お客様にホッとしていただけるような優しい接客を心がけています。

役者の仕事も接客の仕事も、お客様に喜んで貰ってナンボの世界！
ミュージカルを目指す役者から“ホテルウーマン”に転身。
常に前を向いて走って来た「笑顔の女王」はハードルがあればそれを成長の糧として頑張って来たが…。

アイランド・シャングリラホテル
ゲストリレーションズ
高橋美和子さん
インタビュー

日本に居た頃から外資系のホテルに勤務されていたのですか？
実は日本に居た頃はずっと役者だったんです。梅沢富美男さんの舞台で前川清さんと共演したり明治座、大阪の歌舞伎座での公演に出演していました。カツラかぶって顔白くして踊ってましたよ（笑）。その舞台の年末年始のツアーで１カ月程日本全国を周っていたので、その時の経験は今お客様とお話しする時とても役立っています。お客様にどこどこ出身です、と言われた時にその土地の事を少しでも知っていれば喜んで貰えますし、そこから話題も広がりますから。話の引き出しが多くなった事は自分にとってプラスでした。

役者と接客業では全然違う職種のような気がしますが？
役者時代はミュージカルやTVのオーディションを受けながら、２つ星レストランのレセプションなど、ホスピタリティ系のアルバイトをしていたので、元々接客は好きだったし自信がありました。役者の仕事も接客の仕事も、お客様に喜んで貰ってナンボの世界ですから！

ところでそもそも役者になろうと思ったきっかけは？

18歳位の頃からNYが好きで、大学時代にアルバイトで貯めたお金で、1か月アメリカに短期留学した時に見たブロードウェイ・ミュージカルに魅かれたのがきっかけです。日本へ帰ってから、長期留学のためにと貯めていたお金でミュージカル学校へ通い始めました。22歳の時です。ミュージックレッスン、ダンス、バレエ等1日6時間程レッスンをしてバイトへ行くという生活でした。それから段々と舞台や再現ドラマ、企業VP（Video Package）などに出演させて頂くようになりました。中でも企業VPは評判が良かったですよ（笑）。そんなオーディション―役者の仕事―バイトの日々を約10年間続けました。

役者を辞めてしまわれた理由は？
今までに10回は観に行ったくらい、ブロードウェイでミュージカルが大好きで、ダンスも歌も好きなのですが、30代になって役者を続けるのはもういいかな～、という気持ちになったんです。その時、自分の好きな英語を使える仕事に就けたらいいなと思いました。

そこで外資系ホテルに就職されたのですね？
接客には自信はあったものの、すぐにラグジュアリーホテルに就職するのは無理だと思ったので、ビジネスホテルの面接を何件か受け、東急グループのホテルに就職しました。当時は笑顔の女王と呼ばれていました（笑）。

香港に住むようになったきっかけは？
2010年の10月、香港に旅行に行く計画を立てていた時、たまたま香港にあるホテルから面接の話が来たんです。ちょうど旅行に行く予定でしたので、電話やスカイプではなく、直接面接を受ける事になりました。初めての海外での面接、しかも英語での面接でしたのでとても緊張しましたが、とにかく2時間喋りまくって…。帰りの飛行機に乗る頃には採用のお知らせを頂きました。

帰国後すぐに辞表を出し2010年12月6日からランドマーク・マンダリンオリエンタルホテルでインターンシップとして働き始めました。住宅手当は出ましたが30過ぎて給料HKD3,000で働くなんてチャレンジャーですよね（笑）。

でもその後正社員になられたんですよね？
会社からは「続けて貰いたいけれど外国人を正社員として雇用するのは経費面からも難しい」と言われ、諦めかけていたんです。そんな時期に、日本人や外国人のお客様から、毎日のように私宛に礼状が届いていたのを目に留めたゼネラル・マネージャーの「何でこんなに評判の良い人を雇わないんだ？」という一言で、正社員としての雇用が決まりました。ラッキーでしたね（笑）。それから正社員として2年半働きましたので、こちらにはトータル3年半お世話になりました。

