教えて!総経理!第11回【Unison Manufacturing HK Ltd. 赤星 誠氏】

2023/09/13

「ダイヤをカジュアルに身につけてほしい」
日系ジュエリーメーカーが世界に挑み続けるsoukeiri

Unison Manufacturing HK Ltd.
董事総経理 赤星 誠氏

国際規模のジュエリー展示会開催地として有名な香港。無関税かつ最小限のライセンスしか必要とされないフリーポートとして、世界中から多くのサプライヤーやバイヤーが行き交うマーケットであることは周知の通り。そのような世界的な舞台で、ある日系ブランドが競合に負けじと挑み続けている。会社設立から歩んできた8年を振り返りながら、顧客層の拡大を続ける秘訣を総経理である赤星氏に伺った。

Q:香港での会社設立までの背景を教えてください。
A:大学卒業後は福岡でジュエリーや時計を扱う専門商社にてバイヤーの仕事をしておりました。買い付けの仕事だけでなく、製造も手掛ける中で職人の方とのやりとりを通し、必然と自らの会社を立ち上げる青写真を描いていました。そんな折、後に現在の共同経営者となる日本人とインド人パートナーとの出会いがあり、2013年にUNISONを立ち上げる運びとなりました。バイヤー時代から香港との往来を繰り返していましたが、ジュエリー製造業として世界的なマーケットである香港を拠点に展開することは自然な流れで決まりましたね。

Q:ジュエリー業界の中で香港の位置づけとは?
A:実質関税はゼロではないですが、輸出入が比較的自由に行える香港はやはり唯一無二の都市です。多くの業者も集中して出店しており、ファシリティが揃っていることも魅力的ですね。中国と陸続きであることから、いくつかのメーカーは中国で製造するところも多いのですが、弊社はインド、日本、バンコク、ベトナムの4ヶ所で製造しています。それら完成品をここ香港へ集積し、タグ付けや登録作業を行い、また世界の提携先へ輸送する流れです。

オフィスにはショールームも完備

オフィスにはショールームも完備

Q:近年、NYやドバイなどにも精力的に展開しましたね。
A:はい、弊社の売上の中でも大部分を占めるのが、世界的なジュエリー購入シェアを誇るアメリカや中東です。ジュエリーショーに出展する中で、長年に渡りアメリカや中東のお客様のニーズの高さや展開する必要性を感じていましたので、2017年にNY、20年にドバイにオフィスを構えました。やはり現地のスタッフを置き、直接管理することで業務効率も上がり、マーケット動向をいち早くキャッチすることにもつながりました。

Q:各マーケットごとの特徴はどのようなものですか?
A:例えば日本や香港は少し似ており、デザインに関してコンサバティブなニーズが多いですね。肌に馴染むシンプルなデザインが受け入れられる傾向にあります。
一方で、アメリカでは存在感のある比較的大きな石やチェーンなどが好まれたり、中東ではきらびやかなデザインが求められるなど、エリアによってトレンドが異なります。また、ご自身のファッションの一部として身につける方もいれば、人に見せるために買い求める方もいて、その目的は人それぞれです。私が全商品のデザインを担当していますが、大切なことは、マーケットをよく見ること、そしてそれに合わせたコンセプト作りやローカライズが重要だと言えます。

Q:貴社のジュエリーをひとことで言うと?
A:基本的に私自身がシンプルなものが好きなので、心掛けているのはシンプルさです。何よりも「ダイヤ=冠婚葬祭や特別なオケージョンの時に身につけるもの」という固定概念を払拭したいという思いで取り組んできました。もちろん使う素材に妥協はなく、ダイヤモンド、18金、そして貴石しか扱いません。しかしながら、ジュエリーを毎日洋服を着るように楽しんでいただきたい、そしてシンプルさの中にも、モダンでエレガントなエッセンスを取り入れ、長く使っていただけるようなデザインと価格設定のもとに展開しています。soukeiri3

Q:現在までの道のりの中で苦労されたことは?
A:世界からバイヤーが集まる香港ジュエリーショーに出展したての頃は、小さくこぢんまりとしたブースを構えており、他社と横並びでなかなか独自色が出せずにおりました。そんな中、16年よりUNISONの存在感をもっとアピールし差別化を図りたいとの想いで、以前より2.5倍の大きさのブースを構え、ブランディングを強化。その結果、新たな顧客を獲得できたことが今に繋がっていると思います。それまで取引のなかった各国のお客様の見る目が変わったことをはっきりと確認できたイベントでしたね。soukeiri2

「ダイヤを普段着に」デザイナーでもある赤星氏の想いが込められた商品

「ダイヤを普段着に」デザイナーでもある赤星氏の想いが込められた商品

Q:設立から今まで持ち続ける信念を教えてください。
A:マーケットやお客様に対して謙虚で誠実でありたいと考えています。どのような仕事であれ、相手があって成り立つものですから、先方の要望をいかに早く察知でき、それに対する答えを準備できるかということが大切だと思います。日系メーカーとしての繊細さや自信を忘れず、新しいデザインを生み出し続け、顧客を飽きさせないよう工夫していきたいですね。
ありがたいことに香港でビジネスをしていると、いろいろな方にお会いできるのも醍醐味です。今朝もサウジアラビアから、お客様が中国での用事ついでにと、オフィスを訪ねてきてくれました。ジュエリー業界では特に信頼関係が大事ですから。

Q:今後注力する分野はどのようなことですか?
A:ジュエリー卸業者としてある程度の手ごたえを掴んだ今、目を向けているのは小売展開です。その第一歩として2年前より始めたことのひとつに、「LUMI」というオンラインショップがあります。アメリカなどは国土が広いがゆえ、オンラインでジュエリーを購入することに慣れている国民性ですが、香港では実物を見て決めたいという方が多いですね。そのためにもオンラインショップと実店舗を同時並行することも構想中です。
また、弊社では世界で年間30本の展示ショーに参加しています。9月末には、毎年恒例、香港のジュエリー&ジェムフェアに出展しますので、ぜひお越しください。お待ちしています!

Unison Manufacturing HK Ltd.
スクリーンショット (2458)2013年に香港にて会社設立後、17年にNY、20年にドバイへもオフィスを展開する。もとはジュエリーのバイヤーとして活躍していた赤星氏だが、UNISON設立以降は会社経営をしながらデザインもこなしている。
Room 100., 10/F, Harbour Centre, Tower 1, No.1 Cheung St., Hung Hom
会社HP www.unison.com.hk
オンラインショップ https://lumijewels.com


 

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