特集「香港でEcoを考える」2

2016/05/09

リンダ・ホー氏香港市民レベルでのエコ参加とは̶

香港の環境保全を推進する「緑の番人」持続可能な社会を目指そう!
Green Council
香港をワールドクラスのエコ都市とすべく、環境保全の啓蒙活動を続ける非営利団体「グリーンカウンシル(Green Council; 環保促進會)」。『教育は会話から』というモットーにもある通り、学校や地域コミュニティでの講演会や、環境保全のスキーム確立など、2000年の設立以来多くの成果を残してきた。16年の長きに亘ってCEOを務めるリンダ・ホー(Linda Ho Wai-ping)さんは「世界的に環境保全を求める声は高くなってきており、私たちが演じるべき役割も日に日に増しています」と語る。香港市民と企業を環境保全という意識で繋ぐ活動を続けるグリーンカウンシルの事業を紹介しよう!

環保促進會
Green Council

住所:Rm 710, New World Tower 1, 18 Queen’s Rd. Central
電話:(852)2810-1122
ウェブ:www.greencouncil.org
メール:info@greencouncil.org

環境意識を高めるイベントならコレ!
今年で開催4周年となる「香港グリーンデイ」は毎年6月5日に制定されている「世界環境の日」を記念するエコロジーイベント。今年は香港サイエンスパークで開催され、3kmラン、10kmランなど様々な交流イベントを設け、CO2排出量の少ない暮らしの大切さ、環境保全に関する啓蒙活動、最近の研究結果の共有などを行う。参加登録は以下のウェブサイトから受付中! 環境保全を身近に感じる1日にしよう!

香港グリーンデイ(Hong Kong Green Day; 香港緑色日)
日程:6月5日
ウェブ:www.greenday.hk/en

あなたが何を買うかで未来が変わる!
「グリーン購入(Green Purchase)」という言葉をご存知だろうか?物を購入する際に、環境負荷ができるだけ小さいものを買う行動を指す言葉である。日本でも環境省が近年積極的に啓蒙活動を行っており、資源のリサイクルと同じように今日からできる環境対策として話題を呼んでいる。消費者側のグリーン購入活動としては、買う前に必要かど
うかを考えることや、長く大切に使えるものを選ぶこと、使い終えたらゴミが少なくなるものを選ぶことなどが挙げられ、事業者側の活動としては、環境負荷が小さい物作りをすること、エコドライブを意識した物流を取り入れること、再生利用した素材を積極的に取り入れることなどが挙げられる。
「香港環保採購約章(HKGPC)」は、そんなグリーン購入を事業に取り入れた企業が参加する環境団体で、参加企業にはHKGPCからの最新のグリーン購入の調査結果が得られる他、HKGPCのロゴマークをマーケティング用途に使用できるなどのメリットがある。参加企業はキャセイパシフィック航空、香港ディズニーランド、MTRコーポレーション、香港タウンガスなど香港の地場系有名企業のほか、EPSON香港などの日系企業も含まれており、参加企業は業種を問わず幅広い。国際連合環境計画(UNEP)のバス・デ・レーウ氏は「香港の消費者、そして事業者双方がグリーン購入に意識的に取り組むスキームはとても有意義だ」と語っている。
身近なところから始められるグリーン購入。早速あなたも今日から始めてみよう!

香港環保採購約章
香港環保採購約章(Hong Kong Green Purchasing Charter; HKGPC)

ウェブ:www.greencouncil.org/eng/hkgpc/overview.asp

日本のエコマークに相当する環境ラベル

「生産」から「廃棄」にわたって環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認定された商品に付与される環境ラベル「エコマーク」。日本以外でも、中国、韓国、インド、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム、台湾などでエコラベルのスキームが浸透しているが、香港がエコラベルの導入を発表したのはつい16年前の2000年。マークは白地に緑色の葉が爽やかなデザインで、同マークがついている商品は日本のエコマーク同様、環境負荷が少ない設計を取り入れている証だが、一般に浸透するにはまだまだ時間がかかりそうだ。グリーンカウンシル代表のリンダさんは「日本やアジア各国と比べてみても、香港は環境保全を推進していくべき立場としての意識がまだまだ低いと感じています。今後より一層潜在的な意識を高め、世界に向けてエコフレンドリーな団体としての認知度を上げていく必要があるでしょう」と語る。
今後スーパーやコンビニでグリーンラベルを日常的に目にする機会が増えることを期待したい!

