梅酒杜氏による梅酒の漬 け込みセミナー(大手酒造会社の中野BC)

2014/07/09

さまざまな種類の梅酒

和歌山県の大手酒造会社の中野BCは、香港で梅酒杜氏による梅酒の漬け込みセミナーを6月21日(土)に開催した。同社が海外で梅酒の漬け込みセミナーを行うのは初めて。「梅酒が香港女性の間で人気となりつつある中、商品だけでなく、梅酒を家庭で漬け込む『文化』そのものを輸出し、茶の間での定着を図りたい」と語る。

日本では、近年の梅酒ブームで、梅酒の出荷数量は2011年までの約10年間で2倍に急成長したが、2011年を境に頭打ちに。ここ2年間は減少傾向にある。国内市場が陰りを見せる中、梅酒約35種類を製造・販売する同社にとっては、海外への販路拡大が急務となっている。

同社の梅酒の生産量は、ウメ、梅酒の本場和歌山県でも最大規模。“質”にもこだわり、農家から仕入れた、粒が大きい和歌山のウメのブランド品種「南高梅」のみを用いて、梅酒造りの職人である「梅酒杜氏」が丹精込めて梅酒を仕込んでいる。

同社では香港がここ数年来、日本の農林水産物の重要な輸出国であることに注目し、ウメを使った梅酒も身近に感じてもらえるのではないかと考えて、2012年2月頃から輸出を強化。香港の食品・物流関連企業とも交流を深めるとともに、香港で開催されたアジア最大級の食品見本市などの展示会に積極的に出展しながら、現地飲食店の視察や試飲会イベントを行ってきた。

今回のセミナーは、日系スーパーマーケット「シティスーパー」のタイムズスクエア店で開催。香港人と香港在住の日本人が約20名参加した。漬け込むウメには収穫したばかりの「南高梅」を、漬け込むお酒には日本の焼酎を用いた。

梅酒の出荷数量の推移

講師を務めたのは、仕込んだ梅酒が梅酒コンテストで日本一に輝いた経歴を持つ同社の梅酒杜氏、山本佳昭氏。おいしく作るコツをはじめ、梅酒を使ったカクテルのレシピ、効能など、梅酒の魅力も伝えた。

同社は「こうしたイベントは消費者だけでなく量販店へのアピールにもなる」と話す。シティスーパーでは現在、同社商品3種の店頭販売と6種の業務用卸しの取り扱いがある。今回のイベントが縁となり、さらに3種の試飲販売をする販促イベントを行うことも決まった。

JETROと国税庁が2013年10月にまとめた「日本酒輸出ハンドブック~香港編~」によると、香港女性に人気のある日本のお酒は「梅酒」なのだそう。香港の情報サイトでの関心も大きく、同社は梅酒機運の高まりにも期待している。

同社では約20カ国に向け梅酒を出荷しており、香港を中心にオーストラリアやシンガポール、アメリカなどへの輸出を強化している。「日本食および日本酒の輸出が進むなか、日本のリキュールである梅酒も遅れをとることなく、世界でより多くの方に飲んでほしい」と意気込みを語る。

中野BC株式会社
ウェブ:http://www.nakano-group.co.jp

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