オールド広州を味わえる 深井古村

2016/12/07

深井古村

深井古村は、比較的良い状態で保存されている広州の古村落。村内にはたくさんの歴史的建築物、古民家、宗祠(霊廟)等などがあり、嶺南建築の一貫したスタイルを今に伝えている。深井古村の建築は、客家スタイルの碉楼(望楼)と西洋の石柱、門楼、模様・図案を取り入れているのが特徴である。こうした建築スタイルの融合は、当時の人々が異文化をどのように解釈し地元文化の中に取り込んだのかを知る手がかりとなっている。

深井古村

同村は、珠江の長洲島に位置する。元々ここに住んでいたのは凌氏と呼ばれる人々で、言い伝えでは南宋末期に元の追手から逃れて福建省からやってきたという。長洲島は耕地になる土地がほとんどなかったため、村民の多くは商いを生業としてきた。財を成したものは近くの
番禺・順徳一帯に投資し、新田の開墾を進め、”経営地主“となった。深井村もこれで成功した人が多く、教育・文化の面でも発展したそうだ。

【文塔】
深井文塔は、清の時代に建てられた六角形の楼閣式木レンガ造りの古塔で、鎮村宝(村の宝)でもある。深井村では教育に重きが置かれてきたこともあり、これまで多くの文人を輩出してきた。この塔は、村の功績をたたえるために、また後世の人々が「青は藍より出でて藍より青し」となることを願って建てられた。正門の上には「山明水秀」、上の層には「振採高飛」の文字が刻まれており、深井村の書道家・凌霞成の書とされている。

深井古村

【凌氏宗祠】
同村で最も良い状態にあり、なおかつ最大の大きさを誇る建造物が「凌氏宗祠」である。深井村の代表的な建造物である凌氏宗祠は、明代末期に建造された後、1846年(道光26年)に再建された。1862年(同治元年)に修繕が施され、深井村の凌氏始祖廟となった。凌氏宗祠の彫刻は崩れているが、美しい磚雕(レンガ彫刻)や木刻は残っている。

広州の異文化流入の歴史を物語る「深井古村」。かつての先人たちが現在に残した建造物を見ながら、悠久の歴史について、しばし思い巡らしてみるのも良いのではないだろうか。

深井古村

深井古村
住所:広州市黃埔区近郊金洲南路
料金:無料
アクセス:地下鉄4号線大学城北より車で15分

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