーム。なかでも注目されているのが、化粧品だ。中国国内の化粧品業界の勢いは凄まじく、新興ブランドが相次いで誕生。ブームの火付け役「ZEESEA(ズーシー)」や、日本限定色を販売するなど日本市場拡大に意気込みを見せる「CATKIN(キャットキン)」、日本の大手雑貨店が店頭で取り扱い始めた「花西子(フローラシス)」など、チャイボーグと呼ばれる中華風メイクの流行と共に中国コスメブランドも日本に続々と上陸している。低価格かつ繊細に作り込まれたパッケージが特徴の中国コスメは、SNS映えすることが商品購入の大事な要素のひとつとする日本の若い女性の心を掴んだようだ。
ただ安いだけではないMade in CHINAが、日本の若者文化を席巻する日は来るのだろうか。

Pocket
LINEで送る