メディポート健康コラム:太るのは良くないことですか?

2024/05/01

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最初に断っておきますが、太ることがすべて悪いわけでは決してありません。太っていることを恥じたり、それで自分を嫌ったりする人もあるようですが、すぐに理想の体形にできるわけでもなく、これでは人生が楽しいはずもありません。健康診断を受けたお客さんのお話を聞いていると、体重増加をとても気にしている気持ちが強く伝わってくることが少なくありません。もちろん体重の増加によって健康状態を明らかに悪い方に向かせてしまっているケースも多くありますが、反対に体重増加が続いているにも関わらず、血液検査などにはその影響がまったくあらわれていない人もあるのも事実です。

肥満の種類
肥満は大きく分けると内臓脂肪型と皮下脂肪型に分けられますが、健康状態への影響の度合いは内臓脂肪の量で決まるといっても良いでしょう。BMI(世界的に採用されている肥満の指数)が示す数字の上では明らかな肥満でも、血液検査などに何の問題もない健康肥満の場合はおそらく皮下脂肪型肥満です。このような人はお腹の上に柔らかい皮下脂肪がたっぷりと乗っているはずです。これとは反対にポッコリと出たお腹であるにもかかわらず硬くて、つかめる皮下脂肪が少ない人は、間違いなく内臓脂肪型肥満であり健康上とても危険なタイプです。

体重増加の悪影響
内臓脂肪型肥満は中性脂肪の値に大きく影響します。特に飲酒量が多い人の場合、アルコールの影響と相まって顕著な上昇を認めることが少なくありません。飲酒量が多いと、たとえ痩せていても中性脂肪値だけが上昇するケースもあります。中性脂肪値の上昇は脂肪肝を伴うことが多いので肝機能検査として利用されるGPT(ALT)が上昇します。飲酒の影響としてはGPTに加えてγGTPも同時に上昇していることが多いものです。内臓脂肪型肥満では、さらに血糖値や尿酸値の上昇、そしてコレステロール異常も認めることが少なくありません。血圧の上昇もかなり高い確率で肥満に伴って起きてくる現象です。たかが肥満と思われるかもしれませんが、そのタイプによっては万病の元とも言える「病気-肥満症」としての認識が必要です。

肥満の物理的影響
体重が重いということは足腰を悪くしやすいという事実も忘れてはいけません。若い時は足腰への負担など意識しませんが、膝や腰の関節は確実に影響を受けています。歩くときには片足で全身を支えなければいけない一瞬があります。特に階段を降りるときなど、片膝に全体重の2~3倍もの荷重がかかるのです。膝の関節だけで体重を支えているわけではありませんが、高齢になると筋力の低下に伴って膝関節を急激に悪くしてしまい、転倒の原因にもなります。転倒骨折をきっかけにして高齢者が寝たきりになるケースは決して少なくありません。若い時から高齢になった時のことを考え、たとえ太っていても足腰が弱らないよう意識しておくことが大切です。

健康肥満
主に皮下脂肪型肥満で、でっぷりと太っているにもかかわらず血液検査では特に問題が認められないケースがその典型です。女性に多い肥満ですが、容姿を気にして痩せようと頑張っても思うように減量できずに諦めてしまうことが多いのもこのタイプの特徴です。皮下脂肪はエネルギーとして使われ難くその利用は後回しになるので、皮下脂肪型肥満の人が減量しようとしてもその成果は出にくいのです。そもそもこのタイプには減量自体無用です。医学的に標準体重であっても女性の痩せ願望はとても強いものです。無理に痩せようとしている女性に低栄養を認めるケースもありますし、中には生理が止まってしまう人もあるほどです。痩せる目的とその意味を考えなければいけません。

見た目で判断できない肥満症
肥満症は病気です。もともと痩せ型の人は、太っているように見えなくても循環器系疾患のリスクが高くなっている場合もあるので要注意です。メタボリック症候群を診断する絶対条件である腹囲が基準に達していないので、いくら血液検査等に問題があろうとその診断を受けることはありません。診断要件を見直さない限り改善できない問題点だといえ、関係の血液検査を行った場合には、その要件から腹囲を外すべきだと考えます。

肥満症と指摘されても
繰り返しますが、単にBMIの数字に照らし合わせて「肥満」という診断を受けても、直ちに痩せなければいけない理由にはなりません。問題は肥満症。単に太っているだけではなく、肥満が原因で健康上の様々な問題を生じている場合です。脂質異常症、肝機能異常、糖代謝異常などに加えて高血圧症も。いったいどこから治療すれば良いのかわかりません。しかし、心配は無用。肥満が原因であるなら痩せれば良いのです。痩せ方に関してはここでは書きませんが、とにかく摂取カロリーを落としてください。どのような方法で痩せようと結果を出した者が勝ちです。あんなに多くあった問題点がすべて改善することに驚くことでしょう。四の五の言わずにとにかく痩せることです。栄養バランスを考えるのは、痩せてからで十分です。

肥満と言われても、健康状態に問題がなければ開き直っても良し。ただし、少しでも問題あれば絶対に痩せるべし。減量に勝る良薬なし。減量はやがて来る超高齢期を迎えるにあたっての備えにもなります。

注意 糖尿病など何らかの治療中である場合は、医師の意見を聞いてから減量してください。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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