自然の生薬でくすみのない肌へ周漢方医のアドバイス

2015/09/30

誰しも美しい肌はキープしたい。そのためにありとあらゆる方法を学び、試してきた方も少なくない。特に注目されるのは保湿と美白だが、完璧な肌を手に入れるとなるともう一つのハードルがある。それはできてしまったシミを薄くする、さらには消し去ることだ。シミを除くにはスキンケアアイテムを使用する以外に方法はないのだろうか？

「知己知彼、百戦不殆」―自分の状況も相手の状況も完全に理解していれば、何度戦っても負けることはない―こんなことわざがある。これはシミとの闘いにも当てはまる。まずはシミができる原因を知らなければならない。いわゆる“シミ”とは、周囲と色の異なる色素斑のことを指している。それには、そばかす、黒斑、肝斑、老人性色素斑などが含まれる。メラニン色素の増加により、褐色もしくは黒色の色素沈着が生じる。多くは頬や額といった部位に生じ、日差しを浴びた後に増えやすい。特に女性に多く見られ、妊娠や長期にわたる生理不順とも関係がある。

“補腎”でシミを撃退
日頃から日焼け対策をしっかりすることはかなりの効果があるが、漢方にはさらに“腎”に注目したシミ対策がある。“腎”とは、腎臓のことではなく、ホルモンや生殖器系、泌尿器系、免疫系、自律神経系など幅広い機能全般を指す。その機能を補い強化することを“補腎”という。多くの人が男性のための治療だと誤解しているが、補腎は性別を問わず必要となる。それどころか、腎はシミの要因である老化とも深く関係しているので、シミ対策のキーポイントなのだ。腎を強化するには、漢方で“黒”に分類される生薬――何首烏（かしゅう）、熟地黄（じゅくじおう）、阿膠（あきょう）などが使われる。補益腎精（人体のエネルギーのもとを補う）、滋陰養血（体液を補い、血を増やす）ことで、顔面の美容効果を促進、シミを薄くし、老化を遅らせる。
生薬以外でも、“黒”の食品には補腎と滋陰の作用がある。普段の生活の中で、腎のケアを意識することでシミを目立たなくし、さらには取り除くことができる。

カシス（黒加侖、クロスグリ）：高い栄養価をもつ果実で、豊富なビタミンCと、必須微量元素のカリウム、カルシウム、亜鉛、リン、マグネシウム、鉄などのミネラルを含む。腎のケア、抗酸化作用および免疫力を高める効果がある。

黒豆：黒豆には、大量の必須微量元素が含まれており、老化防止効果や血圧降下作用のほか、消化促進効果もある。漢方では“甘”（いわゆる旨味で、緊張を解し疲れを癒すはたらき）に分類され、血行促進、清熱解毒（熱証の改善と解毒）などの効果がある。

黒ゴマ：漢方では“性平”（穏やかな性質）とされ、“甘”に分類される。血を貯蔵するはたらきを強化する“補肝”やすでに取り上げた“補腎”の効果があり、五臓のはたらきを促進する。肝腎精血不足（血とエネルギーの不足）が引き起こすめまい、白髪、脱毛、腰や膝の痛みや疲れ、便秘などの症状に効果がある。

黒キクラゲ（黒木耳）：これも漢方では“性平”“甘”に分類される。臓器の能力を高める“補気”や“補腎”の作用があり、涼血止血（熱が血に及んで出血や発熱するものを除く）などの効能がある。黒キクラゲには豊富な鉄分が含まれ、タンパク質、脂肪、糖類やカルシウム、リンなどのミネラルやカロチン、ビタミンB1、ビタミンB2など多くの栄養素が含まれる。