メディポート健康コラム:運動を考えよう

2024/04/03

スクリーンショット (2527)運動とは何かを考えたことがありますか?誰もが運動は健康のために必要不可欠のものと認識しているものの、その定義を具体的に説明できる人はほとんどいないのではないでしょうか。運動していないといって、自ら健康意識が低いように申し訳なさそうにしている人もいます。しかし、運動が何たるかを多くの人がわかっていないなかで、自分が運動してないからと言って卑屈になることはありません。一般に思われている運動、つまりジョギングしたりジムに通ったり、あるいはスポーツに励んだりといったことは、生物学的には必要ないものと個人的には考えています。この「生物学的には」というところが大切な部分です。

運動とは
身体を動かしているあらゆる状態で、安静時よりもエネルギー消費が多い動きが運動です。寝ているときはもちろん座っている状態などは基本的に除外されますが、日常生活を営む多くの場面は運動している状態です。ところが、多くの人に認識されている運動は、心拍数が上がって、少し呼吸が苦しくなるような、より積極的な身体動作を指すことがほとんどです。もちろん余暇を利用して身体を動かす楽しみも運動です。しかし、プロのスポーツ選手はもちろんのこと、何らかの記録を目指しての運動は、自分をとことん追い込んで行わなければいけない辛いものでもあり、時には体を壊してしまう特別なものであって健康のための運動とは少し異なります。

生きるための行動が運動
ヒトはたまたま著しい進化を遂げただけであって、基本的には動物であることを認識しなければいけません。そのうえでヒトがなぜ運動不足であるのかを考える必要があります。野生動物は餌を求めて歩きまわり、あるいは走ったりすることが日常であり、それだけで運動エネルギーはかなり消費されていますが、その一方で摂取エネルギーが常に十分かというとそれは少々疑問です。おそらく多くの野生動物はひもじい思いをしながら餌を求めて歩き回っているのであって、何らかの事情で身体を動かすことを止めると、彼らにはたちまち餓死の危険が迫ってくるのです。ヒトは生存のために身体を動かす必要性がそれほど求められていません。

ヒトと運動
ヒトも元はと言えば野生動物と同じく、終日食べるものを探しながら「生きるために」歩き回らなければなりませんでした。しかし、ヒトはサルと別れて高度に進化した結果、捕獲器具をつくるなどして効率的に獲物を捕れるようになりました。また、あるとき何らかの偶然で火が使えるようになり、それまで生でしか食べていなかった食物に火を通せば美味しくなることを覚え、結果的にエネルギー摂取効率が格段に向上しました。また農耕を始めて穀物栽培するようになってからは季節を問わず飢えという生きる上での最大の懸念が和らぎました。ヒトは農耕しながら狩りも行って食糧を得るようになり、エネルギーを得るための効率が著さらに向上したのです。もちろん終日身体を動かさなければいけない日常に変わりなく、その後も「運動」によって多くのカロリーが消費されるという基本的なヒトの生活が長く続いたのです。現代人のように運動不足、つまり摂取カロリーが運動エネルギーを上回る事態が生じてきたのは、おそらく産業革命以降ではないでしょうか。もちろん一部の特権階級ともいえる人々の中には、大昔からいわゆる「過食で運動不足」という状態もあったのかもしれませんが、それは例外です。

日常生活の中での運動を増やす
運動していないという人は、何となく自分は良くないのではないかと引け目を感じてしまうようです。普段忙しくて運動できないと嘆く人もあれば、時間がないと言い訳する人もいます。しかし、誰もが思い浮かべる汗が流れるような「運動」は、健康維持増進のためには必須ではないと個人的には確信します。健康のためというのであれば、とにかく歩く癖をつけることです。毎日、乗物に乗る時間を少しでも削って、20~30分くらい連続で歩く時間を確保するのです。エレベーターやエスカレーターを使わないで、街中の運動器具ともいえる階段を使うべきです。運動不足だというのは、便利になり過ぎて身体を動かす機会があまりにも少なくなってしまったからで、日常生活の中でそれを補うべく努力をすれば良いのです。もちろんスポーツをやるのであれば、それも良しです。スポーツはヒトが進化したが故に生み出した高度な娯楽です。

健康に最適な運動とは
歩行を医学的に詳しく調べている英国のある研究者は、健康維持増進を目的とした最も効率的な運動は、低山ハイキングだと言います。上り坂で心拍数が上がり、平坦なところで呼吸を整える。上り下りで使う筋肉も異なります。身体に著しい負荷をかけてしまう運動ではなく、しかも自分のペースで歩けるのが大きな利点でもあります。
香港は複雑な地形に多くのハイキングコースが整備されています。しかも日常生活の場との距離が短く、ちょっと歩いてみようと突然思い立ったとしても、ハイキングコースまでのアクセスが近く便利なので、すぐに歩けるという利点もあります。日常生活で良く歩くように心がけた上で、週末に軽くハイキングする生活は健康維持のためにとても有利です。運動なんてと思っている方も、まずは今の生活にほんの少しだけでもプラスアルファの運動を意識してみてはいかがでしょうか。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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