ライトレール(軽鉄)特集4・天水圍(ティンスイワイ)エリア

2014/11/24

大陸と対峙する新界西のニュータウン「天水圍」

ユンロン(元朗)の西部に位置し、40年前にニュータウンとしての開発が始まった「ティンスイワイ(天水圍)」。古くから点在していた城壁村であった歴史を持つ。

70年代に香港の大手デベロッパーである長江実業が周辺の土地を取得し、開発計画をスタート。後に香港政府が住宅用地としてティンスイワイの土地を購入し、政府主導の開発計画となり、1990年代に多くの高層住宅が建設された。1999年には長江実業が建てたハーバープラザリゾートシティホテルが開業し、観光客(主に大陸人)の訪れで近代的で活気のあるニュータウンを形成し始めた。

ティンスイワイは后海湾の南岸にあり、約10キロの距離で中国大陸の深センも肉眼で確認できる場所にある。現在はニュータウン化されたが、元々は湿地だった。現在でも香港湿地公園や米埔湿地などの湿地が残されている。

南と北で分けられている市内は軽鉄の705番と706番との循環線を足に往来している。だが、あまりに広いため、南部の住民が北部に行っても道を迷うケースが多いそうだ。

「悲情城市」と呼ばれた過去・・・

ニュータウンには、高級マンションと、政府が建設し比較的に所得の低い人々が住んでいる公衆住宅団地が混在する。政府の対応が後手に回ったことも原因だが、このため2001年以降何件もの悲しい出来事が起きている。これが大きく報道されてからネガティブのイメージを負わせられ、ティンスイワイ事情を語る映画、小説も出されている。さらに「悲情城市」という嬉しくない名を付けられた。だが、近年政府が再建設に力を注いでいるため、ここの状況が大きく改善されているらしい。

遊歩道を歩いて自然観察を楽しもう
香港湿地公園

4 (3)     3 (4)

新界北西部には、中国大陸との国境をはさんで、湿地帯が広がっている。香港政府は、自然環境保護と湿地の重要性を理解してもらうため、この湿地の一部を自然公園として整備し、2006年に「香港湿地公園」として一般に開放した。大陸を走る鉄道路線KCRもすぐそこにある。

2 (5)     1 (6)

公園内は二つの部分から構成されている。ひとつは湿地保護区で、およそ60ヘクタールの湿地の中に川や池、マングローブの林などが配されており、その中に設けられた遊歩道を散歩しながら、多くの種類の湿地に生息する生物に触れ、観察することができる。途中には野鳥観察小屋も設けられており、備え付けの望遠鏡をのぞくと、手が届きそうなほど近くに野鳥を見ることができる。もうひとつは、ビジターセンター。館内は生物と湿地の関係や環境保護についてのテーマに沿った展示がされている。難しいテーマの展示だが、映像を使った展示や、クイズ形式の展示もあるため、小さい子供でも楽しみながら湿地や環境保護について理解することができる。

アクセス:MTRテンスイワイ(天水圍)駅から軽鉄に乗り換え湿地公園駅で降りる。横断歩道橋を渡り、標識に従って歩くと約5分程で着く。

帰国気分が味わえる!?
無視できない駅名

DSC_0052     DSC_0054

新しくできたマンションや施設に、日本に由来する名前をつけることがブームになった時期があった。その流行はあっという間に終わってしまったが、ティンスイワイ(天水圍)には、その証が残されている。東京にある地名―銀座、有楽町、日比谷などと命名されているのは、1999年に竣工のショッピングビルなどが多い。ティンスイワイにある軽鉄には「置富銀座」と呼ばれる駅があったが、高級なイメージはまったくなし・・・。昨年、この駅は「置富嘉湖」駅に改名されたが、住民たちは旧名をまだ愛用しているようだ。

DSC_0055

緑に囲まれた新鮮な空気の中、読書に親しむ
屏山天水圍図書館

DSC_0023     CAM03292

2013年2月にオープンしたばかりの屏山天水圍図書館。タイハン(太坑)にある香港中央図書館に次いで香港で2番目に大きな図書館だ。7階建て、床面積6,000㎡の広々とした館内には、あちこちに緑あふれる屋外テラスやベランダがあり、香港では初となる屋外読書スペースが設けられている。専門書、小説、児童書を始め、映画や音楽の視聴覚資料も充実しているのがうれしい。

アクセス:MTRティンスイワイ(天水圍)駅C出口から徒歩10分

ドイツ料理をガッツリ食らおう!
King Ludwig Beerhall

DSC_0037     DSCF8410

King Ludwig Beerhallは、内装、メニュー、食事スタイルなどすべてにドイツ式にこだわったビア・レストラン。香港では珍しい各種ドイツ・ドラフトビールのほか、世界各国のボトル・ビールも楽しめる。こちらユンロン(元朗)店は新界西の中心部からも少し離れるところにあるが、ぜひ足を延ばしてみたい一軒だ。日常のストレスをすっきり解消できる。

King Ludwig Beerhall
住所:Hung Shui Kiu, Yuen Long
電話:(852)2477-5000
アクセス:軽鉄洪水橋駅を下車。トンネルと翠珊園の入り口を抜けたら右へ曲がる。まっすぐ歩くと約5分程で着く

ちょっと怖い話・・・アジア10大心霊スポット?
達徳学校

DSC_0046

2013年に、ドキュメンタリー番組専門チャンネルNGCの心霊スポットをテーマにした番組「I Wouldn’t Go In There」で、香港代表としてアジア10大心霊スポットのひとつ選ばれた「達徳学校」。地元有力者による出資により1931年に開校、1974年に現在の場所に移転されたが、1998年に閉鎖され廃墟となった。

ここは元々は集団墓地だったとか、校長先生が学校内で自殺したとか、様々な伝説とともに、幽霊出没の噂は絶えたことがない。そして、2011年に12人の少年少女たちがその学校を探険しに行ったあとに、1人の少女が友達を噛んだり、狂いだしたという不可解な出来事が起きたことから、ローカル番組などで大々的に報道されて話題になった。

 

続きアイコン

Pocket
LINEで送る