日本人の転職マーケット RGF HR Agent Hong Kong Limited 

2016/10/25

髙山典久氏以前は、製造業・商社を中心に多くの日系企業がバックオフィス業務に日本人を採用していたが、近年では日本語を使用出来る現地人の採用が増え日本人需要は減少傾向にある。他方では日本からの駐在員が、帰任辞令を機に現地採用に切り替え香港残留を希望するケースも目立っている。そこで今回は、香港で多くの日本人転職希望者をコンサルティングしてきたRGF HR Agent Hong Kong Limited 総経理の髙山典久氏に日本人の転職市場についてお話を伺った。

•現在、どのような職種の需要が目立ちますか。
日本企業や日本マーケットを対象にした営業職・マーケティング職の割合が増加しています。特に外資系企業が新たにジャパンデスクを設け、日本市場を狙うケースが増加傾向にあり、求められるスキルもより高度になってきました。

•香港での求人案件数は季節によって変動があるものでしょうか。
一般的に旧正月が明けた後の3月4月が転職・採用のピークシーズンと言われていますが、日本人や外国人の転職シーズンは夏季7月8月、冬季12月前後の方が活発です。金融業界においては10月頃から来期の採用活動を開始するケースも多く求人数は増加しますが、その多くは現職者のリプレイスで非公開案件として扱われています。

•香港での業界別・職種別の給与水準はどのようなものでしょうか。
香港の物価は、デフレの続く日本と比べ相当高くなっていますが、実は平均給与を見ると、香港の平均賃金は日本を下回っています(日本414万円、香港270万~290万円)。しかし、実際は日本と比べ労働者間の所得格差がかなり大きく、いわゆるホワイトカラー職においては東京と同等の給与水準、更にマネジメント・エグゼクティブレベルや専門職になると、日本よりも遥かに高い給与水準となっています。日本人を含む外国人も同様で、アシスタントや担当者レベルの給与ですと月給18,000~25,000 HKDとなり年収ベースで日本と変わりません。金融・コンサルティング系の専門職やエグゼクティブクラスとなると月給70,000~150,000 HKDとなり、同格のポジションでも日本より高額になるケースが多いです。対象を日系企業に絞りますと、会社規模が小さい企業が多いためマネジメントレベルでも月給35,000~70,000HKDが多くを占めますが、所得税率を考えると収入ベースでは日本と変わらない場合も多く見受けられます。

•経験や知識、語学面で求められるスキル等なども踏まえ教えてください。
まず語学について述べますと、香港でオフィスワークに就く場合は英語の使用は必須です。たとえ発音が下手でも、外国人と英語のコミュニケーションを抵抗無く出来ることは必要です。北京語(普通語)は、必須ではありませんが製造業・商社や一部の金融機関では中国本土との連絡も多く、使えると重宝されます。広東語に関しては、香港内で小売・飲食などのビジネスをする場合に必要ですが、多くは日本語や英語の出来る香港人が間に入るためあまり需要はありません。経験については、やはり日本や他国で同じ業界や同じ業種での経験は有利です。営業やマーケティングの経験があると求人企業が多いため自然と選択肢は広くなります。また、香港で比較的規模の大きい金融業界では、ミドルオフィスやバックオフィスの需要が多くあり、同業界での経験者は歓迎されます。

•今後の就業状況、転職マーケットについてどうなることが予想されますか。
近年は製造・商社が深圳・広州への機能移転を続けていましたが、その動きもひと段落し、再びアジアの統括機能として香港が注目されてきています。中国・東南アジアなどアジア全体の会計財務・人事総務・法務コンプライアンスの経験者は今後も需要が見込まれます。また、日本からの駐在員ではなく現地採用の日本人を用いるケースも増加しており、海外法人の経営に携わった人材は引き続き海外に残る選択肢が増えていくと思います。

•チャイナプラスワンが進むベトナムやタイ等の近隣する東南アジア各国では、どのような求人需要がありますか。
就業ビザの取得条件も低いことから毎年多くの人材が日本国内から流入しています。業界は製造・商社・物流が中心であり、職種は営業・購買から会計財務・総務人事など多岐に渡ります。前述の二国ほどではありませんが、マレーシア・フィリピン、インドネシアなども継続的な求人増加が見込まれるでしょう。

•最後に、キャリアアップの為に転職を希望者にアドバイスをお願い致します。
日本では、勤務年数が長い=能力が高いと見なされ、給与に反映される職能給制度が一般的ですが(※本来の職能制度とは異なり、形骸化されたものになっています)、香港を含む海外では職務給制度が一般的です。つまり、能力がある⇒高いポジションと責任を課す⇒相応の額を給与に反映、という形であり、勤続年数と給与レベルは一致しません。これは一見、若いうちから多くのチャンスを与えられるとポジティブに見えますが、一方で給与額と責任の重さが一致するわけですから、高い給与を貰うということは同時に仕事量・責任は圧倒的に大きくなるということです。キャリアアップをするためには、それ相応のプレッシャーと業務量を負う覚悟と、その業務をこなせる能力の両方を備えなければなりません。実際、香港人の中には、高い金額でオファーを受けても入社後数か月で能力が足りず解雇される人や、希望給与を故意に下げて転職するエリート層が多くいます。目の前に提示された給与の金額だけでなく、ワークライフバランスや業務内容を自身の能力に照らし合わせ、十分に検討することが重要だと考えます。

RGF

RGF HR Agent Hong Kong Limited(株式会社リクルート 香港法人)
住所:Unit 2206, 22/F., Wu Chung House, 213 Queen’s Rd., Wanchai
電話:(852)2537-2557
ウェブ: www.rgf-hragent.asia/en/hongkongwww.recruit-rgf.com

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