僕の香妻交際日記 第23回 「全力香港人」

2018/03/12

街中やニュースを見ていると、「幸せそうだな」という人を見つけるのが難しい世の中になってきたと認めざるを得ません。私が思うに、幸せとは、いつも私たちのすぐそばにあるべきなのです。特に香港のお金持ちたちにはいつも驚かされます。特別な場所、もの、こと、人ではなく、ごくごく当たり前の日常の中に喜びを感じること、感じられる人こそが本当の幸せを掴むことができるんだと思います。

そこで、今日は、香港の街中で見つけた「幸せそうな人たち」を紹介させてください。

1良い子は真似できません

1.下午茶を2品頼むHKTのおじちゃん
HKTのおじさんたちは多忙です。香港中を駆け巡り、インターネット接続に困っている人々の元へ夜遅くまで駆けつけます。ただ、どんなに忙しくても、昼ご飯だけは誰にも譲りません。特に下午茶(アフタヌーンティー)の時間帯なら鉄板かた焼きそばと叉焼飯のダブル炭水化物に野菜スープ、ミルクティーくらいは平気で追加します。そして、その食いっぷりと至福に満ちた表情たるや、ぜひ永谷園のお茶漬けのCMに起用してほしいくらいです。

2.自分の洗濯物を公共の場所に綺麗に干すおばちゃん
香港式のアパートは基本的にベランダがありません。ですから洗濯物は家の中に干すか、窓の外にある物干しレールなるものに紛失覚悟(風が吹くと容易に洗濯物は飛ばされます)で干すか、通常これら2つの選択肢になります。しかし、香港のおばちゃんたちにはもう一つの選択肢が存在します。それが「青空洗濯」です。青空洗濯(勝手に名付けました)と言うのは、アパートの前の駐輪場や、バスケットコート、歩道の手すりといった公共の場所に洗濯物を干してしまうという荒技です。この荒技を不快に思う人も実際多くいますが、違法にはならないという完璧なグレーゾーンをおばちゃんたちは闊歩しています。その堂々たる干しっぷり、手すりの汚れに洗濯物が触れて逆に不潔なのではという不安よりも、青空の下、たくさんの太陽の光を浴びて乾かすことができることへの喜びを噛み締めたあの満足げな表情は、ボールドのCM制作担当にも是非一度視察に来てほしいくらいです。

3.日曜日にモンコックのジョリービーに集うフィリピン人たち
ここはマニラか?いや、マニラのジョリービーにだってこんなに人はいなかったはずです。ジョリービーと言えばフィリピンのフライドチキン界の雄としてフィリピン人たちから絶大な支持を得ています。そのジョリービーの日曜日のモンコック店のカオスっぷりと言ったら、まさにヘルパーたちのヘヴン(天国)と言った表現がふさわしいでしょう。かつて日本の体育の父、嘉納治五郎が「私たちには帰る場所がある」と柔道の総本山である講道館のことを表現していましたが、ぜひモンコックのジョリービーにもHere is where you will be back.というキャッチコピーでCMを作ってもらいたいものです。

香港に住む私のような日本人にとっては、これらの人たちに普段出くわすチャンスはそんなに多くないと思います。これらの人たちに共通していることは、目の前のことに全力で取り組んでいるということです。こういった街中のシーンに出くわすことで、食べ物へのリスペクト、自然への感謝、仲間たちとの絆、そして幸せとは何だ?という私たちが忘れかけていた大切なことに気がつくことができます。
「あの頃の僕らはきっと全力で少年だった、怯えてたら何も生まれない」

スキマスイッチ、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。

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