アジアやアフリカ、他民族が集う「小北」

2014/12/30

小北

アラビア文字の看板が掲げられていたり、アフリカ系の人々が大勢行き交うエリア「小北」。アラブ人や回族なども多く、国内外の様々な人々でにぎわう。地元の人からも、「あそこは中国ではない!」と言われるほど……。そのため小北にはアラビア料理、アフリカ料理、インド料理、トルコ料理などエキゾチックなレストランが軒を連ねる。多くは「ハラール」と呼ばれるムスリムレストランで、ラムやビーフをメインとした料理だ。ドネルケバブや、ヒヨコマメなどをペースト状にした「フムス」など、中東料理と出会えるのもココならでは!見ているだけでも楽しめる、ちょっと不思議なエリア「小北」で、広州の違う一面をのぞいてみよう!

ちょっと危険だけど異文化が体験できるエリア・「小北」のリトル・アフリカをPPW記者が行く。

小北 アラブ文字メニュー

広州地下鉄5号線小北駅を出るとちょっと不思議な光景が広がる。道行く人が皆黒人なのだ。現在、広州市に滞在する黒人の人口は約2万人とされ、同市人口の約2%に相当する。だがそれはあくまでも公式的な数字であり、「実際の在住数」は、およそ20万人にも及ぶと言われている。そんな中でも、中東・アフリカ系の外国人たちが集まる街として知られる「小北」を歩いた。

実際に同駅付近には中華料理レストランは少なく、アラビア文字の書かれた看板を掲げる中東・アフリカ系の料理店が数多く見られる。

さらに同駅D出口付近にあるトンネルを抜けるとリトル・アフリカが現れる。アフリカ系のレストランはもちろん、衣類から電化製品、食品市場など生活に関するあらゆるものが並んでいる。一見すると中国で見られる普通の光景なのだが、よくよく見てみると店頭に立つ人の殆どが中東・アフリカ系の顔立ちをしている。

広州随一の黒人街「小北」の成り立ち

小北の市場

ではなぜこの地区にイスラム、アフリカ系の人々が集結しているのだろうか?

もともとこの地域は広東省各地のアパレル工場・問屋から売れ残った商品が売買される場所であった。そこへ1990年代後半から中東系の商人が集まり始め、対アフリカへの輸出業を手掛け始めた。この中東商人の役割が近年、アフリカ人にとって替わるようになったのは、2006年に中国政府が発表した「対アフリカ政策文書」の影響であると言われている。この文書は対アフリカ政策の基本原則を政治・経済・文化などでの互恵関係と位置づけたものとされ、これにより資源開発や社会インフラ整備として中国からアフリカへの投資が活発に行われた。そんな中で一獲千金を夢見るアフリカ人ビジネスマンが多く中国へ進出してきたというわけだ。加えて、このエリアの急速な変貌に目を付けた中国人商人までもが集まり始め、熾烈な商売競争が繰り広げられている。

他ではちょっと味わえない「小北」の歩き方

小北にある料理

「小北」を舌で楽しむなら何と言ってもアフリカ・中東系のグルメ。ローストチキンや羊肉の串焼きなどはあちこちの店頭で焼かれており、香辛料の芳ばしい香りが通りに溢れている。今回編集部がオススメしたい一品は、丸型に伸されたナン。こちらも店先にある鉄釜で焼かれており、アツアツのものを格安の値段(1枚なんと4元!)で購入することができる。本場仕込みの店員が調理しておりモチモチの食感と小麦の自然な甘さがクセになる。通りを行き交う様々な人種と言葉たちを横目にこのナンを噛じれば、ちょっとした異国情緒が楽しめるかも!?

“異国な”街での注意点

異国の雰囲気、小北

この地域には中国語を話す人が少ないこともあり、中国語でのコミュニケーションが難しい場合がある。その際は英語か指差しでメニューや商品を注文しよう。

最も注意しなくてはならない点は、「小北」が広州市の中でも異質の地域であるということ。様々な人種が集まり、それぞれの地域独特のコミュニティが形成されているため、私たちの常識は基本的に通用しない場合が多い。ただ、節度を守ってコミュニケーションを取れば優しく対応してくれるお店がほとんどなのでちょっとした探検をしてみてはいかがだろうか。

最近の「小北」の様子が変わったのは?

少し前までカオスの様相を呈していた小北が最近少し変わってきた。道を堂々と占拠していた露天商・屋台などが消えてスッキリ、以前と比べ整然としている。理由は行政の努力にあるようだ。街角に行政の手紙が張り出されいた。その一部をご紹介しよう。

政治・経済の変遷を受けて常に変わり続けている「小北」。その変化のなかで生じる障害を1つずつ皆で乗り越えながらこれからも様々な文化が混じり合っていくことだろう。時には、中国を離れて異文化のエネルギーに触れてみるのも良いかもしれない。

◆地元行政の張り紙からー

小北の張り紙

「居住民の皆様へ:遠方からいらした方であれ、地元の方であれ、このエリアはわたしたち皆が共に住み、生活し、一緒に作り上げる『生活の拠』です。『不潔、無秩序、低俗』とはおさらばして、美しい環境を作り上げることは、わたしたち共通の願いです!そのためには、皆さんの自覚と積極的な参加が必要となります。

●今からはじめましょう:都市環境衛生管理規定を遵守しましょう。皆が他人ごとではなく主人役としての自覚で都市管理を行いましょう。屋台や商売で公共の場所を占有してはなりません。道に物をならべて勝手に商売をしたり、店舗の敷地外に物を置いてはなません。

●安全からはじめましょう:火事や事故に気をつけましょう。少しの注意で危険を防ぐことができます。苦労して築いた貴重な財産を火災で失うことがないように、また悲惨な事故で一家が離れ離れにならないためにも、今ひとつ注意しましょう。親愛なる皆さん、みんなで協力して、美しい文化づくりのために、ビジネス・居住にかかわらず自分の分を果たしましょう!」

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