重慶大厦(チョンキンマンション)特集5・住人インタビュー

2014/04/30

重慶マンションに住んだ方にインタビュー
”危ない”の一言では語れない。格安で多国籍の国民性に触れられるゲストハウス

重慶マンション

Q.なぜ重慶マンションに住みましたか?最初のイメージは?
ここに住んだのは、やはりお金がなかったから。最初のイメージは、沢木耕太郎さんの著書「深夜特急」。この本を読んだとき「行かなきゃ」と思った。実際に行ってみると、観光客も多いし、店も多く、スタッフも必要以上に優しくて危険性は全く感じなかった。「深夜特急」では極めて暗い印象だったので、逆に拍子抜けしてしまった。
Q.ここにはいくつかのゲストハウスがあるが、どういう基準で選びましたか?
まずは値段。1泊HKD100で泊まれるところを基準にしたが、その予算で泊まれるところはなかった。最安値はHKD150。長期滞在で1泊HKD130まで交渉で落とすことができた。設備は、1.窓がある、2.洗濯機がある、ところを探すのがポイント。インターネット、冷蔵庫、シャワー、トイレなどはもちろん必須。

Q.スタッフは怖くなかったですか?
とネパーさヶ、だ、少イン。
いことをしているい給料しん香港してきたネパー子、孫たちがオーナーのなかでっているらしらのマンションい。なことをすることはないと。
のののス一番。

Q.事件などに遭遇したことは?
ある日、「今、下の階で、ドア開けたまんま黒人の男が中国人の女性と○○○してるよ」とスタッフが言っていたことがあった。その女性はよくいろんな男性と寝ているらしい。夜になると、インド人とパキスタン人が喧嘩することは多かった。だが、事件らしい事件は何もなかった。
私がいた頃は、マンションの入口付近を警察が毎晩見回りに来ていたので何かあってもすぐに対応していた。パスポートは必ず持ち歩き、変な時間に、知らない階段、ブロック、フロアーに行かなければ、基本的に何かに出くわすことはなさそう。

Q.住んでみて感じた良い面と悪い面は?
テレビもあるし、インターネットもつながる。夏ならクーラーもあるので男性にとっては何の問題もない。むしろ快適。シャワー、トイレ共同の宿だと女性は嫌かもしれないが、部屋にシャワートイレがついている部屋もたくさんある。毎日掃除もしてくれて、ゴキブリが部屋の中に出ることはなかったし、シーツや枕カバーも変えてくれる。洗濯機は、洗剤、柔軟剤セットで自由に使っていいし、扇風機が24時間回っているので室内でもよく乾く。ウォータータンクもあるので、いつでも冷たい水、熱いお湯を手に入れることができる。
スタッフに頼むと、彼ら御用達のカレー屋(食堂)に連れてってくれる。ここは部屋の1つを食堂のような役割にしてカレーを作っている。HKD25でカレー、ナン(orライス)、チキンが食べられる。スタッフのためのカレー屋なので、安くて美味しい。デリバリーもやっている。
ただ、スタッフは家がない人が多く、宿の廊下に寝ている。すると、朝10時に彼らが一斉に起き始め、1人1人シャワー・トイレに入る。そうすると2時間くらい彼らによってシャワー室(トイレもここにある)の使用が阻まれる。万が一この10時~12時に便意を催した場合、断固たる決意で彼らのシャワー室への侵入を防がなければ地獄を見ることになる。一番の不便なところはエレベーター。5人しか乗れない。しかも自分の階に停まるエレベーターは1台(偶数フロア1台、奇数フロア1台)しかない。長いときには自分の階にたどり着くまで30分かかることがある。夏だと汗が噴出すこと間違いなし。

Q.印象に残っている思い出はありますか?
宿には4~5人のスタッフがいて、掃除や洗濯、客引きを分担して行っていて、私は毎月末に次の月への宿泊延長の是否を彼らに伝えていた。滞在して数ヶ月経つころには、「あの日本人は金を持っている」という間違った噂が彼らの間で広まってしまったらしい。月末が近づくと、毎晩それぞれのスタッフが思い思いのもてなしを準備して私の部屋にやってくるようになった。
あるスタッフはバナナを持ってきて「もし宿泊を延長するときは俺に言ってくれ。安くするぞ」と言い、あるスタッフは「酒でも一緒に飲まないか?」とつまみと酒を持ってきて「延長するときは俺に言ってくれ」と。他にもネパール産のお菓子を持ってきたり、カレーをご馳走してくれたり、変えたばっかりのシーツをまた変えてくれたり、中には「実家に送金するのにHKD1,000足りないから貸してくれないか?」とストレートに頼んでくるスタッフもいた。それぞれの国民性や人間性が顕著に現れた出来事だった。

Q.7ヶ月住んだ後、印象は変わりましたか?
住む前も住んだ後も、私の中での重慶マンションに対するイメージは変わらない。ただのゲストハウスということ。だから「是非周りの人におすすめしたい!」とも「あそこは行かない方がいい」とも思わない。ゲストハウスは「行く必要のある人が行くべきところ」であって、住むことに何のメリットもデメリットもないと思う。
ただ、たとえそこが香港で悪評高い場所であったとしても、そこにいるスタッフ、オーナー、他のお客さんたちはみな私たちと変わらない感情や考えを持ち、それぞれがいろんな背景を持ちながら、あの建物の中で生活をしているということは住んでみて初めて分かった。
「重慶マンションだから怖い」ということはなく、今の世の中どこにいたって「怖い」し自分の身は自分で守らなければならないということも改めて感じた。「行っても行かなくてもいいところ」、また、「行ってみなきゃ分からないところ」も世の中にはたくさんあって、重慶マンションもまたその1つ。「重慶マンションを”危ない”の一言で語ることはできない」というのが私の今の印象である。必要があれば宿泊することは厭わないが、いまはその必要がない。

 

重慶大厦の両替ってホントにお得?

 

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