特集:香港・広東アートスポット

2018/02/27

今年も香港アートフェスティバルが2月23日~3月24日の期間で開催中!各会場や劇場では様々なプログラムが用意されており、開催前から既に予約で一杯の人気演目もある。既に開催中のフェスティバルではあるが、観たい演目があれば、直ぐに予約をすることをオススメしたい。ご存知の方も多いかもしれないが、期間限定の当フェスティバル以外にも、香港にはアートスポットが街中にたくさんある。ここでは、歴史を感じられる美術館から複合映画館、古い建物を再利用して出来たアート施設に加えて広東エリアの絵画村や工場跡地を再利用したおしゃれスポット、斬新なデザインの建物など、13スポットを一挙大公開!

香港

The Fringe Club藝穗會
都会のオアシスで音楽とアートに酔いしれる

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image_get-300x200白壁とレンガの横縞模様が特徴的な「フリンジ・クラブ」。100年以上の歴史を持つ低層建築のこの建物は、元々乳業会社の冷蔵倉庫として使われていたが、その後外国人記者クラブなどとして利用され、30年ほど前に現在のアートスペースとして始動した。建物内には昔ながらの舞台がいくつかあるほか小さなステージ付きのバーもあり、ジャズやロックのライブ、ダンスパフォーマンスなど様々なイベントが行われている。ランカイフォン(蘭桂坊)から近いこともあって週末の夜になるとほろ酔い気分の音楽好きが集まり素敵な音色に酔いしれる。舞台以外にもギャラリーや、屋上庭園のあるレストランなどがあり、まさに都会のアートオアシスといったところ。昼間でも十分楽しめる。

The Fringe Club 藝穗會
住所:2 Lower Albert Rd., Central
電話:(852)2521-7251
時間:12:00~深夜(日曜休)
ウェブ:www.hkfringeclub.com

Hong Kong Arts Centre香港藝術中心
芸術学校が併設された香港現代アートの拠点

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湾仔(ワンチャイ)駅から徒歩15分の場所にある「香港アートセンター」には、ギャラリーや劇場、映画館などがあり、様々な現代アートに触れることができる。また政府公認のアートスクールが併設されており、世界中の有名アーティストによるセミナーが頻繁に行われることから芸術家の卵たちが多く集まる。現代的な建物の中には至るところに作品が展示されており、館内を歩くだけでもアートに触れることができるほか、芸術関連の書籍や雑貨を扱うアートショップなどもある。

Hong Kong Arts Centre 香港藝術中心
住所:2 Harbour Rd., Wan Chai
時間:8:00~23:00
ウェブ:www.hkac.org.hk

Broadway Cinematheque百老匯電影中心
アーティストの芸術作品も並ぶ複合映画館

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アジア有数の映画祭である国際電影節が毎年春に開催されるなど、映画に熱い香港。油麻地(ヤウマーテイ)にある映画館「ブロードウェイ・シネマティーク」は、映画ファンが数多く訪れる香港芸術文化のランドマークの1つともいえる場所だ。ブロードウェイ系列の映画館は多数あるが、1996年にオープンしたこちらの複合映画館は4つのスクリーンを持ち、香港ではここでしか見られないようなレア作品も上映。映画館だけでなく本屋やDVDストア、アート雑貨のお店もあり、名監督スタンリー・キューブリックから名付けられたDVD店「KUBRICK」では海外映画のポスターなども販売している。また同名のカフェにはアーティステックな写真集や香港アーティストの作品が並ぶ。

Broadway Cinematheque 百老匯電影中心
住所:Prosperous Garden, 3 Public Square St., Yau Ma Tei
ウェブ:http://bc.cinema.com.hk

