広州日本商工会との連携で実現「JAL 8875便」

2020/08/05
チャーター便JAL8875と同様の機体

チャーター便JAL8875と同様の機体

 

二足の草鞋で「復工復産のためのチャーター便」の運航を計画

 華南地区と日本を結ぶ航空路が断たれて数か月が経過、周囲で感染者数が落ち着いてくると日系企業からは「日本との航空路の復便はなんとかならないのか」「日本から駐在員を戻せないので困っている」という声が日増しに大きくなってきました。一方で中国側からも「華南地区の経済復興のためには早期に外国人を中国に戻して企業活動を平常に戻す必要があり、その為には中国側も協力をする」との話が出てきました。そんな矢先に、日本航空は大手製造業のお客様から「数十名規模で社員を日本から広州に戻したい。チャーター便の設定はできないものだろうか」との要望をいただき、即座に本社や社外の関係先と実現に向けて検討を開始しました。検討過程におきまして、「空席があるならば他の困っている企業の社員の方々にもご搭乗していただく方策を講じるべきではないか」とのご提案をいただき、さらなる検討の結果、「広州日本商工会が用機者(航空機を借りる団体)となることで、会員企業の社員の皆様にご搭乗をいただくことが最善である」との結論となり、「復工復産のためのチャーター便」の運航を計画することになりました。幸い広州日本商工会は私が二足の草鞋で事務局長を兼務しているので、「双方の立場にて関係先とうまく調整をしていけばなんとかなるかもしれない」と考え、調整に入りました。

 

日々変わる防疫体制、ビザの取得状況をふまえた調整に奔走

 そうは言っても日本の航空会社が中国で商用チャーターを飛ばすのは特別なフライトを除き実績も少なく、ましてやコロナ感染に対する厳しい防疫体制が敷かれる中での運航は実現できるだろうかとの不安がありました。最初の課題はご搭乗希望者の多くがビザの取得ができていないということでした。ビザの取得は各企業で頑張っていただかないといけません。ビザ発行に必要な招聘状(インビテーションレター)が発行されるのは「復工復産のために緊急に中国に戻す必要のある人材」としていますが、招聘状の申請先である各企業の所在する区の政府の考え方もまちまちで、各企業は苦労をされていました。広州日本商工会も招聘状の発行について後方支援を行い、再三、中国側にお願いを致しました。結果として百五十九名のお客様にご搭乗をいただけることにはなりましたが、フライトの出発前日にビザが発行された方やフライトに間に合わなかった方も多数いらっしゃいました。招聘状の申請について最初から「うちの会社は無理だろう」と考えて諦めている企業もありますが、申請をチャレンジしてみないと次のステップにはいけませんし、粘り強く交渉することで発行されるケースも少なくありません。いつフライトが設定されるかわからないので、企業の皆様には予め招聘状の申請をしておくことをお勧めします。

 日々情勢が変化するなか、一日にしてご搭乗ご希望の方が十名単位で増減したことも座席コントロールをする上で大変でした。ビザ取得可否や各企業の社内手続き等でお申し込みとキャンセルが相次ぎ、さらに空席待ちの方の調整で商工会事務局員や日本航空社員が連日残業をしながらコントロールしていました。お申込者一人一人の動きを小まめに追いかけることで最終的には結果オーライとなりましたが、そこに行きつくまでの商工会事務局員と日本航空社員との連携は素晴らしいものでした。

 「復工復産のためのチャーター便」の運航申請も初めての事なので手探り状態でした。広東省政府、広州市政府に都度指示を仰ぎ、日々変わる防疫体制も確認しつつ申請作業を進めましたが、両政府ともに親切丁寧に対応してくれたお陰で運航できたものと感謝をしています。

 

七月十日、百五十九名を乗せたJAL8875便が広州に到着

 七月十日、百五十九名のお客様をお乗せしたJAL8875便は定刻より十五分早く午後一時三十分に快晴の広州白雲に到着しました。ご到着されたお客様はフライトの疲れも見せずにほっとされた表情でいらっしゃいました。空港では健康証明の手続き、PCR検査などで数時間を要することから日本航空では軽食とお水をお配りさせていただきました。それからの十四日間に備え、少しでも楽しんでいただこうとお子様にはお絵描きセット、紙ヒコーキキットをお配りさせていただきました。隔離が明けた七月二十四日、ご搭乗者の皆様がチェックアウトされる時間にホテルへご挨拶にお伺いさせていただきました。皆様の表情は晴れ晴れとして、足取りも軽くホテルをあとにされていました。多くのお客様より「チャーター便を運航してもらったお陰で帰ってくることができた」と感謝の言葉をいただき、また、広州日本商工会と日本航空にも多くのお礼のメールをいただいたことは事務局員一同、社員一同の励みになりました。

 

深圳日本商工会と連携した第2便が八月七日に運航

 華南地区の第2便として日本航空は深圳日本商工会を用機者としてチャーター便運航の計画をしています。深圳地区には既にビザを発給されているもののフライトの手配ができない方が多数いるとのことで八月七日運航に向けて調整をしております。さらに前回のチャーター便にビザが間に合わなかった方にもご搭乗いただくため、広州日本商工会と共同で作業を進めています(七月二十七日現在チャーター便運航申請中)。日本における感染者増加を受け、日本からのフライトに対する防疫強化が発動されないかが懸念ではありますが、両国の動きを見つつ粛々と準備を進めています。計画通り進めば2便のチャーターが華南地区へ運航されたことになりますが、広州日本商工会の会員企業では広州に戻れない日本人が未だに多数いると聞いています。商工会としては日系企業の活動を通常に戻すことにより、中国経済の復興を図り、日本経済へも好影響を与えることを目指しています。そのために必要なことは中国側とも調整を行い対処していきます。今後の課題は日本から戻れないご家族へのご対応と考えています。長期に渡り離ればなれになっていたり、日本の仮住まいで窮屈な生活をされているご家族などの悩みを耳にします。日本人学校の友達に会えずに寂しい思いをしているお子様もいらっしゃいます。ご家族へのビザが緩和され、早期に中国に戻れるように商工会としてもお手伝いをしていきたいと思います。

 

「何ができるのか」をモットーに両国の経済の活性化を図る

 今回のチャーター便では広東省政府、広州市政府の方々が非常に前向きにご協力いただき、むしろ、日本側がお尻を叩かれるぐらいの勢いで動いていただきました。それだけ、華南地区にとっては日本企業や日本人の存在が重要であるということを実感いたしました。チャーター便運航に際して多大にご尽力をいただいた広東省政府、広州市政府の皆様、また陰ながらご支援をいただきました多くの皆様に心より御礼を申し上げます。

 日本航空は公共交通機関として地域の活性化に貢献をしていきます。海外においては日本との交流、貿易を支援することで両国の経済の活性化を図っていく所存です。現在のような非常時においては定期便の運航ができない状況にありますが、その状況下において「何ができるか」を常に前向きに考えて皆様のお役に立ちたいと考えています。広州日本商工会、日本航空はコロナに負けず、日本と中国の発展に微力ながら貢献をしてまいります。

 


P22 GZ_JAL_750

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住所:広州市天河区林和西路9号耀中広場B座2213-14室
電話:(020)3877-3968
ウェブ:www.cn.jal.com

 

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