メディポート健康コラム:少しだけ 自然に帰ろう!

2023/10/04

スクリーンショット (2462)「自然に帰ろう」というと、満たされた便利な今の生活をすべて捨て去り、人里離れた場所で自給自足の生活でもするのかと揶揄する人がいます。電気、ガス、水道といったライフラインを一切絶ち、自然に任せる生活がいったいいつまで続けられるのかと訝る人もいます。誰もが知る有名大学の教授があきれ顔でそのように発言しているのには驚いてしまいました。
このような批判的な見方をする人たちが何を勘違いしているのかわかりませんが、自然に帰るという意味はまったく違うのです。もちろん極限の生活を経験しようとする人がいるのは確かですが、それはそれで本人さえ良ければひとつの挑戦として尊重されるべきであり、決して嘲笑されるような対象ではありません。事実、自給自足に近い生活をしている人が一定数いるわけですし、実は、私自身もそのような生活にあこがれた一時期がありました。最期は誰にも見つけられないであろう場所を選んで自然にかえっていこうと妄想したものです。私がまだ若かった20歳代中ごろのことですが、南太平洋にポツンと浮かぶ小島で、かなり高齢の男性がたったひとりで生活している姿を見た時の衝撃を忘れられず、気持ちだけですが現代の生活に背を向けるという極端なことを考えたことがありました。すべてに満たされた生活が本当に好ましいものなのか一度は考えてみる必要がありそうです。もちろん現代社会に身を置いて便利さに慣れきってしまった我々が、いきなり自然に帰ろうとすることに必ずしも意味があるとは思えませんが、不便な時代を振り返り想像することは有意義です。

シャワー、風呂で素洗い
最近、私は石鹸やシャンプーをほとんど使わなくなりました。石鹸は手を洗うときに使いますが、以前のようにシャワーのたびに石鹸で全身をゴシゴシすることはしません。洗髪でもシャンプーはほとんど使いません。頭髪が少ないからそれでも良いのだろうと笑われてしまいそうですが、実は芸能人にも多くの素洗い派がおり、「タモリ式入浴法」と呼ばれるものがあるそうです。最大のメリットは皮膚の免疫を健康に保てることです。石鹸などでこすり洗いをしてしまうと皮膚常在菌(マイクロバイオーム)を失ってしまうので、大腸のマイクロバイオームと並ぶほど大切な免疫機構を壊してしまいます。また皮脂をすべて洗い落とすと、肌荒れなどの皮膚障害の原因にもなるようです。
日本で石鹸を使い始めたのは安土桃山時代と伝えられており、それまでは灰汁や米のとぎ汁が使われていたそうです。さらにそれより前の時代は水を浴びるだけの沐浴でした。現在でも、身体を洗うのに水を浴びるだけの人は世界中に少なくありません。私がかつて暮らした南太平洋の島国の村人は、川で泳ぐか、天水桶に貯めた雨水を浴びるだけなのに、嫌な体臭を発する人はいませんでした。環境への負荷もほとんどなく、そのメリットは大きいのではないでしょうか。

食物をシンプルに
満たされ過ぎた食生活で健康被害まで起きている時代です。あなたも食べ過ぎてませんか?ハウス栽培や養殖で季節感が失われてしまった現代ですが、私たちの回りは美味しいものがあふれ、好きなものを好きなだけ食べることができる贅沢な時代です。世界には様々な食生活があるので一概に何とも言えませんが、もっとシンプルな食生活を追求しても良いのかもしれません。一汁一菜というと貧しい食事を代表しているかのように聞こえますが、少なくとも昭和30年代くらいまではそれが普通でした。ご飯をいかにおいしくたくさん食べるかを考えてつくられたのが、佃煮のような「ご飯のお供」です。また、味噌汁は毎日その具を替えることができる「究極のスープ」。ご飯とみそ汁だけでも素晴らしい食事になります。それも季節にあった具にこだわるというのも良いのかもしれません。

無理しなくても良いので
自分の脚を使うこと。できる限り自力での移動を基本にしましょう。もちろん現代は生活行動範囲が広すぎるので、乗物を使わないというわけにはいきません。しかし、歩いたところで10分から15分くらいで到達可能な距離であれば乗物を使わない選択も必要です。できれば30分くらい歩いてみるのも悪くありません。さらにエレベーターやエスカレーターは極力使わないで、街の運動器具ともいえる階段をぜひ使いたいものです。50年くらい前はこのようなものは珍しかったのですから。
自然に帰るということは面倒くさく、そして不便になりますが、これまでのように便利さや豊かな食生活を追い求めていくと、ヒトは自分自身の生活力(生存力)を失っていくのではないかと危惧します。基本的な身体機能を高める努力を日頃から怠らないようにして、たとえ超高齢期を迎えても自分の脚で立てる可能性を高くしておきたいものです。
少しだけ自然に帰ることを意識すれば、現代生活の問題点もあぶり出されて、何をするべきか理解しやすくなるのではないでしょうか。無理せず力まず、許容できる範囲で自分の身体を使い、そして粗食を楽しみたいものです。さらに時には自然と調和してみてはいかがでしょうか。慌ただしい生活から少し離れて、スローな空間にわずかな時間でも身を置いてみると面白い発見があるのかもしれません。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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