The Hong Kong Academy for Performing Arts香港演藝学院
香港が誇る芸術専門の教育機関

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「香港アカデミーパフォーミングアーツ」は、1984年に政府により設立された芸術の専門教育機関。金鐘(アドミラルティ)駅と湾仔(ワンチャイ)駅の間に位置するアジアのパフォーマンスを先導する第3の組織である。ダンス、ドラマ、映画、テレビ、音楽、劇場、エンターテイメントアート、チャイニーズオペラなどのプロフェッショナルな学部教育を学ぶ。その教育の哲学は、中国と西洋の影響を強く受けた香港の文化の多様性を反映している。またコンサートホールでは学生のみならずプロのピアノコンサートやジャズコンサート、劇場では広東オペラやドラマなど、さまざまな演目が楽しめる。ハイレベルな専門教育を受けた人たちの素晴らしい演技が期待できるに違いない。

The Hong Kong Academy for Performing Arts 香港演藝学院
住所:1 Gloucester Rd., Wan Chai
電話:(852)2584-8500  
ウェブ:www.hkapa.edu

PMQ元創方
個性が光るアートショップが勢ぞろい!

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香港のアート好きの間で、ホットなスポットと言っても過言ではないのが元警察宿舎を改装してできた「PMQ」だ。若手デザイナーによるアクセサリーショップや雑貨店、雰囲気の良いカフェなどそれぞれの部屋が個性的で、眺めながら歩くだけでも楽しい。日本の最も有名な芸術賞、グッドデザイン賞を運営する日本デザイン振興会による初のオフィシャルショップ「GOODDESIGNSTORE」もあり、ここでは過去の受賞作のなかでも選りすぐりの製品を購入することができる。小瓶に入ったペンキや塗り筆などちょっとしたお洒落なDIY用品が手に入る、香港では珍しいペイントショップ「513 Paint Shop」や、懐かしい玩具や香港文化をモチーフにした雑貨を販売する「mall852.com」などもユニーク。また「SEE Through Craftsmen」では、香港の伝統工芸を明日へ伝えようと、一度引退した職人が実際に店内で作業しその商品を販売している。昔、一般的に使われていたブリキの郵便受けを作る老人や、桶職人などの作業工程は見ていて飽きない。

PMQ 元創方
住所:No.35 Aberdeen St., Central
ウェブ:www.pmq.org.hk

Cattle Depot Artist Village牛棚藝術村
歴史を感じながら地元芸術家によるアートを堪能

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以前カイタック(啓徳)空港があった場所にほど近い馬頭角(マータウコック)には、1908年から1999年まで家畜検疫所として使われていた建物が残る。そこは2001年に香港の芸術家たちにより修復され芸術村へと生まれ変わった。1.7ヘクタールの敷地には飼料小屋、事務所、3棟の家畜小屋などがあり大変広いものであった。当時の名残を残す独特な雰囲気の芸術村には、20ほどのアートグループがあり、芸術家のアトリエ、イベントが行われる小さな会場も用意されている。外観の赤レンガはまさに当時のまま、牛をつないでいた鉄製リング、水飲み場なども残っている。また一歩中に入ると、現代のアートを感じることができ、新しい感覚で芸術を楽しむ事ができるだろう。近くにはMTRの駅が無いため、バスかフェリーで訪れると良い。

Cattle Depot Artist Village 牛棚藝術村
住所:63 Ma Tau Kok Rd., Ma Tau Kok
時間:10:00~22:00

Jockey Club Creative Arts Centre賽馬會創意藝術中心
古い工業ビルをリノベーションしてできたアート施設

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ジョッキークラブや政府などが合同で運営する「ジョッキークラブ・クリエイティブアートセンター(通称JCCAC)」は、ビルを丸ごと芸術空間にした複合アート施設。1970年代に建てられたこの建物は、以前は工業ビルとして使われていたそうで、外壁には今も当時の「石硤尾工廠大厦」の文字が残る。一方、吹き抜けだった中心部にガラスを張り、雨がしのげるパフォーマンスホールにするなど、内装はフルリノベーション。古さと新しさが何とも言えない雰囲気をかもし出している。9階建ての建物の中には、120を超えるアーティストのアトリエ兼展示室があり、廊下や階、部屋と部屋のちょっとしたスペースにも彼らの作品が飾られている。石硤尾(セッキップメイ)駅より徒歩約10分。

Jockey Club Creative Arts Centre賽馬會創意藝術中心
住所:30 Pak Tin St., Shek Kip Mei
電話:(852)2353-1311
ウェブ:www.jccac.org.hk

深圳

DAFEN Village大芬油画村
レプリカ製造工場!?世界屈指のアートな村を行く!

