【病院・クリニック・医療機関】

2024/05/20

新しく異国の地で生活を始める人にとって、病気や怪我などは最も大きな不安材料の1つだろう。慣れない香港・華南地区でも言葉の心配なく医療サポートを受けられる医療機関を紹介しよう。さらに、いざという時に頼りになる香港医療保険事情に関して、専門家のアドバイスも伺った。

 

 

備えて安心
医療事情

香港の医療水準は世界トップクラスであり治療方法や処方箋も最先端のため、高度な医療が受けられる。しかし日本との医療システムやスタイルの違い、言語問題、保険や医療費の違いなど、最初は戸惑うことが多いかも知れない。 またコミュニケーションの壁、文化や生活環境の違い、新しい職場や学校で感じる気苦労など、海外赴任にはさまざまなストレスが付きまとう。慣れることで徐々に軽減していくが、なかには適応できずメンタル面に不調をきたしてしまう人も少なくない。1

気をつけるべき疾病
香港では4~5月にかけて気温・湿度が一気に上昇する。夏に流行する病気の1つにウイルス性の胃腸炎があり注意が必要だ。また主にカンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオといった細菌が原因となり、食中毒などを引き起こす。腹痛、嘔吐、下痢が特徴で、重症化すると血便が出る場合もある。下痢をすると体内から急激に水分が失われるため、脱水症状にも気を付けなければならない。

かかりやすい病気とその対策
・夏季の脱水、熱中症
→十分な水分と塩分などのミネラルの補給を
・雨季の食中毒
→野菜や果物はよく洗い、露天の食品には注意
・虫刺されによる日本脳炎、デング熱、ダニ感染症、ジカ熱等
→虫除けや痒み止め薬を常備し、日本脳炎のワクチンを
・大気汚染による気管支炎、アレルギー症状、皮膚疾患等
→空気の悪い日はマスク着用。特に湿度の低い時期は注意

 

公立病院と私立病院の違い
1.パブリック(公立病院)
香港の公立病院の医療水準は非常に高いが、香港居民であれば安価で受診することができる。しかし救急以外の受診は一般的に待ち時間が長く、日本語窓口がない。命に関わる緊急時や救急車を必要とする際は公立病院が受け入れ先となり、5段階のトリアージにより優先順位が高いと判断された場合には迅速に診てもらえる。救急車の手配は「999」。緊急時には24時間対応で誰でも利用でき、最寄りの公立医療機関へ搬送される。

HK_QueenMaryHospital-300x225 2 2.プライベート(私立総合病院・クリニック)
私立は総合病院とクリニックに分類される。症状や標榜科、通院の利便性、自身の保険状況に基づき使い分けるのが一般的。香港の医師はGP(内外全科医、家庭医)とSP(内外全科医と専門医称号をもつ医師)に大別される。一般的に入院や大掛かりな手術は総合病院、日常の病気や体調不良はクリニック(かかりつけ医)と分別されている。

香港の公立病院や総合病院のA & E(accident & emergency)救急医療科や総合外来は、「walk in」(いわゆる飛び込み)での受診も受け付けているが、香港を含めた海外の医療機関は一般的に予約制が大半。また受診の際には身分証(HKIDまたはパスポート)の提示が必須となっている。

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子どもの病気・ワクチン・健康診断
乳幼児健康診断・小児向け予防接種
香港には日本のような手厚い乳幼児健診制度はない。しかし一部のクリニックでは健診対応もしており、日本で発行された母子手帳に日本の制度同様の記載をしてくれるクリニックもある。また日本と香港で推奨される予防接種の種類は違うが、クリニックによっては日本とほぼ同様の小児ワクチンを接種でき、母子手帳に記載してもらえる。

子どもの疾病
ヒトは生後10カ月ごろ~5歳ごろまでに約300もの病原体に感染するといわれており、そのなかで少しずつ獲得免疫を強化していく。それまでは何度も病気にかかるのがいわば普通で、6歳ごろには大人に近い免疫状態となる。その間にかかりやすい疾病に注意して健康管理に努めよう。

子どもの代表的な疾病
・URTI( 上気道感染症)
・インフルエンザ
・手足口病感染性胃腸炎
・アデノウイルス感染症
・RSウイルス感染症
・水痘
・マイコプラズマ感染症
・ヘルパンギーナ
・流行性結膜炎
・熱中症
・突発性発疹  など

