総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:健康四方山

2019/08/21

立秋が過ぎたとは言うものの、毎日まいにちとても暑い日が続いていますね。夏につきものの雷にも、もうしばらくは注意が必要です。その雷にまつわる言い伝えで、「雷が鳴ったらへそを隠せ」というものがあります。中年以上の人には、子供の頃に親から言われた記憶があるのではないでしょうか? 実は、これは健康のための格言でもあるのです。今回はそんなことをいくつか紹介します。

雷が鳴ったらへそ隠せ

雷は、夏の強烈な太陽で温められた地上付近の空気が急上昇することでできる積乱雲で発生することが多いものです。上昇気流が生まれるとその周囲では強い風が吹き、急激に気温が下がります。うだるような暑さのなかでお腹を出している子供に対して、お腹を隠して冷えないようにさせるために軽く脅したのが、「雷さんにへそを取られるぞ」という戒めだったのです。

へそのゴマをとってはいけない

へそにちなんでもう一つ。へそのゴマは気になるものです。皮膚からの垢が正体だと知れば、ますます取りたくなるものです。皮脂やほこりも加わりへその奥のシワの溝を中心にこびりついたものが、俗にいう「へそのゴマ」です。ゴマの中は多くの微生物の小宇宙のような状態になっていて微生物学的には興味深いものだそうです。世界にはこのゴマだけを研究している学者もいるそうです。そんなに汚いものであるのならさっさと取ってしまいたいところですが、それには細心の注意が必要です。へそは母親と繋がっていた臍帯の残りで、へその表皮は腹膜につながっているものなのです。乱暴に「ゴマ」を取ると、繊細な皮膚に傷がつき、腹膜まで病原菌に感染してしまうことにもなりかねません。ゴマを取るときはオリーブオイルなどを使って優しく取るようにしてください。

牛乳を飲むと背が伸びる

幼少期に牛乳を飲むと背が伸びると教わった人は少なくないはずです。戦後の食糧難の時期から学校給食に導入された牛乳は、生まれたばかりの牛が急速に成長するための栄養素が詰まったものであり、栄養面では確かに優れた食品であると言えます。骨の形成に必要なコラーゲンやカルシウム、ビタミン類なども豊富に含まれているものですが、食生活が豊かになった現代では、牛乳で背を伸ばすという発想はほとんど意味がないものになっています。牛乳を飲んで背を伸ばそうとしても、残念ながらほとんど無駄です。

緑茶で鉄剤を飲むと効果がなくなる?

貧血の治療で服用する鉄剤は、緑茶で飲んではいけないと思っている人が多いようです。緑茶に含まれるタンニン酸と鉄が結合するので鉄の吸収に影響があるとの考え方で、医師などの専門家にも信じられてきたことです。しかし今では若干の影響があるのかもしれないものの、それは無視できる程度のものであるとの考え方が常識となっています。薬に関して、例えばグレープフルーツと降圧剤の組み合わせのように、薬の作用が強く出てしまうため避けなければいけないものもあります。基本的には薬の飲み方は指示に従って厳密であるべきです。これとは別に「鰻と梅干」といった食べものの「食べ合わせ」に関しては、迷信の類が少なくはありません。

便宿

お腹の中には何キロもの宿便が溜まっているという話を聞いたことがあるのではないでしょうか? その宿便を剥ぎ取ることでダイエットができるということを宣伝文句にしている美容関係業者もあります。しかし、はっきり言って宿便なるものは医学用語にも存在しません。ましてや、宿便を排除すればそれだけで簡単に痩せることができるなどというのは、ありえない話です。滞留便と呼ばれる便が出ることで、その分だけ体重が落ちるという言い方であれば間違いとは言えませんが、それでは痩せるという意味にはなりません。大腸内には常に便が滞留していますが、これを宿便と呼ぶには無理があります。大腸の内壁は3日に一度くらいの周期で新しいものに置き換わっており、便がこびりつくという現象は起きにくいものだからです。

暦の上では秋ですが、相変わらず暑い日が続いていますね。ところが少し山に登ると秋の風を感じます。登りは暑くて仕方がなかったのに、山頂では吹く風がとても気持ち良く、季節が進んでいることを実感します。本格的なスポーツの秋は間もなくやってきます。これから少しづつ身体を動かす機会を増やして健康つくりをしてみてはいかがでしょうか。

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