宝石業界こぼれ話 ジュエリーの「ホーム・ドクター」

2016/08/23

先日、日本に出張した折に、相続をしたジュエリーを見て欲しいという依頼がありました。

拝見したジュエリーの内一点、薄紫色の石の指輪について私の所見をご紹介します。(写真1)

1.ラベンダー ジェイド リング2.変形をしたリング

お伺いして、早速、屈折計をセットし、その石に入った光の屈折率を読みました。屈折率1.62、複屈折等をチェックし、ルーペで石を観察しました。天然のラベンダー・ジェイドです。つまり、硬玉ヒスイ(ジェイダイト)です。所謂、高価に取引をされるタイプのヒスイです。ラベンダーの色調が全体に載り、上品な本筋の品です。旅行のガイドブックに紹介される「香港ヒスイ市」で見受ける怪しげな品と違います。日本では、ヒスイと言えば深緑と思われるでしょうが、中華圏ではラベンダーも、また透明・半透明の氷の様なヒスイも人気です。脇には小粒のダイヤモンド10個が、プラチナ900(Pt900)の枠にセットされています。指輪の形は変形しています。(写真2)この変形は、簡単に直せます。しかし、使っていると、また、数年内に変形するでしょう。実は、鋳造方式で加工したPt900(90%プラチナ、10%パラジュームの合金)は、柔らかいので変形しやすいのです。変形が気にならなければ、そのままでも使用には問題ありません。それでも気になったら、直せばよいのでしょうね。

この指輪には、2年前の価格評価メモがついていました。相続税の為でしょう。特に昨今は、宝石・貴金属も相続税の対象と見なされています。私は、常に国際的な市場での価値評価をしています。その観点から判断して、添付されていた評価は妥当と思いました。

私の総合的なアドバイスは:

  • 指輪を円形に修理して、時々着けて下さい。円形にする修理費は僅かです。
  • デザインをもう少し華やかにして、今風のデザインにする事も考えられます。その折、加工に使用するプラチナは、固さを出せるプラチナにする。デザインは、私がさせて頂きます。
  • もし、今後お着けに成る予定がないのでしたら、買取りもさせて頂きます。

以上の様に3つの選択肢を上げました、一人一人のお客様に、ジュエリーに関するアドバイスをしています。それを私の友人たちは、ジュエリーの「ホーム・ドクター」或は「ホーム・ジュエリー・アドバイサー」と命名してくれました。相続税が気になる終活として、ジュエリーを査定・整理する時は、ご相談ください。

O’s Creation Limited / Hoops Limited
住所:Unit 211, 2/F., Mirror Tower, 61 Mody Rd., TST
電話:(852)2367-3562
メール:sammatsuurahk@gmail.com

 

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