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世の中には良質のレプリカ(複製画)が数多く流通しているが、それらはどこで作られているかご存じだろうか?深圳市龍岗区布吉街道・深圳地下鉄3号線「大芬」駅のA1出口から徒歩3分の場所にある「大芬油画村」。ここでは世界市場のおよそ6割のレプリカが作られているといわれている。街のど真ん中に形成されたこの「レプリカ村」では、至る所で筆を走らせる人たちを見ることができる。油絵を中心に書画、刺繍、彫塑、工芸品を扱う美術商が立ち並び、1,200以上のギャラリーが軒を連ねる。中国各地から芸術を志す者が集まっており、この地に住む画家・絵師は8,000人以上ともいわれる。

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かつてはひなびた農村だった大芬。1989年、香港の画商が20人の職人を連れて移住したのをきっかけに芸術文化が芽生えた。その後、行政もこの村の発展に寄与し、レプリカのみを手がける画工は深圳市の公募展に3回入選すると「画家」と呼ばれ、画家専用の住居に周辺の賃料の3分の1の値段で住めるなどの恩恵を受けられるようになった。そのため大量オーダーにも対応できる技術力と人材が育まれたのだ。

ここには、世界各地からお目当ての複製画を求めて訪れる人、ホテルやレストランなどに飾る絵画を大量に買い付けるバイヤーなど実に多くの人が押し寄せる。これほどまでに人気の理由は、クオリティーの高さと驚きの価格にある。余談だが、これらは決して贋作ではない。複製画は原則作者の死後50年が経過した作品で、サインは入れず、著作権を侵害していないかどうかはスタッフがチェックしている。「大芬美術館」で、新進のオリジナル絵画の展示などが行われており、この地で作品を生み出す画家たちのコレクションを鑑賞することも可能だ。

DAFEN Village 大芬油画村
住所:深圳市龍岗区布吉街道布沙路・深恵路
電話:(86)755-8473-2633
ウェブ:www.cndafen.com

牧羊語咖啡画廊
アンティーク調の画廊でゆっくり時間を過ごす

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草原に建つ小さな家のような牧歌的佇まいの「牧羊語咖佔画廊」では、油絵を中心とした絵画を多数展示している。アンティーク調の革のソファーやレトロなシャンデリアがオシャレな店内はどこか懐かしい雰囲気。植物を題材にした作品が多く、優しい色合いの絵画に囲まれながらゆっくりと一休みできるリラックス空間だ。

90~96℃の温度で蒸らすことで豆の風味を最大限に引き出したコーヒーが同店のもうひとつの自慢。すべて手づくりという各種デザートも充実しており、油画村散策で疲れた時には嬉しいカフェだ。味わい深い牧羊語咖佔画廊で芸術の香りに酔いしれてみるのも良いかもしれない。

牧羊語咖啡画廊
住所:深圳市龍岗区布吉鎮大芬油画村老囲東十巷3-3号
電話:(86)136-9980-8791

木馬咖啡画廊
独創的な作品を観ながらコーヒーを楽しむ

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オーナー自身がアーティストだという「木馬咖佔画廊」は、油画村を囲むようにして通っている目抜き通り・油画街沿いにあるため誰でもすぐに見つけることができる。淹れたての新鮮コーヒーが飲める喫茶店としても人気がある同店では、すでに絶版した建築や写真、絵画などアート関連の本が豊富に取り揃えられており、どれも閲覧可能だ。店内の一角に設けられたギャラリースペースでは、オーナー厳選の作品を集めた展示会や自身の個展も定期的に開催している。上品でちょっと個性的な作品たちを楽しみながらアートなひと時を味わってみてはいかがだろうか。

