尖沙咀の科学館にて物理学研究最大級の特別展開催

2016/03/21

Collider3私たちの身の回りにあるモノは何から出来ているかご存知だろうか。そう、「素粒子」である。私たち自身の身体はもちろん、山や川など地球上に存在するモノすべて、さらには太陽系を含む天体すべてを構成している。物質を構成する最小単位の粒子である「素粒子」の秘密を探究することで宇宙創世の謎も解明できると、これまで幾千人もの研究者たちがその研究に取り組んできた。

そんな宇宙の成り立ちの解明に挑んできた研究機関の1つ、ヨーロッパ合同原子核研究機関、通称CERN(セルン)は、スイスとフランスの国境地帯にある世界最大規模の素粒子物理学の研究所。世界30カ国以上からおよそ6,000人の研究者が参加し、日々素粒子の研究を進めている。同研究所が高エネルギーの物理実験を目的として開発したのが「大型ハドロン衝突型加速器(LHC:Large Hadron Collider)」と呼ばれる全周約27kmの加速器だ。スイスとフランスの国境をまたぎ、地下約100mの地点に山手線と同じ長さの27kmのトンネルが掘られ、その中に真空のパイプが通されている実験施設では、まだ解明されていない素粒子を見つけ出す研究を行っている。実際に数年前には、長年存在が仮定されながらも発見に至らなかった「ヒッグス粒子」の存在を明らかにしており、その功績がたたえられた。同粒子についてはその存在を予言していた英エディンバラ大学の名誉教授ピーター・ヒッグス氏と、ベルギー・ブリュッセル自由大学名誉教授のフランソワ・アングレール氏に2013年自然科学部門のノーベル賞が贈られており、記憶に残っている方も多いだろう。

現在香港サイエンスミュージアムで開かれている「Collider: Step inside the World’s Greatest Experiment」は、そんな物理学界に多大な影響を与えているセルンの研究施設や、実験装置「LHC」の構造、素粒子物理学の普遍的な理論体系となっている「素粒子の標準模型」の説明など、現代物理学の最新の研究成果を展示する特別展。ダークマターと呼ばれる仮説上の物質、ビッグバンの解明など、物理学がもたらした成果を学ぶことができる。特に「LHC」で実際に使われている部品である重さ約2トンの超伝導マグネットの展示は、最新研究の一端を直に見られるまたとない機会だ。

特別展の開催は5月25日まで。物理学に興味のある方、最新研究内容に興味のある方は足を運んでみよう。また子供たちも楽しめるような構成となっているので、週末に家族で出かけてみるのもオススメ。その経験が将来の物理学界を代表する研究者を生むきっかけになるかも!?

Collider: Step inside the World’s Greatest Experiment
(「衝突型加速器コリダー:世界最大級の研究を覗いてみよう」)
期間:5月25日まで
場所:Hong Kong Science Museum, 2 Science Museum Rd., TST East
時間:平日10:00~19:00 土、日、祝日 10:00~21:00 ※木曜日定休
料金:常設展来訪者は無料(常設展料金:一般HKD25、グループHKD17.5)ミュージアムパス保有者は無料、水曜日無料
電話:(852)2732-3232
ウェブ:http://hk.science.museum/
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