総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:美容と健康

2022/02/23

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春節が過ぎて気分的には春を迎えたと思ってはいても、今月は寒々とした日が少なくありませんでしたね。しかし3月に入ると確実に気温が上がり、天気さえよければ夏を思わせるような気候にもなるのが香港です。ダウンジャケットを着ていたこれまでとは違い、特に女性にとっては少しおしゃれな装いをしたくなる季節です。これから気温が上昇するにつれ肌の露出も多くなり、日焼けが気になりますね。また薄着になる夏までには理想体型を手に入れようと思ってまだ寒いころから頭の中では頑張っていたものの痩せられず、「コロナ太り」などと言い訳しつつ今頃は少し焦り始めているのではないでしょうか。美容とは「美しい容姿」のこと。行動的には「容姿を美しく保つ行為」を示します。最近盛んに提唱されるアンチエージングもその範囲に含まれます。ところが美しく保つための努力が、意図せず健康を犠牲にしている側面もあり、大きなリスクと表裏一体となっている美容法を「美」と引き換えに受け入れている場合さえあるようです。流行などに単に乗せられてやるような根拠に乏しい「美容」には注意が必要です。

白い肌へのあこがれ
白い肌を望む気持ちが女性に根強いですね。これは洋の東西を問わず紀元前の昔から綿々と続く女性の気持ちの表れのようです。肌をより白く見せようと努力を惜しまないのは現代女性に限らないこと。白粉(おしろい)とも呼ばれる白色顔料は、なんと古代メソポタミアの遺跡から発掘されています。長い歴史を顧みても「美白」はいつも女性の心を引き付けてきました。
実は白い肌を求める風潮の陰で重金属による障害を負う被害も頻発し、中には死に至る悲劇もその歴史の中で繰り返されてきました。白粉として使われてきたものは亜鉛華(酸化亜鉛)、かんこう(塩化水銀)、あるいは鉛白(塩基性炭酸鉛)と呼ばれる重金属系の白色顔料であり、長期連用すると皮膚から吸収されたこれらの重金属が使用者に重い障害をもたらします。もちろん現代の化粧品に重金属は一切使われていませんが、女性が、美しいものとしてより白い肌を求める強い気持ちは、いつの時代にも変わらないものです。

肌は白いほうが良いのか
日焼けはできれば避けたいものです。紫外線は化学線であり皮膚への影響が強くDNAを傷つけ皮膚がんのリスクを高めます。その予防に強い紫外線を避けるのは必須です。その一方、皮膚の下でビタミンDを合成するために必要な紫外線が不足すると骨形成不全の原因となります。最近日本で問題になっているのは、若い女性の「骨粗しょう症」と幼児の「くる病」の増加です。親子で極端な日焼け対策を施すあまり、紫外線不足に陥って骨の健全な形成を妨げてしまった結果です。

痩せれば良いのか
最近は男女ともに考え方が少し変わってきましたが、それでも痩せているほうが良いという固定概念に囚われている人は今も少なくありません。男性でも以前に比べると体重を気にする人が増えています。太らないようにする気持ちが強いのは、健康志向が高まってきた現れで悪いことではありませんが、女性は容姿を必要以上に気にして痩せようとする意識が強いようです。最近ではほとんどなくなりましたが、かつて痩せ願望が強く、過剰な食事制限で貧血まで起こしている例もありました。痩せたいばかりに摂食障害を起こしてしまうこともあります。「容姿」を気にするあまり健康を犠牲にしてしまっては、逆に美しさを失う危険性をはらみます。
美容と痩身は別に考えた方が良いと思います。痩せなければいけないのは、体重増加が健康阻害要因になっている場合のみ。肥満そのものが悪いわけでもないし、何がなんでも痩せれば良いというものでもありません。

怪しい情報に振り回されるな
かつて腸内洗浄(コロン クレンジング)が流行した時期があります。大腸内を定期的に洗浄すると肌もきれいになると信じて、多くの女性がその施設に通っていたものです。なかには簡便な洗浄キットを旅行にまで携行する人もあったと聞きましたが、頻繁に行っているうちに自力排便が困難になるという弊害が起きます。腸内洗浄が肌を美しくするという明確なエビデンスはなく、ブームは数年のうちに去りました。これに限らず今この瞬間にもネット上には怪しい広告が無数にあふれています。人々は少しでも美しくなりたいがために、その真偽を検証もせずに釣られてしまうようです。例えば飲んだだけで痩せられると謳うサプリメント。医学的にはあり得ないのに、なぜか売れてしまう。効果が無いだけで済めば良いのですが、健康被害にでもあっては元も子もありません。少しでもキレイになりたいという心理に付け込んで儲けようとする輩には気を付けたいものです。
美しさに基準があるわけではありません。ある意味自己満足の世界にすぎない感覚的なものに過ぎません。ヒトが美しく見える最大の武器は、ちょっとした笑顔なのかとも個人的には思います。清潔にして笑顔。感染症対策と免疫力アップの両方が期待できそうです。美は多額のお金をかけたり、必死になって追いかけたりして得るものではありません。


堀様1 藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


Metro Medical Centre医療・健康の総合コンサルタント Mediport International Limited
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