自分で入る年金「iDeCo」大きく生まれ変わる「NISA」

2023/07/05
海外在住でも入れる! もうひとつの年金「iDeCo」
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2022年5月より国民年金に任意加入していれば海外在住者でも運用できるようになった日本のiDeCo(イデコ)。自分が拠出した掛金を自分で運用し資産を形成する年金制度で、一定の条件を満たした20歳以上65歳未満の人が加入できる。月々5,000円からと少ない負担で始められるが、掛金の上限額は職業によって違い、例えば自営業者の場合は月額68,000円まで(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠)、会社員の場合は企業年金の有無などにより月額12,000円~23,000円までとなる。

運用できる商品は金融機関によって違うが、大きく分けて、定期預金や保険などの元本確保型(安全に運用できるが利益は小さく手数料が徴収される)と、投資信託(リスクを抑えつつ利益獲得を目指せるが、元本保証はなくリアルタイムで売買できない)がある。受け取りは原則60歳以降からで、まとめて現金化する一時金か、分割して受け取る年金、あるいはその両方から選択できる。

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iDeCoのメリット
⒈ 所得税と住民税が安くなる
掛金が全額所得控除に使え、年末調整や確定申告で申請すれば所得税と住民税が安くなる。
例)年収700万円、40歳、会社員、掛金23,000円/月の場合
65歳まで積み立てた場合の所得控除による節税額は2,070,000円
(確定拠出年金教育協会「iDeCoナビ」税控除シミュレーション(www.dcnenkin.jp/tax)より算出)
※ただし、海外居住中はiDeCo最大のこのメリットは受けられない。

⒉ 運用収益は全て非課税になる
通常、投資で利益が出た場合は利益の約20%が課税されるが、iDeCoは途中で何度売買しても非課税。
例)投資信託を積み立てて100万円の利益が出た場合、税金が引かれて通常受け取れる額は80万円ほどだが、iDecoであれば100万円がそのまま受け取れる。
※ただし、日本の金融機関で給与などの収入から積み立てるのであれば問題ないが、海外の収入から運用する場合には都度日本の金融機関に掛金を送金する必要がある。この場合、掛金に対して手数料や為替リスクが発生する。

⒊ 受け取り時も税金が優遇される
原則、60歳から75歳までの間で受け取る時期や期間を自由に決められるiDeCo。一括でもらう一時金なら退職所得控除、分割の年金なら公的年金等控除が使えるため、一定額までは非課税となる。
※ただし、海外居住中でも一時金や年金として引き出した場合、日本で課税される。

iDeCo加入に適している海外在住者
日本円の収入がある駐在員で、帰国後、定年まで給与所得者として働くことを予定している人には効果的。反対に運用期間の大半が海外であったり受け取り時に海外居住だとメリットは少ない。さらに相続手続きまで考慮すると配偶者が外国籍の人は国際相続が発生するので適さない。

海外在住者のiDeCoの始め方
金融機関によって海外在住者対応の有無やその手続き方法は異なるが、一部のネット証券ではウェブサイトからの申し込みが可能であったり、必要書類を国際郵便で香港に届けてくれたりする。ただし取扱商品や運用管理費なども金融機関によって違うので注意。

iDeCo公式サイト
www.ideco-koushiki.jp

 

2024年から大きく変わる「NISA」
2 NISA(ニーサ)は、購入した株式や投資信託などの金融商品から得られた利益が非課税になる制度。現在は、成年が利用できる一般NISA・つみたてNISAと、未成年者名義のジュニアNISA(2023年で廃止)がある。

2019年の税制改正により最長5年の海外赴任であれば、一般NISA・つみたてNISAでそれまで運用してきた資産をそのまま保有できることにはなったが、以下のように注意点がいくつかある。
① 海外在住中は新規買付けができない
② 金融機関によって海外赴任者に対応してくれる機関とそうでない機関がある
③ 赴任期間が5年以上となってしまったり5年以内に帰国届出書を提出しなかった場合は、NISA口座は廃止となり一般口座に払い出しされる(海外在住であることを口座のある金融機関に届け出なければ、口座が廃止され資産が強制的に売却されてしまう)
またiDeCoのように海外在住中にNISA口座を作ることはできない。

ただし!
来年、NISAは、現行制度より投資枠が拡大され非課税期間も無期限になるなど、さらに使い勝手の良い新しいNISAへと生まれ変わる。これにより海外在住者への対応も大幅に変わることが期待されている。

2024年から始まる新しいNISAのポイント
・ 非課税保有期間の無期限化
※現行は、つみたてNISAは20年、一般NISAは5年。
・ 口座開設期間の恒久化
※現行は、いずれも2023年まで。
・ つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
※現行は、つみたてNISAか一般NISAかの選択制。
・ 年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
※現行は、つみたてNISAは40万円、一般NISAは120万円。
・ 非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は、1,200万円。また、枠の再利用が可能。)
※現行は、つみたてNISAは800万円、一般NISAは600万円。

金融庁NISA特設サイト
www.fsa.go.jp/policy/nisa2

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