総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:食べ過ぎて考えること

2023/01/25

スクリーンショット (2361)クリスマスに始まり、新正月、そして春節と、飲食の機会が多く、今頃は食べ過ぎや飲み過ぎを大いに反省している方もいることでしょう。新型コロナウイルスの感染対策として継続されていた行動制限が大幅に緩和され、ほぼ通常の状態で迎えたホリデーシーズンだったので、大人数で集まっての会食も多かったのではないでしょうか。
ところで食べ過ぎてしまうとどうなるのか。余分に摂取したカロリーは体内で脂質となって蓄えられ肥満の原因になるというのは当然のこと。しかし、太るときでも、反対に体重が減るときでも、その現象を具体的に理解し、体内でどのようなことが起きているのかを知っておくことは、健康の維持増進のために好都合ではないかと思います。

不足しつつある食糧
「食欲」はヒトの欲求の最も大きなもののひとつ。様々な偶然が重なりヒトは極めて高度に進化したため、食糧を確保する効率的な手法をみいだし、結果的にこの地球上に80億人もが生存できています。しかし、食糧供給はかなり偏在していて必ずしもすべての人に十分行き届いているわけではないという不平等があることも確かです。これは、現在のところ食に困っている訳ではない比較的裕福な人々であっても、今後、食糧確保が難しくなっていく可能性があるものとして捉えておかなければいけません。お金さえあれば好きなものを好きなだけ食べることができる現代ですが、食糧価格が上昇し続けています。ウクライナ危機が原因だとも言いますが、それは価格上昇の速度を上げて、全世界的な食糧危機を迎える時期が早まったというだけのことです。今後、贅沢はおろか必要最小限のエネルギーを得ることもできない人の割合が増え続けるのは間違いありません。

動物としてのヒト
ヒトはヒトである前に動物だということを意識した方が良いと思います。豊富な餌に恵まれた野生動物は稀であり、多くの動物はひもじい思いをしながら餌を探して歩き回っているのです。目の前にあるものを何でも食べて飢えをしのぐのですが、おそらく満腹になることなどまれでしょう。ブクブクに太った野生動物なんていませんよね。動物は「節約遺伝子」というものを働かせて飢餓に対する耐性を得ています。野生動物ではこの遺伝子のスイッチは常にONの状態にあり、エネルギー消費を抑えて生存期間を延ばそうとしているのです。ヒトも例外ではなく野生動物と同じ節約遺伝子を持っていますが、一般に摂取エネルギーが常に満たされているため、この遺伝子は寝ています。これはヒトが食糧を自分たちで生産できるようになった1~2万年前からの遺伝子変化ではないかと思われます。

太るリスク
なぜ太るのはいけないのか?別に太ることがすべて悪いわけではありません。数字の上での肥満は、それ自体が問題の指標になるわけではないのです。太ることが原因となって健康上の問題が生じることが良くないのです。問題になりやすいのは男性型肥満の典型である「内臓脂肪型肥満」であり、反対に健康上ほとんど何も問題にならないのは「皮下脂肪型肥満」が多い女性の肥満です。女性に皮下脂肪が溜まりやすいのは、大切な内臓(子宮など)を守るためのクッションや体温を保持しやすくする役割のためだと言われていてます。皮下脂肪はエネルギーとしての消費が後回しにされることから減量しようと頑張ってもこの脂肪はなかなか減りません。悪いタイプの肥満は生活習慣病といわれる心臓血管系あるいは脳血管系といった循環器系疾患のリスクを大幅に上げるなど、とても多くの病気の直接的な原因になります。なかでも避けたいのは糖尿病です。血管を直接傷めてしまう高血糖状態は、それだけでも身体に対するダメージが大きいものですが、糖尿病患者は高血圧や脂質異常症なども併せて持っていることが多く、健康に対するダメージは計り知れません。反対に痩せることは、太ることで生じた多くの身体的リスクを一気に取り除くことが期待でき、良好な健康状態を取り戻す手段として、どんな治療を受けるよりも優れているといっても過言ではありません。

食べない努力
一見豊かにも見えるこの地球上にも多くの飢餓人口を抱えており、その数は2021年の統計で8億人を上回るものと推計されています。反対に肥満に注意が必要な人も著しく多く、栄養状態の地域格差も極めて大きなものとなっています。食が満たされているのであれば、自分自身が食べない努力をすることがとても重要ではないかと考えます。一日2食にしている、週末断食している、間食をやめた、飲酒を止めた等、努力している人も増えています。健康診断で肥満に伴う健康阻害があれば、直ちに食べない努力が求められます。単に痩せればよいというものでもないので、自身にとってのベストの体重を把握したうえで、それを維持することが大切です。
ヒトが動物であるという認識をもち、その「食生活」が常に満たされている状態はあり得ないと理解しなければいけません。肥満は生物学的に異常な状態です。少しお腹がすいた状態がちょうど良いのかもしれません。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


Metro Medical Centre医療・健康の総合コンサルタント Mediport International Limited
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