三菱電機の大型映像装置「ダイヤモンドビジョン」

2015/04/21

今月からスタートする新連載の第1回目は、三菱電機のLEDモジュールを使用した大型映像装置「ダイヤモンドビジョン*」を紹介しよう。香港で一番人気のレクリエーションといえば競馬。
「ダイヤモンドビジョン」は、レースが開催される沙田競馬場とハッピーバレー競馬場に設置され、迫力あるレースの模様を伝え香港競馬を盛り上げている。
特に、2003年に沙田競馬場に設置された装置のサイズは高さ8メートル、幅70.4メートルで、納入時世界最長の映像装置としてギネス記録にも認定された。
三菱電機(香港)社会インフラ事業部ゼネラルマネージャーの鳥海寿郎さんにお話を伺った。

鳥海寿郎 電車

■どのような点が評価されて沙田競馬場にダイヤモンドビジョンが採用されたのですか。

ダイヤモンドビジョンの特徴は、鮮明度、自然な色合い、高輝度です。全天候に対応しており、雨天の日も炎天下の日も、色鮮やかでくっきりはっきりした映像を映し出すことができます。大型スクリーンになればなるほど、その技術の差が明らかになってきます。沙田競馬場の場合は、お客様が夜、他社の製品も見に行かれて、ダイヤモンドビジョンのきめ細やかな品質を評価して採用を決定されたと聞いています。

また、沙田競馬場の装置は、使用しないときは汚れ防止用のシャッターが閉まるようになっています。幅が約70メートルある装置なので、シャッターは35メートルずつ両サイドからきちんと閉まるようにしなければいけませんでした。当時のメンバーに聞くと、様々な微調整が必要で、かなりの苦労があったようです。でも、三菱電機だからできたと自負しています。

ハッピーバレー競馬場に設置したスクリーンの幅は47メートルですが、これを更に拡張する工事の計画があります。この工事でもシャッターの技術が活かされるでしょう。

■設計・施工・管理までワンストップで提供できる点も評価されたそうですね。

はい、それはすべての事業でいえることですが、私たちは販売するだけでなくて、コンストラクション部門が製品の据え付け・試験、引き渡しまでを担当し、納入後のメンテナンスやアフターサービスは私たちの部門が窓口となり対応させていただいています。これも香港のお客様から評価をいただいている点です。

■ダイヤモンドビジョンは他にはどこに納入されていますか。

香港・マカオでは、競馬場のほか、空港やショッピングセンターなどの映像装置として、12カ所への納入実績があります。日本では東京競馬場や東京ドーム、海外ではヤンキースタジアムなどに納入されています。昨年新宿東口アルタビル壁面に設置された「アルタビジョン」にも採用されました。2010年にドバイ競馬場に設置されたダイヤモンドビジョンの幅が107.52メートルで、沙田競馬場のギネス記録を更新しました。昨年末ニューヨークのタイムズスクエアに面したマリオネットホテルの壁面に設置された装置がこれに迫る幅でした。

三菱電機(香港)社会インフラ事業部では、「電力」「交通」「公共」を柱に事業を展開する。「電力」は香港・マカオ地区を担当し、香港では、香港電力(HEC)と中華電力(CLPP)に、発電機、開閉装置、変圧器などの電力関連機器を納入している。香港電力では年間の停電時間が1分を切り、香港電力の社長から、三菱電機の製品が電力の安定供給に貢献していると感謝されているという。「交通」では香港地下鉄(MTR)で、車両用のモーターや変圧器など電気品を延命するための更新工事を担当している。競馬場に設置したダイヤモンドビジョンは「公共」に位置付けられる。鳥海さんは、今後、交通と公共の事業拡大に注力していきたいと語る。

■「交通」ではどんな事業を考えているのですか。

MTRに省エネ対策として、駅舎用の補助電源装置の提案をしています。補助電源装置は、電車がブレーキーをかけたときに発生する回生エネルギーを、駅舎の照明やエスカレーター、エレベーターなどの電源供給に活用するものです。

また、MTRに安全対策として、ホームドアの3Dセンサーの導入を提案するための社内組織を立ち上げたところです。ホームドアは、人がホームから転落するのを防止するシステムで、3Dセンサーはホームドアに装着し、カバンや傘などが巻き込まれたときに感知してドアが閉まるのを防ぐシステムです。MTRの方からは、そうしたシステムがあるならば、ぜひ提案してほしいと言われています。

競馬場1 競馬場2 競馬場3

■「公共」では安全な飛行を管理するためのシステムも手がけているそうですね。

はい。昨年11月に香港天文台に三菱電機のレーダーシステムを納入しました。このレーダーは、気中の水分を測定して乱気流を検知するシステムです。天文台はこのデータを香港国際空港の管制塔へ送っています。

基本的にはレーダーとライダーがあれば、全天候型の乱気流を検知するシステムが出来上がります。ライダーは、気中にレーザービームを当てて、ほこりや塵の動きを調べて乱気流を検知するシステムで、空港には不可欠な設備です。これから、香港国際空港にライダーを来年納入するための入札へ参加していきます。

空港向けのライダーは、他社の機器もあるけれど、お客様の要求する精度の高いデータの収集・分析はできないと伺っています。また、他社では、納入したあとのアフターサービスも思ったようにいかないようです。なので、これから戦略システムとして、香港の実績を持って、中国でのビジネスを拡大していきたいと考えています。広州や深センの空港で新しい滑走路の建設計画がありますし、北京の空港でも滑走路の拡大計画があり、お客様のほうから技術照会をいただいています。

レーダー14 rader

また、空港向けではフライト情報を掲示する「フライトインフォメーションシステム」の提案にも力を入れています。

■今後、ダイヤモンドビジョンの展開は?

ダイヤモンドビジョンは、香港・マカオだけでなく中国も販売エリアとしています。中国では、日系や外資系企業による大型ショッピングモールの建設計画が増えていますので、その外壁に大型スクリーンの設置を提案していく取り組みを進めています。これから、公共事業は大型ショッピングモールと空港という切り口で、香港・マカオから華南地区、さらに中国と事業を拡大していきたいと考えています。

■数値目標はありますか?

社会インフラ事業部の現在の売り上げは40億円です。それを2017年は60億円、2020年は100億円を目指す計画を掲げています。そのためには、現在85%を占める電力事業の比率を2017年に75%、2020年に65%にして、トータルの規模を増やしていくビジョンを描いています。

■新しいオフィスにはショールームもオープンされましたね。

はい、昨年12月に引っ越しした太古城の新オフィスには、ミニチュア模型や実機を置いて、三菱電機(香港)の事業を可視化したショールームを設置しました。三菱電機(香港)では社会インフラ事業のほか、半導体や家電などを扱う部門があります。特に除湿器は香港でトップシェアを誇ります。ちょうど、4月1日に組織を改編し、家電の販売会社を統合し、同じ会社の名前で、家電から電力まで供給する体制を整備したところです。

ショールーム1  ショールーム2

スローガンとして掲げるのは、「One MELCO(ワン メルコ)」。三菱電機グループ(MELCO)がひとつになって、事業活動を推進しましょう、という意味です。例えば、社会インフラ事業部が電力関連機器を販売してきた香港電力の社員の皆様に、特別価格で除湿器を販売するセールスキャンペーンを展開することなどを企画していきたいと思っています。

三菱電機(香港)有限公司
住所:20/F Cityplaza One,1111 King’s Rd.,Taikoo Shing
電話:(852)2510-0555
ウェブ:www.mehk.com

Pocket
LINEで送る