牡蠣特集　Part 2 - 特集投稿

百年以上の歴史を持つ、香港の大手調味料メーカー且つ世界初のオイスターソースの生み親、李錦記。
今回PPWは一流シェフでも愛用、そして世界中でも有名なブランドについて聞いてみた。

1. まずは、李錦記のビジネスと歴史について教えて下さい。
　1888年、李錦記は創業者の李錦裳氏が中国広東省珠海にある南水郷でオイスターソースを発明し、興した企業であり、業界において国際的な知名度と品質、信頼の象徴となっています。
　もともと、オイスターソースは偶然の産物でした。李錦裳氏は牡蠣料理を提供する小さな飲食店を経営していましたが、ある日忙しさのあまり火にかけた牡蠣の存在を忘れ、放置してしまいました。漂う強い香りに気付き、料理の状態を心配しながら厨房に戻ったところ、鍋の中に残ったソースの濃厚な風味に驚き、商品化を決めたのです。
　すぐにソースは大人気になりましたが、1902年の大火で全てを失い、珠海に隣接し、広東省と香港への販路拡大に便利なマカオに移転しました。
　1902年、二代目の李兆南氏が事業を引き継ぐと、彼は海外の中国食品市場に可能性を見出し、米国への輸出を開始。高まる需要に対応するべく香港へと移住しました。その後1988年、本社を大埔へと移し、東洋と西洋の架け橋となるという使命のもと、ロゴも刷新しました。
　李錦記は、経営理念である「着実、誠実、創業の精神」を徹底しながら、中華料理の味わいおよびその食文化を世界中に広め、3世紀に渡る経営を行っています現在は中国域内では新会区、黄浦区、済寧市、香港、そして海外では米国のロサンゼルス、マレーシアのクアラルンプールと、合計6箇所の生産拠点を持ち、一番大きな新会区の生産工場は133万平方メートルの面積を有しています。

2. オイスターソースの生産量はどのくらいですか？
　香港工場の生産能力は、1日あたり約12万本以上です。

3. その生産工程について教えて下さい。
　まず欠かせないのは良質な原料です。弊社は政府の基準に準拠し、入江地域の汽水で育った新鮮な牡蠣のみを使用しています。採取場に常駐する専門チームが牡蠣の品質管理を徹底して行い、成熟したタイミングで新鮮さや色、香り、食感、ジューシーさ等の基準で選別します。
　次に、伝統的技法でその日に調理します。調理過程は経験豊富な品質管理者によって厳重に監督され、抽出した牡蠣エキスは数時間煮込んで精製します。
　それから自動生産ラインに転送され、独自のシステムによって社外秘のレシピに基づいた割合でブレンドされることで滑らかな舌触りになり、密閉状態の自動生産システムで高温調理して滅菌され、安定した味と品質のオイスターソースが出来上がります。
　最後に密閉されたパイプラインを介して直接パッキングラインに運ばれ、ボトルの検査や洗浄、滅菌等の過程含め自動化された充填システムによってろ過、スクリーニング、金属探知検査をされた後、冷却・包装されます。完成品はサンプリングと検査が完了した後、出荷です。

4. 貴社の主要顧客とは？
　弊社は世界の100以上の国と地域に200種以上のソースや調味料を提供しています。プロのシェフ、主婦等、料理に情熱を傾ける人達全てがお客様です。

5. 貴社は市場のトレンドをどう捉えていますか？
　創業の精神をモットーとする我々は、常に最新のトレンドをキャッチし、即席アワビ製品等、顧客へ新たな製品カテゴリーを提案するために邁進しています。オイスターソースに関してはプレミアム版だけでなくMSG不使用の財神蠔油やパンダブランド、乾物の帆立貝を使ったもの、減塩版やベジタリアン向けのオイスターフレーバーソース等があり、パッケージも工夫しながら、多様な消費者嗜好に対応すべく努めています。
　ファーストフードを好む忙しい若年層向けにスープ市場にも進出しており、濃厚スープや濃縮スープブロス等は彼らに手軽に美味しいスープ麺を楽しんでもらうのが狙いです。また人々の健康嗜好の高まりを受け、ベジタリアンやビーガンの顧客もターゲットにしたきのこパウダーを販売しています。

6. どのようにして香港や海外で支持を獲得しているのでしょうか。
　世界的な事業で成功するために1番重要視しているのは品質です。食品の安全性が人々の重要な関心事になっているなかで顧客の信頼を得るために、私達は製品の最高の安全性と基準の遵守を目指し、「100-1＝0」、つまり生産現場から食卓に上がるまで、1つのエラーも許さないという厳しい品質管理哲学を自らに課しています。

7. 他社との違いはどんなところにあると思われますか？
　弊社の企業文化と比類なき品質への取り組みは、競合他社との差別化に寄与していると思われます。また創業の精神を忘れず、慢心することなく常に最新の市場傾向と消費者の好みに応える新たなソースを開発することで成長に努めています。

8. 貴社で最も人気の商品は何でしょうか。
　オイスターソースは変わらないベストセラーです。また醤油製品も広くご愛用いただいており、弊社の醤油は2018年、香港での販売額、販売量の両方で1位を獲得しました。
※ 同社は香港のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアおよび食料品店の2018年1年間の売上で、ソースカテゴリーの醤油部門において販売額（HKD）、販売量（KG)共に第1位を獲得している。（Copyright©2019theNielsenCompany）

9. 今後の展望について聞かせて下さい。
　会社をさらなる高みに導くためには、中国という基盤を堅持しつつ、商品のローカライズと、変化する消費者嗜好に対応する新たなソース作りに努める必要があるでしょう。様々な食習慣を持つ顧客ニーズを満たすためにも、ベジタリアンやハラール認証、非GMO素材を使った製品等、製品ポートフォリオの継続的な拡張が求められます。またデジタル化が進む現代において、弊社の電子商取引市場での存在感は大きさを増しています。eコマースポータルと引き続き連携し、食品トレンドと消費者のオンライン購入活動を分析し、市場に合う製品を開発していくつもりです。

10. 貴社のオイスターソースを美味しく食べるためのレシピを聞かせて下さい。
　冷凍肉もしくは生肉を調理する前にオイスターソースで肉を漬け込むと味の吸収が良くなり、冷凍肉特有の不快な風味もなくなります。仕上がり時に美しい照りが出るのもメリットです。
　肉や野菜、魚介類、きのこ類、卵や麺類、米等様々な食材と相性が良いので、調理の際は炒め料理や煮込み料理の加熱時に調味料としてご利用下さい。料理の味と見た目、香りをレベルアップさせます。
　また魚介類や肉、野菜の洋風グリルや揚げ物のディップソースとして使うのもお薦めです。口当たりが良くなり、独特のアジアンテイストが加わります。茹で野菜や蒸した魚介類の旨味付けにもぴったりです。

　その他のレシピについては、QRコードにスキャンしてご参照下さい。