尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.58

2022/02/16

外資参入ネガティブリスト最新改定

2021年12月27日に、国家発展改革委員会、商務部が、「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」(以下「全国版」という)と「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」(以下「自貿区版」という)を公布し、2022年1月1日より施行された。
中国では、外商投資について、国民待遇の原則を取りつつ、ネガティブリストの範囲内の事業については、外商投資の禁止又は制限を行っている。国家発展改革委員会と商務部が2002年から「外商投資産業指導目録」を出しており、それには、奨励類、制限類と禁止類が含まれていた。2017年には、「外商投資産業指導目録」(現行は2021年版)において、制限類と禁止類が「外商投資参入特別管理措置」というネガティブリストに整理された。その後、毎年、全国版ネガティブリストの更新がなされており、自由貿易試験区向けには、より緩和された内容の自貿区版ネガティブリストが公布されている。スクリーンショット (492)
ネガティブリストの内容は、前文の説明と禁止類、制限類のリストからなっている。今回ネガティブリストの改定では、前文の説明において、外商投資企業の再投資の場合にも、ネガティブリストの規定に従うべきことが明確にされ、さらに、外商参入禁止分野の事業を行う中国会社の海外上場に関する規制文言が置かれた。
全国版の改定では2項目が削除され、製造業への規制が緩和された。特に、これまで50:50での合弁を要求され、かつ1つのメーカーが2社までしか設立できなかった自動車製造会社が独資にて設立可能となるのが目玉といえる。
自貿区版の改定では3項目が削除され、上記全国版の2項目の改定内容が自動的に適用され、製造業への外資規制がゼロになった。これまで合弁でしか成し得なかった市場調査が独資でもできるようになった。
スクリーンショット (491)また、禁止されていた社会調査への外資マイノリティ出資が認められることになった。ラジオ、ビデオの視聴調査について、マスコミの関係で、依然として中国側がマジョリティという出資比率制限が残っている。
国家発展改革委員会と商務部は、2018年から毎年、「全国版ネガティブリスト」と「自貿区版ネガティブリスト」を公表しており、全国版と自貿区版のいずれも、外国人投資の禁止または制限規定を大幅に縮小してきている。特に、「自貿区版ネガティブリスト」の製造業分野の外国人投資家に対する規制はすべて廃止された。
要するに、今後も全国版と自貿区版における外国人投資の禁止または制限に関する項目の縮小傾向が続くことが予想され、中国政府の対外開放および外国人投資家に対する内国民待遇の範囲が拡大することが期待される。


zhuojian

深圳本部:深圳市福田区福中三路2003号 国銀金融中心大厦11-13階
広州、西安、重慶、杭州、福州、大連、中山、馬鞍山、東莞分所など

【お問合せ】
携帯電話: (86)135-1030-5837
メール:yinxz@lawzj.cn

 

尹秀鍾 Yin Xiuzhong尹秀鍾 Yin Xiuzhong
卓建律師事務所深圳本部 パートナー弁護士、法学博士 (慶應義塾大学)

【主な業務領域】
外商投資、移転/撤退、知財侵害、紛争解決

 

Book

 「中国現地法人の労務管理Q&A」発売中 

著者:尹秀鍾
日本語(287頁)
定価(本体3,000円+税)
慶應義塾大学出版会(TEL:81-3-3451-3584)
香港までの海外発送をご希望の場合は、f-customer@keio-up.co.jpまで

深圳三田会

Pocket
LINEで送る