アイランド・シャングリラホテルで働く事になったきっかけは？
スタッフともお客様とも仲良くなれていたので、前職場を辞めるのは結構辛かったのですが、このままでは進歩しないと思い辞める事を決意しました。その後はNYのホテルで働きたいと、現地まで行ったのですが、Visa、永住権を取るのはアメリカ人と結婚でもしない限りとても難しいと言われてしまい、夢はあっても冒険は出来ない…。と結局諦める事に。そんな時アイランド・シャングリラで働いている友人から、良かったら面接受けに来ない？と声を掛けて貰ったのがきっかけです。

5つ星ホテルである現在の職場についてお聞かせください。
アイランド・シャングリラのは前職場に比べて部屋数が5倍ありますのでお客様も5倍、社員も5倍。人が多い分いつでもどこでも見られているようで、緊張感があります。また社員が多い分競争意識も高く、常に戦っている感じがします。私は本来VIPのお客様を担当するのが役目なのですが、やはり日本人のお客様がいらっしゃれば対応いたしますので、毎日ホテル内を走り回っています。大変だと思うことも多いですが、人間楽な所にいては成長しませんからね。「このハードルを乗り越えて成長したい、頑張ろう」という気にもなれます。こういう規模の大きいラグジュアリーホテルで働ける事はとても有難い事だと思っています。

香港で働いてみて日本で働いていた時とは違うと思う事はありますか？
香港人は若い頃から業務をこなすようによくトレーニングされていますので、仕事のスピードは早いですね。マニュアルを100％こなす、それが香港のやり方なんだと思います。私は100％マニュアル通りにするよりも、それに従いつつも自分のカラーを出すようにしているのですが、香港人からはよく「日本人はToo Slow。仕事が遅い」と言われます。香港人に手間暇かける事の良さ、日本人のお客様が求めているのはクイックサービスだけではない、という事を分かって貰うのはなかなか難しいです。

でも香港人は面倒見の良い人が多く、私より年下の香港人や、中には家族まで私の面倒を見てくれる人もいて、旧正月を一緒に過ごしたりとか、香港で第二の家族が出来たようです（笑）。

業務形態など教えてください。朝は何時出勤ですか？
基本は9～10時間労働で休みは月6日です。ピンヒールでずっと立ちっぱなしなので最初の頃は、こんなに立っていられないと思ったほどでした（苦笑）。出勤時間は日によって違いますがVIPのお客様の時間に合わせるため、早い日だと朝6時から働いています。そんな日は午後3時とか4時頃に仕事が終わるので、その後ヨガに行くのが楽しみです。HOTヨガで汗を流すと気持ちいいですね。そのジムには仕事帰りの欧米人も多く、皆さんストレス発散に来られている感じがします。

仕事が休みの日は何をして過ごされていますか？
友人と食事に行ったりお酒を飲みに行ったりします。香港には素敵なルーフトップバーが沢山あって、そういう所でお酒を飲む時はリラックスできて大好きな時間です。ただ、1人で飲みに行く時は日本人のバーへ行くことが多いですね。

去年は英語や中国語を習おうとローカルの語学学校に登録したのですが、通い切れず断念してしまいました…。因みに10日以上の連休があるとやっぱりアメリカに行ってしまう私です（笑）。

今後の夢、目標をお聞かせください。
あと3年で香港の永住権申請が出来るので、それを目標に頑張っていますが、永住権を取得出来たらその後は帰国するかも知れません。日本に居た頃は思わなかったのですが、年を取るにつれて親孝行したい気持ちが大きくなってきまして…。今まで自由に好きなようにさせてくれた理解ある両親に感謝の気持ちでいっぱいですが、そんな両親にいつか孫の顔でも見せてあげられたら…、という気持ちも大きいです。でも今はまだお相手がいないので…。
今年は仕事だけでなく婚活も頑張ろうかな（笑）。

高橋美和子（たかはし みわこ）さんプロフィール
ブロードウェイ・ミュージカルに魅かれ役者の世界へ。
30代で転職しホテルで勤務するように。香港に来てランドマーク・
マンダリンオリエンタルホテルで３年半働いた後現在のアイランド・
シャングリラホテルに勤務中。仕事が忙しく出会いが無い為まだ独身。