柔道を始める前に知っておきたい18のこと 第9回

2019/08/21

第9回 柔道で鍛えられる精神力

スポーツの世界は素晴らしくも現実は厳しいものです。一つの試合、一回のシュートやスイングのために何万日、何万回もの練習を積み重ねなければなりません。しかし、この厳しくて地味な日々の練習を経たからこそ得られる精神的な強さもスポーツならではの魅力の一つです。

 

prof PIC柔道と受験の共通点

柔道のような個人競技のツラさと言えば、勝つも負けるも最後は自分次第という点です。このツラさは受験と通ずるものがあります。
試合(試験)当日までは監督(担任や塾の先生)の指示のもと、仲間とともに練習(受験勉強)に励むことができます。しかし、試合(試験)本番には自分一人で臨まなければならず、そのとき隣に励ましてくれる仲間はいません。
一方、チームスポーツでは試合の最初から最後まで仲間とともにフィールドで共に闘い、お互いに助け合いながら勝利を目指します。ですから、自分がミスをしてもチームメイトがカバーしてくれること、またその逆もチームスポーツではよくあることです。
このような試合中の助け合いができない柔道では、個人の力、運が100%結果につながるので、勝つためには絶対的に自分の実力を上げなければならず、時に孤独の中で自分で自分を鼓舞しながら練習に取り組むことはツライものですが、「自分の力で最後まで戦い抜く」ための強い精神力を身につけさせてくれます。

 

2秒で試合終了

同じ個人競技でも、テニスや水泳と柔道には大きな違いがあります。それは試合時間です。テニスでは嫌でも3セット(3セット先取ルールの場合)、水泳はどんなに調子が悪くても50メートル(50メートル泳の場合)は泳がなければなりません。逆に言えば、3セット、50メートルは必ずプレーをさせてくれるので、結果がどうであろうと最後まで闘い切った感を味わうことができます。
しかし柔道の場合は違います。試合が始まって2秒で投げられたらそれで試合終了です。家に帰らなければなりません。柔道着には汗が一滴もついていません。私自身もこのような体験をしたことがありますが、この時のむなしさや悲しさは今思い出すだけでも胸が痛くなります。「オレは今日ここに何しに来たんや」…とにかくこの一言に尽きます。
言うなれば「やるかやられるか」的なルールの柔道では一瞬の気の緩みやミスが勝敗を一瞬にして決めてしまうため、試合前の緊張感は日常では味わえない凄まじいものですが、試合を重ねることに「ここぞの集中力」は徐々に鍛えられていきます。

 

PIC柔道に比べればどんなツライことも屁でもない

かつて北京五輪100kg超級で金メダルを獲得した石井慧(さとし)選手が、当時メダルを獲得して放った言葉が「斉藤先生のしごきに比べれば(オリンピックの舞台の緊張は)屁でもありません」というものでした。それくらい柔道の練習は厳しいということがよく分かる言葉です。
仕事においてもプロジェクトの商談やプレゼンなど大事な場面は幾度となくおとずれます。もちろんそれぞれの場面の直前は緊張するものですが、やはり、あの柔道の練習、試合で味わったツラさ、緊張感や屈辱と比べれば屁でもないと私も感じています。
ですから、今なら胸を張って「子どものときに柔道をやっていて本当に良かった」と言えますが、それと同時にもう一つ胸を張って言えることがあります。「でも、二度とあの頃には戻りたくない」

 


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筆者プロフィール

宮坂 龍一(みやさか りゅういち)
柔道参段。講道館で柔道を始め、暁星中高、筑波大学と柔道部に所属。元柔道香港代表U-17・U-12コーチ、2017年柔道日本マスターズ73kg級3位。

サタデーキッズ柔道クラス

場所:九龍柔術
住所:11/F., Park Hovan Commercial Bldg., 18 Hillwood Rd., Jordan
時間:毎週土曜日 3~6歳クラス 9:10~10:10、7~12歳クラス 10:15~11:30
指導言語:英語(メイン)、日本語、広東語
月謝:HKD600
最寄駅:佐敦(ジョーダン)駅D出口より徒歩5分
問い合わせ:info@klnbjj.comまたは(852)6647-7164(宮坂まで)

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