木馬咖啡画廊
住所:深圳市龍岗区布吉鎮大芬油画村内

広州

Redtory紅専廠芸術創意区
缶詰工場跡を利用したアートスポット

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工場跡を改造したおしゃれなアートエリアが広州にも増えつつある。そのなかでも注目なのが「紅専廠」だ。広州の新都心開発エリア「員村」の一角に位置する。有名な缶詰ブランド「鷹金銭」の工場跡地を利用したアートスポットで、画廊やイベントスペース、おしゃれなカフェやレストランが建ち並ぶ。

赤レンガ工場を意味する「紅専廠」は、その名のとおり、赤レンガ造りの建物が主体となっている。1956年、旧ソ連による協力のもと建てられたため、広州では珍しい赤レンガに三角屋根というロシア風建築となった。当時はアジア最大の缶詰工場として、中国人なら知らない人はいない「豆䋬䩙魚」を生産していたという。工場閉鎖後しばらくは何の変哲もない工場跡地だったが、現在では数十棟の赤レンガ建築物が良い状態で保存され、おしゃれな店舗なども入り、見事な変貌を遂げた。工場の建物をそのまま利用しているので、どの店舗も天井が高く広々としており、ゆったりとした空間が広がる。エリア内では個性的なオブジェを目にするが、これらはすべて鷹金銭工場の機械や部品で作られた作品だ。

そんな独特の雰囲気を求めて訪れるのは、おしゃれに敏感な若い人たちだけではなく中高年も多い。夜になるとレストランでゆっくりディナーを楽しむ人の姿が見られる。また、地元の文化に触れることもでき、絵画や写真の展覧会が催されていたり、中国伝統の切り紙細工を体験することも可能だ。世界の工場といわれるほど製造に力を入れる中国だが、ここに来れば「中国製造」だけではなく「中国創造」にも明るい未来があることを感じられる。

Redtory 紅専廠芸術創意区
住所:広州市天河区員村四横路128号  
電話:(86)20-8557-4417    
時間:10:30~21:00
ファクス:(86)20-8557-8470 
ウェブ:www.redtory.com.cn

360°店
ちょっと変わった店名「360店」、広州のアートスポット

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このユニークなネーミングは、「お客様の期待に360度応えられるような商品を取り扱う」という同店のモットーが由来。広州で生まれたアートな雑貨を中心に画集・文学書などの書籍、手づくり天然石鹸、ガラス茶具、フォトフレームなど、アナログもデジタルも引っくるめた豊富な品揃え。とにかくオシャレなものが沢山詰まったこの雑貨店は、見ているだけでも楽しめる。2012年に広州のアートスポット「紅専廠芸術創意区」内にオープンして以来、休日ともなると多くのオシャレっ子たちが訪れる同店で広州アートに触れてみよう!

360°店
住所:広州市天河区員村四横路128号紅専工場芸術生活区制罐街F13棟
電話:(86)20-3703-9737

鉄幕BAR
レトロな雰囲気で生ライブ観戦?!

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隠れ家を思わせる小さな入口から店内に入ると鉄製のレトロなテーブルセットに木製の棚。ロフトスタイルの広々としたスペースが何ともオシャレなバーだ。シンプルな造りの店内では豊富な種類のお酒はもちろんのこと、手の込んだディナーを楽しむこともできる。そんな同店では、毎週水曜日と土曜日の夜9時には地元バンドによるライブパフォーマンスが行われており、地元のミュージシャンへ表現の場を積極的に提供している。多彩なバンドが出演する同店主催のライブステージ。広州の音楽シーンを牽引する若き才能に出会えるかも!?

鉄幕BAR
住所:広州市天河区員村四横路128号 紅専工場生活区制罐街F11棟
電話:(86)20-3703-9736

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