教育熱心な香港人も疑問を投げかける全国統一テスト「TSA」

2016/02/03

香港なんで ここ香港で、最近教育界を騒がせている試験がある。TSA(Territory-wide System Assessment)と呼ばれる話題の試験は、小学校3年生、6年生、中学校3年生を対象とした全国統一テスト。中国語、英語、数学のテストを実施し、生徒たちの強み・弱みを捉え、教育に反映することを目的に2004年に導入された。しかし、このテストに今、頭を悩ませている親が非常に多いという。高い水準の教育を受けれるとあれば親にとっては嬉しいはずなのに?この不思議な現象、なんで?!
このテスト、実は「テスト対策」と称して放課後や休校期間に追加授業を実施する学校が後を絶たないのだ。学校側からすれば、学校のレベルに関わることなので手は抜けないのだが、子供からしてみれば常にプレッシャーをかけられているようなもの。見かねた親が、せめて小学校3年生の試験は免除すべきとの声を上げており、学校サイドと親サイドの応酬が鳴りやまない。TSAを推進している香港考試及評核局(HKEAA)は「試験は子供たちの基本学力を測定するものであり、授業外補講は必要ない」と述べているものの、「隣人が勉強しているのを見れば、自分もやらなくてはと思ってしまうのは自然な流れ」と香港家庭教育学院(HKIFE)は反論している。事態は学校と親に留まらず、香港教育界全体を巻き込んでヒートアップしてきている。
さて、そんな応酬が繰り広げられている中で注目を集めているのが香港教育局長のEddie Ng氏の発言だ。「TSAは今後もこれまで通り実施する。しかしTSA自体は生徒たちの学力水準を測るためのものであって、TSAのために補講を行うことがあってはならない」と語っている。しかし、教育局長の発言がどうであれ、どれだけの学校が授業外補講を自粛するかはまだまだ未知数だ。
開始した当初は評価の高い試験だったのだが、今となっては人生観まで関わるような大きな騒ぎとなってしまった。教育熱心な香港人が見ても「やりすぎじゃない?」と疑問を抱くほどの試験。「男はつらいよ」ならぬ、「子どもはつらいよ(泣)」とならぬよう、せめてクリスマス休暇くらいは自宅で家族とゆっくりと身体を休めればいいのだが…。がんばれ香港の子供たち!!

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