PPWビジネス通信 × アナシス Vol.36

2020/12/23

M1

人事労務のアナシスによる誌上相談会

『環境変化に適応していくために従業員の意識改革をしたい』
問い:来期予算・計画を作成中です。そこで必要になると思われるのが従業員に危機感を持ってもらい、意識改革をしていきたいのです。どう考えていけばいいでしょうか。

黒崎:来期予算案の策定が佳境、あるいは終わった企業も多いと思われますが、ご質問いただいたように、多くの企業で「従業員の意識改革」も必要だと、改めてテーマ化されているとも聞きます。

 香港・華南でこれまでもよく聞こえた経営者側の不満に、「主体性がない」「言われたことしかしない」などというものがあります。こうした現状維持バイアスのかかった人と組織の行動を変えるのは、なかなか骨が折れるものです。そこへ新型コロナの影響もでてきて、従来と同じことをし続けていい企業など一つもないでしょう。すると出てくるのがこの「意識改革」というテーマです。しかし人の意識は変われと言われて変われるものではないのが問題なのです。

 「意識改革」が起こるのは、人が「自ら変わろうと心から思う時」です。では、どうやったらそう思うようになるのか。ここでまず大切なことは、誰の意識改革からスタートするのかということです。答えはトップからです。「従業員の意識を変えなければ」と研修を部下達だけにしているケースでうまくいくものはないと考えてください。そうした従業員の意識を生んだマネジメントを長年やってきたのはトップやマネジメント側の責任なのです。そして意識改革はトップや管理層だけでもなく、全社でやっていくものです。この意味で意識改革は「意識を変えろ」ではなく、自分から「意識を変える」「変わる」なのです。

 さてこのテーマですが、改めて「どんな意識をどう変えたいのですか?」と尋ねると、答えに詰まる方がいます。もともと抽象度が高い「意識」の話なのですが、具体例をあげられない時は、まだ現状把握も分析もできていないことが多いと思われます。意識改革のプロセスは、現状把握(従業員やお客様の声を聞くなど)とあるべき姿の確認から始まります。それらのギャップを分析し、ゴールを定め、具体的なアクションプランを作成し実行していくことが最初のステップになります。

 しかし意識は見ることができません。それゆえ言動をもって、はかることになるでしょう。つまり意識改革とは行動改革・態度変容なのです。しかもその行動が習慣化して、組織文化になっていくようになるまでやり続けること。実際、意識改革の最終ゴールは組織変革です。組織文化の創造、企業理念・ビジョン・ミッションの浸透などがその結果です。

 さて、「意識が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば成果や人格が変わる、、、」などと言われてはいますが、その最初の意識はどう変えるのか。

 今年、テレワークが進みました。これは意識が突然変わったわけでは無く、やむにやまれず行動し、その行動が習慣化し成果を生みました。「思ったよりもできる」といった成果が、逆に意識を変えた例です。意識がないのなら、小さな成功を積ませて「いいな」と思ってもらう。そのためには仕掛けと仕組み、そして従業員の日常の行動への「承認」が必要になります。その小さな改善でいいのだよ、それを続けていくのだよと言う日常のフィードバックと、経営者自らのリードが必要になるのです。

 会社が要望したい行動が、評価項目になっていればなおいいでしょう。その行動を取らねば評価があがらず、成果もでないわけです。その行動をトップ自らが遂行していくなかで、現場も行動するようになり、それが習慣化されたときに、「意識が変わってきた」となっていきます。それゆえ意識改革を考えるならば、評価制度を考え直すことは一つの大きな手段となるのです。

 さて、そろそろ各調査団体の2021年の賃金改定予測が出てきております。中国で市場が一部活性化してきており、業績にも格差が見られ、例年よりも賃金改定の難しさを感じます。12月以降、香港などでは一部整理解雇が例年より多くなるのではと予想されていますが、一方で3末へ向けた利益にはそれほど悪い影響が出ていないという声も少なくありません。その中での賃金改定や賞与は、従業員の意識へも大きく影響します。難しい「サキヨミ」ですが、採用なども手遅れになることのないようにしたいものです

 


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