目から鱗の中国法律事情 Vol.66

2022/04/13

中国の法律を解り易く解説。

法律を知れば見えて来るこの国のコト。

 

中国で個人情報保護法が施行 その2

中国では2021年8月20日に、個人情報保護法(中国語原文は「個人信息保護法」)が公布され、2021年11月1日から施行されています。前回に続いて、中国の個人情報保護法について見ていきましょう。

規制される個人情報に関する行為スクリーンショット (911)
中国の個人情報保護法で、「個人情報の処理」という用語が使われています。「個人情報の処理」とは、個人情報の収集、保存、使用、加工、伝達、提供、公開、削除などのことをいいます(中国・個人情報保護法第4条第2項)。そして、「個人情報の処理」を行う際には、以下のいずれかを満たしている必要があるとされています。①個人の同意を取得している、②個人の一方の当事者である契約の締結や履行に必要がある場合、または法により制定された就業規則や法により締結された集団契約の実施など人的資源管理に必要がある場合、③法定の職責または法定の義務の履行に必要な場合、④突発的な公衆衛生上の事件に対応するため、もしくは緊急の状況の中で、自然人(生きている人間)の生命健康および財産安全の保護のため必要がある場合、⑤公共の利益のためのニュース報道、世論監督などの行為を行う場合、合理的な範囲で処理をする場合、⑥個人情報保護法の規定に基づき、合理的な範囲内で個人が自ら公開またはその他すでに合法的に公開された個人情報を処理する場合、⑦法律、行政法規が規定するその他の場合(中国・個人情報保護法第13条)。
これらからすると、中国国内での通常の企業活動を行う場合には、個人の同意を得ている場合や就業規則を根拠として企業としての労働者管理の場合に、「個人情報の処理」ができると覚えておけばよいでしょう。

個人情報保護法の規定の対象となる者
中国の個人情報保護法は、中国国内で自然人の個人情報を処理する活動を行う場合に適用されます。また、その他にも、①中国国内の自然人に対して商品またはサービスを提供することを目的とする場合、②中国国内の自然人を分析、評価する場合、③法律や行政法規に規定するその他の場合には、中国国外で行う中国国内の自然人の個人情報の処理に対して中国の個人情報保護法が適用されます(中国・個人情報保護法第3条)。
(続く)


高橋孝治〈高橋 孝治(たかはし こうじ)氏プロフィール〉
立教大学 アジア地域研究所 特任研究員
中国政法大学博士課程修了(法学博士)。中国法の研究をしつつ、執筆や講演も行っている。行政書士有資格者、特定社労士有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』(労働調査会)、中国ビジネス法務にも言及した『中国社会の法社会学』(明石書店)他 多数。詳しくは「高橋孝治 中国」でネットを検索!

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