PPWビジネス通信 × アナシス Vol.46
人事労務のアナシスによる誌上相談会
「10月に半期振り返りを実施するのですが、いい方法はありますか?」
問い:年1回の評価制度で、半期での振り返りがあります。そのポイントとなることや、いい方法があれば教えてください。
黒崎:10月は下半期のスタートにする企業も多いようです。年に1回の評価・フィードバックだけでは部下が評価に納得いかないということが出ることが多いものです。いつでもどこでも評価、リアルタイムフィードバックで日常からコミュニケーションを取っておくことが非常に重要です。毎日は無理でも、毎月・毎四半期などにも中間レビューを入れたいものです。それは上司と部下の間での考え方のすり合わせです。その結果、目標達成へ向けてそのまま続けるもの、軌道修正をはかるものと分けていくわけです。こうした考えのもとで、半期面談を考えます。面談という形式では、半期振り返りも評価面談のステップと大きく変わりはありません。
■中間レビューのステップ
1)アイスブレイク
(2)当初の目標の確認
(3)現在の状況確認(KPT・YWTなど)
(4)課題の共有・必要なら修正目標
(5)支援の約束・激励
あくまでも中間レビューですので、評価というよりも部下が目標達成するために一緒に考えることやアドバイス、レビューとなります。しかしながら上司側の準備としては、実際に評価項目への点数をつけておいてから面談に臨むことをお勧めします。この時点で部下に望むこと、改善してもらうことを明確にイメージするためです。
そもそも目標設定がきちんとなされている場合は、その目標に対してオントラックなのかギャップがでているのかを確認し、うまくいっているなら褒め、必要なら軌道修正するのが原則です。が、状況確認のステップの中では、以下に説明するKPTなどのフレームなども有効です。
●KPT(Keep/Problem/Try)
目標に対してうまくいっているかどうかという観点で振り返るものです。そのまま続けていくもの:Keep。うまくいっていないもの:Problem。次に取り組むこと:Try。面談のときにフレームワークすることもあれば、あらかじめ部下にこれをまとめておいてもらうこともあります。
また、これを毎月のミーティングなどにとりいれて、ホワイトボードなどでチーム全体のKPTを張り出して議論するケースもあります。
注意点としては、Problemに目が行きがちなことです。うまくいっていること(Keep)を、さらに伸ばすというTryがキーです。MBOでの目標設定だけでなく、行動評価項目を持っている場合も、このKPTで振り返ることができます。
●YWT
やったこと・わかったこと・ためすこと。日本能率協会コンサルティングが提唱したもので日本語をローマ字にした頭文字からです。主に育成の観点で使うときに良いと思います。「やったこと」は褒めるポイントです。そしてその「やったこと」を振り返って「分かったこと」は何か。何をすれば、どんな成果がでるのかとか、何をするとお客様を失うのかなど、経験学習を問うわけです。そしてKPTのTと同じように、次に「ためすこと」を決めてアクションプランとします。英語ならDone/Awareness/Tryでしょうか。
レビューの手法には、このほかにもPMD(Plus/Minus/Delta改善点)や、AAR(After/Action/Review)などもあります。KPT含め、これらは個人レビューというよりも、むしろチームレビューに向いている手法です。チームで追いかけている目標はチーム全体で振り返る場をオフサイトなどで創った方がよいでしょう。その際にはリーダーのファシリテーションスキルが問われることになります。
さて、香港・華南では中間レビュー時でも自己評価がものすごく高い部下がいることがあります。Keepの項目だらけでProblemがない。これは目標設定の問題もあるかもしれません。高い自己評価の場合は、その具体例を聞き出し、この期間において1番良いとき・普通のとき・悪いときの3ケースを全て話してもらいます。良いときだけを言っていることが多いのが自己評価の高い人の傾向です。行動評価項目などは、この3ケースを話してもらう事で、少しは偏りが治る可能性があります。
そして中間レビューの締めくくりは、課題の共有と支援の約束と励ましです。上司と部下とで今後何をやっていくのかという課題の共有ができれば、あとはまた実行のみ。お互いを承認し、支援の約束が交わせれば、よりよい人間関係が築け、目標達成にまた一歩近づくのだと思います。これらのやり方は日常のフィードバックの中にも取り入れていきたいものです。
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