かかりつけ小児科医を持とう!
子どものいる家庭においては、発育相談やワクチンプログラム、怪我や病気など心配が尽きないことだろう。香港においても気軽に相談のできる「かかりつけ小児科医」を持つことをおすすめする。3

 

妊娠・出産
妊娠が分かったら…
新しい命を授かってから真っ先に決めたいのが、公立・私立どちらの病院で出産するかということ。香港IDを保持していれば、ほかの病気や怪我と同様に、公立病院にて低額で妊婦検診を受けることができる。検診は基本的に1カ月1回のペースで、香港内に点在する「母嬰健康院」という場所で行われる。ここでは、検尿、体重測定、血圧測定に加え、問診がある。検診時間は予約によって決められているが、待ち時間が長く、受付から診察終了まで3時間程かかる場合もあるので注意しよう。特に異常がない場合は、この母嬰健康院にて妊娠後期まで検診が行われる。後期になるとその回数が増え、医師の診察なども受けられる。2

私立病院の場合はかなり高額だが、検診の待ち時間も少なく、個々への対応もスムーズなのが魅力。出産前にパートナーも宿泊できるなど、何かとつきまとう不安材料も軽減できる利点もある。言葉の問題も日本語対応の私立病院を選択すれば安心だ。妊婦検診は公立病院で行い、出産は私立で、あるいは妊婦検診は私立、出産は公立と使い分ける人も多い。

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海外で気をつけたいその他の病気
性感染症
排尿時の痛みや違和感、性器周辺の腫れ・臭い・かゆみ、全身の斑点や円形のアザなどといった症状がみられ性感染症の疑いがある場合は専門医に相談しよう。一部の性病科のあるクリニックでは、日本語にも対応している。また健康診断のオプションとしてHIVや梅毒などの性病検査を実施している機関もある。

精神疾患
仕事でも育児でも、慣れない環境下では誰しも知らない間に負担がかかるもの。メンタルヘルスの観点からいうと、症状を感じた時点で早め早めの対処を行うことが大切だ。初期症状としては、憂鬱、無気力、不安などメンタル面の不調、また不眠、記憶力や集中力の欠如、頭痛や胃痛、肩凝り、食欲不振、過食といったフィジカル面の不調が現れる。日本語対応のメンタルケアクリニックもあるので、つらい時には1人で抱え込まず医療機関に相談しよう。

「ストレス」にはこう対処!
・文化が違うことを受け入れよう(勉強に来たと思えばラクになる!)
・外に出て日光を浴びよう(特にハイキングはおすすめ。通勤や買い物などで1日20分歩くだけでも違う!)

 

香港でも受けられる日本の健康診断
駐在員として海外に派遣されている人でも、日本の法人などに帰属している以上、日本にいる時と同様にその法律の適用を受けるもの。そのため日本の在外事業者の多くは健康診断の規定を設けている。実際多くの在外邦人は家族も含めて健康診断を受診している。

第一の目的は病気の発見ではない!?
健康診断は基本的に健康である人が受診するものなので、特別な結果が出てしまうことは稀。現在の健康状態を把握して、その増進に向けての基礎データを得るのが本来の目的だ。もちろん内視鏡検査のようにがんの早期発見を第一の目的とするものもあるが、自分自身でリスクの大幅な低減を図れる循環器系疾患(心臓、脳血管疾患)の予防が最も大切であることを覚えておいてほしい。4

安心の医療保険
私立の病院やクリニックでは、病院側が自由に診察代や手術代を決めることができる。そのため費用も病院によって異なり、日本語が通じるような病院だと風邪で診察を受けて薬をもらうだけでHKD1,000前後かかることもある。
さらに入院となると1泊2日でHKD100,000~というような費用を請求されることも。香港には日本のような健康保険制度はなく、自分で保険に加入する・しないの判断ができるが、高額な医療費に備えるために民間の医療保険に加入している人も多い。5

医療保険の種類
医療保険に入るなら、大きく分けて2つある。海外旅行傷害保険とローカルの医療保険だ。駐在員であれば日本で手配して加入しているケースがほとんどだろうが、一部の日系の保険会社であれば香港に来た後でも加入できるものもある。

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※本記事は2023年3月15日にPPWウェブサイトに掲載された【医療&保険事情】、2023年5月17日掲載の【ヘルスケア&ビューティー特集】を再編集したものです。

 



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