サバイバル環境に生きるカンボジアの犬

2016/02/11

カンボジアの犬は、基本、放し飼いだ。無題7
路上でのんびり寝そべる犬。屋台で食事のおこぼれを待ち構える犬。何かに向かって猛然と走り抜ける犬。子犬を連れて散歩する母犬。一見野良犬のごとく見える犬たちだが、彼らの多くは、時間になったらちゃんと「自宅」へ帰る飼い犬である。
カンボジアの犬はペットではなく、番犬として飼われているものが大半だ。彼らは家族というより居候のような存在だが、自由きままに過ごしている姿はそれなりに幸せそうに見える。

とは言え、境遇はなかなか厳しい。ふらりと出歩いた挙句、路上でヘンなものを食べて食中毒をおこしたり事故に遭ったりして、命を落とすことも少なくない。ひどい場合には「犬狩り」に犬肉料理屋へ連行されてしまうことも。彼らの生活はまさにサバイバルそのものだ。
しかしこんな野生的な環境だからか、犬本来の生き様を垣間見ることができる。仲間と集い、時に喧嘩し、恋をして子を宿す。一匹のメス犬を巡って複数のオス犬が噛み付き合いの大喧嘩をしていたり、縄張り争いで負けた犬が追いやられていたりと、人間顔負けのドラマが日常的に繰り広げられている。
最近はスーパーでドッグフードやペット用品も販売されるようになり、社会の変化とともに犬のあり方も変わっていくだろう。今の環境が良いとは言わ
ないが、犬らしい犬を見られなくなるのも寂しい気がする。

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文:矢羽野 晶子(クロマーマガジン編集部)
カンボジアクロマーマガジンhttp://krorma.com/
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カンボジアはシェムリアップ発、「使って便利、読んで楽しい」がコンセプトの無料季刊誌。アンコール遺跡情報はもちろん、どこに行こう、何食べよう?という時にバックに忍ばせておくと便利なガイドブック。2013年は日カンボジア修好60周年。ますます熱いカンボジアへいらっしゃ~い。

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