ホタルで感じる香港の夏

2024/07/03

香港でホタル鑑賞
幻想的な光を放つホタル。日本では5~6月の短い間だけ、その光る姿が披露される初夏の風物詩だ。一方、香港はというと、実は1年を通してホタル鑑賞が楽しめる。とはいえ、ベストシーズンは、やはり夏。今まさに見ごろを迎えている。

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香港のホタルを知ろう
香港で確認されているホタルは、約30種。日本全国でも40種余りなので、東京都の半分の面積しかないこの小さな域内に、どれだけ多くの種類のホタルが生息しているか分かる。2017年にはランタオ島で新種も発見され、香港人女性の名前が付けられたことが話題となった。しかし近年、ホタルが好む自然豊かなエリアでも都市開発が進んでいることなどから、香港固有を含めた4種が国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されている。ホタルの多くは人工照明などにとても弱く、光があると発光をやめてしまうため繁殖ができない。ランタオ島の田舎町では、数年前に街灯を設置したことで、そこに生息していたホタルがほとんど姿を消してしまったという。鑑賞の際もライトの光には十分に気をつけよう。

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鑑賞マナー
・ホタルは見るだけ!触らない、採らない
・大きな音をださず、静かに見る
・ホタルに懐中電灯やスマホの光を向けない

鑑賞はいつがベスト?
20℃を超える気温と高湿度の環境を好むホタル。そう、ホタルにとって、香港はとても住みやすい環境なのだ。ベストシーズンは6~9月ごろだが、繁殖期は4~11月ごろまで続き、種類によっては冬でも見ることができる。活発に飛び回るのは19:00~21:00ごろ。特に雨上がりや雨が降る前、風のない日に多く飛ぶ。

ホタルの光を撮影したい!
一眼レフカメラでもスマホでも、動く光を撮影するには、長時間露光がポイント。高感度に強いカメラを使用するのがベストだが、スマホでもちょっとしたテクニックを使えば、光りながら飛ぶホタルを上手く撮ることができる。
必要なのは、ナイトモードと三脚。iPhone11以降の機種などでは、暗い場所でナイトモードが自動的に起動され、光跡を撮影するのに必須の長時間露光が簡単に可能だ。ナイトモードがないスマホでも、「夜撮カメラ」など夜景撮影用のアプリを使えばOK。三脚を立て、30秒の露光で撮影すると、光の筋がしっかりと映る。

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おすすめ鑑賞スポット3選
ホタル鑑賞を楽しめる場所は至るところにあるが、ここでは厳選の3カ所をご紹介しよう。ポイントまで案内してくれる生態ツアーもたくさんあるので、初めての人はそれらを利用するのもひとつだ。

① 大埔滘自然保護区
家族連れでも訪れやすくおすすめなのが、タイポーカウ(大埔滘)。1977年に動植物の保護を目的に特別自然保護区に指定された場所で、冬はフクロウやジャコウネコ、ヤマアラシ、夏はカッコウやヒヨドリなどが活発に活動する。ホタルは、ふもとから30分ほど歩いた先の池付近でよく見かけられている。

② 城門水塘
パイナップルダムとも呼ばれるこの地は、気軽にハイキングができるコースとしても有名。舗装された歩道を行くと、ところどころに透明度の高い小川が流れている。サルも多く生息しており、時には食べ物を狙って襲いかかってくることもあるので、ビニール袋をぶら下げて歩いたりしないよう注意しよう。荃灣駅からミニバスやタクシーで向かうことができる。

③ 大帽山郊野公園
大帽山は、香港最高峰としてハイカーにも人気の場所。その山を中心に広大な自然公園が広がっている。この大自然のなかには、大帽山象ホタルとも呼ばれる香港最大の固有種が生息しており、運が良ければ、滝付近にあるトレイルコースの道端などで見ることができる。

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