教育相談室 第2回

2018/06/22

第2回「子どもたちの進学先、どうやって決めていますか?」

 

ある小学生のお母さんがこんなことを言っていました。

「うちの子は女子校と共学、どちらが合っていますか?」

大学まで進もうとすると、人生で2回、受験というものを経験しなければなりませんが、特に日本の場合は香港と違って学校の選択肢が多いので、受験生の本人たちはもちろん、親御さんにとっても志望校を絞ることは容易ではありません。

 

・なぜ学校選びは大事なのか
子どもたちの人生において、大きな違いをもたらしてくれるものは「人」です。そもそも私たち(大人、子ども問わず)は周りの人間に影響を受けながら成長しています。だからこそ学校選びが大事なのです。
なぜなら、学校ごとにそこで出会う人間のタイプ、質、力が大きく異なるからです。校風がグローバルだろうが個性を大事にしていようが、ぶっちゃけて日々の学習内容に大した差はありません。「この学校に行ったらどんな人に出会うことができるだろうか」。そうやって自分にとって価値のある人たちに出会えるか否かを考えることが学校選びにおける一番のポイントとなります。

 

・大事なことは自分にとって価値のある人かどうか
例えば、私の友人の本間くんのお母さんは本間くんにとって大変価値のある尊い存在ですが、私にとっては「本間の母ちゃんは恐い」との認識があるのみです。つまり、同じ人間に対する評価は見る人によって異なるということです。ですから、まず親御さんに理解してほしいことは「その人(学校)自身が価値があるかないかということではなく、自分の子どもにとってその人(学校)は価値があるのか」という点です。そういう意味で言うと、医者に全く興味のない娘を医学部進学実績のある学校に入れたり、柔道で日本一になりたい息子をサッカー部が有名な学校に入れたりするのはナンセンスということになります。

 

・自分にとって価値のある人たちに出会える学校の選び方
本屋や図書館で見かける受験ガイドを読むときに参考にするべきポイントは進学実績です。通常、ここ2~3年の進学実績が掲載されているので、どこの大学のどんな学部にどれくらい進学しているかを見ることで、その学校の進学指導に対する力の入れ具合が分かります。本人の夢や趣味と学校の目標や実績が一致すればするほど、その学校で自分にとって価値のある人間に会える可能性が高くなります。

 

・学校見学で注意するべき点
学校見学で最も大事なポイントは、学校にいる人間の人となりを見ることです。警備員から先生まで、そこにいる大人たちの態度や応対を見ることで、親御さん自身が安心できるか、この学校にわが子の教育を任せられるか否かが肌で感じ取れるはずです。

 

・価値のある人たちと出会うとどうなるのか?
良い先生、先輩たちに出会えると、自分が頑張れる環境づくり、後押しをしてくれます。かれらは自分の能力を客観的に評価してくれて最適な目標を設定してくれます。さらに良い仲間たち(同級生や後輩)と出会うことで、目標に向かって一緒に励ましあい、頑張ることができます。このように、自分にとって価値のある人たちと出会うことで、より自分に合った目標を見つけ、目指すことができるようになるのです。

 

・私からの回答
学校選びをしっかり行うことで、自分を頑張らせてくれる先生、そしていっしょに頑張ってくれる仲間たちを手に入れることができます。女子校だとか有名校だとか偏差値が高いということだけで決めるのではなく、子どもたちの将来の夢や好きなことなどと、それぞれの学校の特色やそこにいる人たちを照らし合わせていくことで、本当にお子さんに合った学校を選択することができるでしょう。

 


さかもと りゅういち

筆者プロフィール
さかもと りゅういち
筑波大学体育専門学群卒業後、訪問営業、塾講師、日本語講師を経験しながら韓国、中国を渡り歩いたあと、香港にて学習塾開業プロジェクトに携わる。現在はドイツの粉ミルクを中国人に売る日本人として新しい業種での仕事に奮闘中。休日は香港人の子どもたちに柔道を指導しながら香港文化を学ぶ。

 

 

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