メディポート健康コラム:騙されるな 情報を疑おう

2024/09/04

スクリーンショット (2636)情報化社会である現代。過剰な情報に我々の思考は翻弄され、そして安易に流されてはいないだろうか。現代の情報過多状態はインターネットの存在によってもたらされたものに違いない。その一方でテレビから得られる情報は激減しているといっても良いだろう。ネットの世界では様々な情報に瞬時にアクセスできるのは素晴らしいが、一方であまりにも多すぎる情報の中から、知りたいと思う情報に的確にアクセスできるとは限らない。しかも誰もが容易に情報発信できる時代であるが故、その質と信憑性に瑕疵があるものも少なくない。

パソコンがやってきた
私がネットに足を踏み入れたのは、忘れもしない1996年1月27日。この日、自宅にパソコンがやってきた。それまでとは全く異なる新しいOSとしてウィンドウズ95が世に出された2か月後だった。マンションの一室にあるパソコンおたくが経営するショップで、地球観測衛星インテルサットから送られてくるリアルタイムの映像を実際に見せてもらったのが、パソコン嫌いだった私が自宅にパソコンを設置するというまさかの行動に出たきっかけとなった。電話回線でつながったその通信速度はとてつもなく遅く、現在であれば回線障害が起きているのではないかと思ってイライラしてしまうほどの速度だった。画面の上の方から帯状に、徐々に青い地球が表示されていき、1分間ほどかけてやっと地球全体が表示されたときの感激感動は今でも忘れられない。一瞬にしてインターネットの世界に飛びついてしまったのも無理はない。

インターネットの利用
初めは遊び半分でワクワクしながらいろいろな世界を覗いていたが、そこから得られる情報がいかに素晴らしいものであるかを認識するのにそれほど時間はかからなかった。1996年5月に突然発生した「腸管出血性大腸菌O・157」による集団食中毒事件で、有症者数9451名、死者12名を出した。これは日本にとって初めての感染症であり治療法についての情報がまったくなく、大学病院でさえもその現場はひどく混乱していた。医師らは必死になってインターネットに接続し、主にアメリカからの情報を得ながら手探りで治療にあたっていた。私もこの感染症について検索したが、日本国内のサイトでは辛うじて1件だけがヒットしたものの具体的な詳しい内容はなく、およそ治療につながる情報ではなかった。しかし、この感染症に関する英文サイトはすでに無数存在し、私自身もそこから情報を集めた。自分が得た情報と同じものが数日後に新聞等で報道されることもあって、心の中でにんまりしていたのを今でも思い出す。
世界規模でコンピューター同士をつなぐという本来軍事目的のシステムとして考えられた技術がインターネットであるが、一般に開放されると急速に社会に浸透し生活のあらゆる部分で広く深く利用されるようになった。現代では嫌でもネット社会から抜け出すことはできず、その技術に浸りきって生きて行かなければいけない。ここでは「情報」という部分だけを取り上げて考えてみよう。機密情報以外であればおそらくありとあらゆる情報にアクセス可能であり、求める情報をいつどこからでも得ることが可能だ。しかし、その情報の量があまりにも多く、同じことを検索しても得られる情報の質には著しい幅がある。情報へのアクセスは容易であるが、その大海原からいかに適切なものを選択して収集するかが重要だ。当然ではあるがその質は玉石混交であり、ゴミもあれば時には罠も仕掛けられていることを常に意識しておかなければいけない。

騙されるな
さて、私自身は健康医療といったフィールドで医学的情報を検索する機会が多い。また仕事柄、企業や個人が発信する健康情報にもどうしても目が行く。サプリメントを売る企業は、自社の商品を売るために法に触れないギリギリの表現を使って効果を謳っているものも多い。また個人で発信している情報の中には、ただの思い込みで明らかに間違った情報を堂々と載せているものもある。誤った情報の発信元が医師であることもあってややこしい。利害関係が絡む情報に関しては決して鵜呑みにするのではなく、少し意地悪く斜めから眺めるつもりで読むことを勧める。
最近の動きとしては新型コロナ感染症問題が挙げられる。マスクやワクチンに関してネット上で様々な立場で情報が発信され、それによって社会が分断されるという事態まで生じている。企業、行政、そして一般市民がそれぞれの立場で情報発信を繰り返しているが、何が正しいのかという結論にまでは、今もってまったく到達できていない。然るに情報は自分が正しいと思うものだけにアクセスするのではなく、相対する異なった視点の情報にも時にアクセスを試みることが正しい在り方だろう。
情報にはあらゆる角度で接するべきだ。一般的な情報であれば、複数のサイトを検索すること。社会的に意見が分かれるようなことであれば、いったん自分を中立な立場に置いてから、問題等を縦・横・斜め、あらゆる方向から眺める気持ちのゆとりを持つことも大切だ。
「疑う」という言葉に心地よい響きはないが、ネットの世界では自身のために常に良い意味で疑う気持ちを持っていても損はないはずだ。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


Metro Medical Centre医療・健康の総合コンサルタント Mediport International Limited
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