総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム

2020/03/25

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ウイルスって何?

hori prof 新型コロナウイルスが世界的に拡散し、その関連のニュースを目にしない日はありません。このところ目耳にする機会が多くなった「ウイルス」ですが、これはいったい何なのでしょうか?なんとなく判っているようでもありますが、改めて聞かれると答えに窮してしまうのではないでしょうか。病原菌のこと?毒性を持つものもあれば、ヒトに対しては無毒のものもあるので、一概に「病原」とは言えませんね。今回はそんなウイルスについて少し考えてみましょう。

 

微生物の大きさ

 まずはウイルスと同じくヒトの健康に大きくかかわっている細菌類と大きさを比較してみましょう。髪の毛の断面を東京ドームに例えると、ウイルスの大きさはピンポン玉からせいぜいソフトボール程度。ちなみに細菌の大きさは、運動会で使われる特大サイズの大玉といったところでしょうか。髪の毛の断面を例えにしても大きさがピンとこないかもしれませんから、ヒトの身長が地球の直径ほどあるものと想像してみてください。ヒトに感染してくるウイルスは湯船に浮かべて子供が遊ぶおもちゃの船くらい。細菌はというと、海に浮かぶ中型のヨットくらいです。ウイルスや細菌はその種類によって大きさがかなり違いますから、これは正確な表現であるとは言えませんが、病原微生物としてなじみが深い細菌やウイルスの大きさを、感覚的に大まかに理解していただければ良いかと思います。こんなにも微小な病原体に、ヒトは時として生命を脅かされ、またその対策に翻弄されるのです。

 

細菌とウイルスの違い

 細菌は単細胞生物であり、どの生物にもある細胞内構成物をほぼ持ち合わせ、内部では様々な代謝が行われています。栄養さえあれば自分自身で増殖することができることが特徴です。その種類によって、あるいは環境によって増えるスピードは大きく異なりますが、2倍、4倍、8倍、16倍、・・・というように指数的に増加します。もちろん食中毒菌でも同じで、適温(37度程度)におかれるとその菌数は爆発的に増加することになります。また、細菌はヒトの生活に大きくかかわっており、その作用を利用して、醸造や発酵など食品加工に幅広く利用されてもいます。

 これに対してウイルスは単独で増殖できず、自身を増やすためには動植物の細胞を利用しなければいけないことが大きな特徴です。例えば新型コロナウイルスは感染すると宿主(例えばヒト)の鼻腔や咽頭粘膜の細胞に侵入してウイルスの殻を脱ぎ捨て、自身の遺伝情報であるRNAを宿主細胞の細胞核に侵入させ、そこの遺伝子を勝手に使って、自分のコピーを大量に複製します。やがて細胞内にあふれてきたRNAは宿主の細胞から抜け出すときに、再びウイルスの殻をまといます。またウイルスは生物と非生物の中間に位置する微生物で細菌よりも下等であるといえますが、その毒性や感染力を変えて、自らの生存に適するように「賢く」バランスをとろうとします。なおウイルスには、食品加工等に利用して、我々の生活に利用するという有用性はほとんど期待できません。

 

ウイルスの毒性と感染力

 ウイルスは自身の毒性が強すぎて大切な宿主を殺してしまうことになっては、自らの生存が脅かされてしまいます。ヒトに感染が広がるウイルスも、元をたどれば何らかの野生動物に潜んでいたものです。その動物にとっては毒性が非常に弱くても、たまたま感染したヒトなどに対しての毒性の強弱については、そのウイルスにとって都合が良いものかどうかわかりません。あまりに毒性が強すぎると、感染拡大は続きません。SARSは毒性が強かったものの、感染力はそれほど強くはなかったといえますが、今般の新型コロナウイルスは、現在のところ感染力は非常に強いものの毒性はそれほどでもなさそうです。高齢者や慢性疾患を持つ人にとっては注意が必要ですが、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザの毒性や感染力と似ているといえましょう。つまり、今のところこのウイルスにとって都合が良い性質を備えてヒトの間での感染を拡大しているといえます。新型コロナウイルスは多くの専門家が指摘するように、簡単には消えていかない、むしろインフルエンザと同様に定着していくウイルスではないかと思われます。

 

 ウイルスはその微細な構造を変えて、自らの性質を常に変えることができるほか、同じ種類の他のウイルスと遺伝子融合して、さらに大きく変化することがあります。新型インフルエンザがこれにあたります。仮に毒性が非常に強い鳥インフルエンザと強い感染力を持つヒトのインフルエンザウイルスが融合したものがヒトの間で感染拡大してしまうと、これまで描かれてきた恐ろしいシナリオをたどる危険性があります。ウイルスは宿主の細胞内に入り込んでしまうため、抗ウイルス薬を作用させにくいこともあって、特効薬がとても作りにくいものです。ウイルスとの戦いは、新型コロナウイルス(COVID-19)に留まることなく、今後も必ず続きます。その対策は人類にとって永遠の課題になるのかもしれません。

 


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