香港のグリーンラベル日本のエコマーク
香港グリーンラベル

ウェブ:www.greencouncil.org/eng/greenlabel/intro.asp

環境保全を推進している企業に贈られる名誉の賞
環境保全に意欲的に取り組んだ企業を讃えるために2010年に設立された「香港グリーンアワード」。グリーン購入賞、グリーンマネジメント賞、環境・健康・安全賞、コーポレートグリーンガバナンス賞の4つが設けられ、2015年にはHong Kong Housing AuthorityやCLP PowerHong Kong Limitedなどの香港有名企業が賞を獲得した。日系の企業であるコニカミノルタ香港も受賞していおり、グリーン化を推進する企業の後押しとなっている。

香港グリーンアワード
香港グリーンアワード(香港緑色企業大奨; Hong Kong Green Awards)

ウェブ:www.greencouncil.org/eng/hkga/bkg.asp

電力エネルギー問題
香港の電力消費量ってどれくらい?
煌く街・香港を支える2大電力会社

火力発電所眠らない街香港-。この都市で消費される膨大な電力は「香港電灯(The HK Electric Company Limited)」と「中華電力(CLP Power Hong Kong Limited)」という2つの電力会社が供給している。前者は香港島やラマ島に電力を配給し、後者は九龍・新界・ラマ島以外の離島に電力を配給しており、この2社のおかげで夜でも明るい都市が成り立っていると言っても過言ではないだろう。
2つの電力会社のうち、創業が古いのは1889年に設立された香港電灯だ。同社はラマ島に火力発電所を構えており、総出力は3,757MW(メガワット)、57万人へ電力を送電している。一方の中華電力は1901年に創業された電力会社で、総出力は6,908MW、246万人へ送電している。発電所はキャッスルピーク(屯門:テュンムン)、ブラックポイント(屯門)、ペニーズベイ(ランタオ島)の3ヵ所を構えており、全て火力発電だ。同電力会社は総供給電力の約30%を中国の深圳北東に位置する大亜湾(Daya Bay)原子力発電所から購入していることでも知られている。一時中国本土からの供給率を上げようという話が挙がったそうだが、中国依存を嫌う市民から反対の声が挙がったとされ、引き続き30%を維持しているそうだ。
香港環境局が発表した2015年の研究レポート「Energy Saving Plan」によると、2012年に香港で消費された総電力430億7,800万KWhのうち66%が商業施設、26%が住居で消費されていることが分かった。実に香港の電力消費の9割近くを商業施設と住居で消費していることになる。さらに電力消費の内訳を見てみると、約30%が室内空調に、約13%が照明に使われているという。家庭内の電力消費に限って見てみても、室内空調の使用割合は34%となっており、最も電力がよく使われているのは室内を快適に保つエアコンであることが分かった。
電力消費から離れ、太陽光発電や風力発電など環境負荷が少ないグリーンパワーについて見てみよう。香港では香港電灯が2012年にラマ島に総出力1MWのソーラーパネルを設置済みで、さらに同じラマ島に総出力800KWの風力発電も備えており、合わせて約1,717トンのCO2削減に成功したと発表している。同社はさらにラマ島沖に総出力100MWの風力発電所を設ける計画を発表している。実現すれば50,000世帯の電力を賄うことができるとされ、香港市民の期待も熱い。
「百万ドルの夜景」の異名を持つ香港を支える香港電灯と中華電力。世界トップレベルの安定した供給が保たれているが、世界の消費電力削減の流れはまだまだ見られない。電力のグリーン化などを本格的に取り入れるにはさらに踏み込んだ改革が必要そうだ。

原子力発電所
香港電灯
ウェブ:https://www.hkelectric.com/en
中華電力
ウェブ:https://www.clp.com.hk/en

風力発電太陽光 発電
クリーンな未来を築こう!

普及著しい電気自動車

ここ数年香港で目にする機会が増えているEV(電気自動車)。ガソリンではなく電力を動力源としており走行時のCO2排出がゼロとなるため、「究極のエコカー」と言われている。地球温暖化や石油枯渇の可能性が叫ばれる中、各国はエコカーの普及政策を積極的に取り入れており、香港もその例外ではない。
香港には2016年1月現在、4464台のEVが走行している。2010年にわずか100台だったことを考えると、その伸び率に驚く人も多いだろう。EVの普及最大の要因は海外から輸入される車両にかかる登録税(First Registration Tax)の免除だと言われている。香港では一般的な乗用車の場合、車両価格の15万香港ドルまでは車両価格×40%の税率が、15万香港ドル~30万香港ドルまでは75%の税率が、30万香港ドル~50万香港ドルまでは100%の税率が、そして50万香港ドル以上には115%の税率が課せられるが、EVの場合はこの呆れるほど高い登録税がなんと免除となるのだ。これは2017年3月までの限定処置だが、実際に高級電気自動車メーカー「テスラ」のモデルとそれよりも安価な外国車のモデルを比較してみても、最終的には税金が上乗せされテスラの方が安くなるという事象も起きており、「香港高級車市場においてテスラは安価」との見方も出ているほどだ。
さらに、公共の乗り物であるバスを順次EVに切り替えていくという、政府主導のEV普及政策もある。政府は既に180百万香港ドルをかけ36台の電気バスをテスト運行させており、2015年にはそのうちの5台が公共バスとしての運行をスタートさせている。また、EV普及になくてはならない充電スタンドの拡充も進められている。香港には2016年2月現在、226箇所1282台の充電スタンドが設置されているが、今後利用者の増加に伴いその数も拡大していくだろう。
数年前よりも格段に身近になったEV。香港の交通事情を変えるほどの存在となりうるだろうか?今後もその普及に注目が集まる!
電気自動車電気自動車

環境保護署関連ウェブ:
www.epd.gov.hk/epd/english/environmentinhk/air/prob_solutions/promotion_ev.html

 

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