さよなら香港1:突然の日本帰国!どうすればいい?経験者にインタビュー

2016/01/27

日本に帰って1ヶ月半…。
4年間の香港生活が夢のよう。

ユメコの帰国体験記

本紙連載の「主婦エッセイ」でお馴染みのユメコさんが、昨年秋、ご主人の帰任にともなって帰国された。突然やって来る帰任、帰国とは実際どんなものだろう?
「帰国の先輩」となったユメコさんに語っていただいた。

ユメコの引っ越し

香港、引越し当日。業者の作業は2時間半

帰任はある日突然に
「街市で、むき栗を買って栗ごはんを作ろうかな…」などと考えながら、ネイザンロード(彌敦道)を歩いていた昨年9月末の夕方、夫から電話がかかってきた。「日本への帰任が決まった」とちょっぴり沈んだ声。思わず「えー」と叫んでいた。
香港生活は夫が5年、私が4年4カ月になろうとしていた。でも「帰任はまだ先かな」と思い、私はBritish Councilの60回英語レッスンに申込み、夫はマッサージ店の10回チケットを購入したばかりだった。帰国は10月末か11月中旬ころだという。「英語レッスンもマッサージも消化できないね」と二人でガックリ。帰任の知らせが数日遅かったら、翌年の香港マラソンのハーフに申込み、11月の玉置浩二のコンサートチケットも買っていただろう。
香港にいると日本が恋しかったが、いざ帰任となると楽しかった日々が走馬灯のように思い出され、もう少し香港で暮らしたかったという気持ちがわいてきた。

持ち帰れないものは要チェック
見積もりにきた引越し業者の方は、日本へ持ち込めないモノなどのルールも教えてくれた。「例えば、二胡はニシキヘビの皮が使われているので、ワシントン条約で日本に持ち込むことができません。持ち込みためには証明書が必要ですが、その手続きが大変なので実質的には不可能です」とのこと。二胡のレッスンを始めると話していた友人に教えてあげると、「記念に高い二胡を買おうと思っていたけど、安い方にしよう」と話していた。
夫婦二人暮らしで、日本に家を残して、お互いに必要最低限、身一つで来たはずだったのに、最終的に引越し荷物は航空便が8箱、船便は42箱になった。
引越し費用は、夫の会社が出してくれるので「ラクラクパック」。業者の方が梱包をしてくれるので、悠長に構えていたが、途中から引越し作業に追われた。というのも「手持ち」「約1週間後に届く航空便」「約3週間後に届く船便」「いらないモノ」に仕分ける必要があったからだ。お土産を航空便で送るためには、買い物も引越し当日までに済まさなければならなかった。
ぬいぐるみや雑貨など使えるモノは救世軍に寄付をした。粗大ごみに不燃ごみ、不要なモノは香港で捨てていくのが鉄則。でも約300号から500号までためていたぽけっとページ(PPW)や書類などは時間が取れず、帰国前の整理をあきらめた。

銀行口座はどうする?
本帰国で悩んだのは、HSBCの口座をどうするかということだった。どこかの会社で「帰国前に知っておきたいHSBCの残し方講座」をやっていたはず…。受けておけばよかったと後悔した。結局、夫の知人に「今、海外で口座を開くのは大変。せっかくだから残しておけば」と言われて、二人ともそのまま残すことに。香港在住時にしか入れない、保険商品に加入していたことも決め手になった。でも口座が凍結されないように、どんなふうに維持していくかはこれから試行錯誤することになる。

帰国前に2回の中国旅行を決行
夫はビザの関係で中国に行ける日をすべて仕事のために使っていたため、これまで一緒に中国旅行へ行くことができなかった。でも帰任でそのルールから開放されたので、「帰国前に、香港から気軽に行ける中国へ旅行に行こう」と言い出した。11月初めの2回の週末を使って、土日月の2泊3日で北京、西安へ。思い出に残る旅となったが、よけいに慌ただしくなった。心温まる送別会に「帰国前に会いたいね」のランチなど、香港でのステキな思い出が増えていく。

ユメコが処分したいモノ

日本の家で、いらないモノは思い切って処分

日本で「断捨離」スタート
住む人不在の日本のわが家には家具や荷物がそのまま残されていた。そこへ、香港からの荷物を入れるために、モノを整理して捨てる「断捨離」がスタート。リサイクルショップはフル活用。引越し業者にお願いして、船便の搬入時に、学習机や本棚ほか粗大ごみを、個人の支払いで引き取ってもらった。
一足先に帰国していた友人に、「段ボールが積んであると落ち着かないから、業者の方に、空き段ボールを回収してもらう日を決めて、その日までに片づけるようにするといいよ」とアドバイスをもらった。そこで、どんどん開梱していったのはいいが、収納するところがなくて、家中にモノがあふれ出す。香港式梱包は大きなわら紙を二つに折って、それを二重にしたもので、お皿などをくるんでいた。なので、一枚の写真立てがボールみたいになっているものも!荷物をほどいていくと、部屋がわら紙の山で埋もれた。それをたたんでいくのも一仕事。片付けの日々で手は悲しいくらいガサガサに。

寂しそうな顔をしている?
私は、香港でも日本へ帰国後もネットを使ってできる仕事を持っていたことに救われたと思う。でも仕事を半日、家の片づけを半日、という生活を送って1週間ほどしたころ、帰宅した夫に「日本に帰ってきてから寂しそうな顔をしている」と言われた。そんなことをいわれても…。

やがて自転車やオーディオなどを買って生活のベースが整い、友達と会っておしゃべりしたりするうちに、生活が楽しくなってきた。中でも嬉しかったのは、日本でスマホの契約をして、LINEやWhatsAppで香港の友達と連絡が取れるようになったときだった。

ユメコがリフォーム

帰国後、家をリフォーム。畳替えの採寸はレーザで行う


香港スマホを日本でも使いたい!

香港で使っていた私と夫のSIMフリースマホは、自宅の光インターネットとまとめて契約することにした。まずはA携帯会社へ。でも試し用SIMを入れた夫のiPhoneに、電波が立たず断念。次にB携帯会社へ。検査用SIMで電波が立ったので契約したが、契約後、私のXperiaもiPhoneも通話ができるのにネットが使えず…。窓口の方がいい方で本部に問い合わせたりネットで調べたりして設定をしてくれてようやく使えるようになった。
さて、帰国して1カ月半、片付けはひと段落。わかっていたことだけど、すぐに香港生活は夢のようなものになってしまった。

香港在住ユメコ〈ユメコのプロフィール〉
約4年半、夫の駐在に帯同して香港で生活。多国籍の友達もできて、パートに英語・中国のレッスンなど、香港生活をエンジョイしていた昨年11月、夫の帰任により日本に帰国した。心残りは「トラム・パーティーができなかったことかな」(笑)

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