ビジネスの翼 第10回

2022/11/02

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「幸福を、証明する。」をミッションに掲げ
“お客様”を再定義化し続ける意義
久次米慧人氏は大学在学中、美容医療に関するWebプラットフォームに特化した会社を設立。27歳で父・久次米 秋人氏がCEOを務める共立美容外科のグループ各社・プロジェクトチーフに就任。その後、基礎化粧品ブランド[KUJIME]を創業。ブースター化粧品の開発を進めると同時に、“お客様“を再定義化し、顧客満足度の最大化を試みる事業展開で注目を集める美容業界の若きリーダーである。Main

中込直樹:現在、久次米社長が代表を務める[KUJIME]は、再生医療技術でも注目される【幹細胞培養上清液】が配合されたブースター化粧品を発売し注目をされていますよね。【幹細胞】と言えばノーベル賞で話題となった【IPS細胞】もそのひとつです。共立美容外科が誇る医療技術に加え、【幹細胞】の再生医療技術をどのように化粧品の開発に応用されているのでしょうか。

久次米氏:健康体であることを確認された特定のドナー(幼児)から安全な歯髄幹細胞の提供を受けます。細胞には能力差があり、数万に及ぶサンプルから最も強い【幹細胞】をマスターセル(エリート細胞)として採取、このエリート細胞の遺伝子のテロメアに4つの遺伝子を導入し、半永久的に培養可能な【不死化培養上清液】を生み出すことに成功し、これを化粧品に配合しています。これらの管理体制ももちろん医療の現場レベルです。

中込直樹:[KUJIME]が取り扱う製品は、再生医療技術から生まれたFUSICACREAM(美容クリーム)、FUSICA SERUM(導入美容液)ですよね。これらの商品には【歯髄幹細胞培養液】が使われているということですが、その特徴や他のブースター化粧品と違う効果を教えていただけますか。

久次米氏:[KUJIME]は数ある幹細胞の中でも、優位性が高いと判断した歯髄を選択しました。弊社の製品には、健康体であることを確認された特定のドナー(幼児)から提供を受けた、安全な培養上清液だけを使用しています。
【幹細胞】の量は年齢を重ねるごとに日々減少し、50代になる頃には10代の4分の1にまで減ってしまうというのが現在の定説です。歯周病や生活習慣病などが年齢を重ねた方に多くみられる原因は、【幹細胞】の量の減少と老化が理由のひとつです。健やかな肌のために、外側からも補うのがおすすめですね。加えて、[KUJIME]の製品にはリポソーム化された成分が配合されており、肌の保湿感を高めるために浸透の道を作ることにもこだわっています。シワやたるみといった年齢を重ねるごとに気になる肌悩みを抱える方ほど、手応えを感じていただけることでしょう。S__14491675

中込直樹:化粧品の開発以外にも多くの新規事業を手がけている久次米さんは、2021年10月に美容皮膚医療ベンチャーの[b technologies社]と業務提携し、共立美容外科における美容皮膚科部門の共同開発に合意されましたよね。ITを駆使して業界初の美容皮膚科医療のサブスクリプションモデル【HADA LOUNGE】を導入することで話題となりましたが、その事業とサービス内容を教えてください。

久次米氏:肌を根本的に美しくしたい場合、一度きりではなく継続的な施術が必要ですが、肌悩みを抱えながら「何をすればいいかわからない」「金銭的な理由で通い続けられない」という理由から美容医療に踏み出せない方は多いようです。
利用する方がこのような課題を解決し、自分らしい美しさを手に入れるために開発されたシステムが[Neutech社]の【HADA LOUNGE】です。「スキンチェッカーによる肌解析で自らの肌悩みを客観的に知る」「オンライン診療で医師との距離を縮める」「悩みを解決するためにオーダーメイドされた施術や薬剤を組み合わせられる」「専用アプリで予約が取りやすくなる」など、テクノロジーを最大限活用することでお客様のあらゆる課題解決を徹底的にサポートする仕組みが整っています。これらのサービスを定額制内で提供することで、コストを気にせず、肌を美しくすることに専念できます。
2022年1月、【HADA LOUNGE】と共立美容外科が共同で池袋院をオープンいたしました。2社の強みを掛け合わせることで、肌の悩みだけではなくお顔や体の造形に関する悩みなど、幅広いソリューションを提供できるようになり、より力強く前進していると感じています。

中込直樹:「お客様への満足度向上のために、共立美容外科グループでは美容医療の分野でも優秀な人材の育成に力を入れていく」というお話もされていますよね。

久次米氏:十数年前、美容医療は一部の方が利用するマイノリティー市場であったため、重要視されていたのは“マーケティング的な認知戦術”です。差別化よりも業界の先駆者として「パイと規模感を取りに行く」という戦略をとってきました。
現在は美容整形に関する認知度が拡大し、利用するお客様が増え、企業として「Why」を重要視されることが多くなっています。「なぜ、ここで働くのか」「なぜ、ここで施術を受けるのか」「なぜ、そのケアが必要なのか」などですね。我々の行うサービス業では“社員が一番初めのお客様”だと捉えているため、まずは社員の「Why」とその答えを明確にするべきだと考えています。そこで、「なぜ共立美容外科で働くのか」という疑問を各セクションに分け、それぞれの基盤を再構築。優秀な人材の確保・育成のため、コロナ禍をチャンスと捉えて新たな動きを加えました。
お客様に自らの美しさを追求して満足感を得ていただくためには、優秀なスタッフが必要不可欠です。優秀な人材の確保・育成をするためには、働く環境ややりがいが人材本人の幸せに繋がっている必要があるとも考えています。そのためにも、社員=人材の満足度は常に気にかけていますね。

中込直樹:久次米社長は「美容業界で初」といわれるような新しい事業をいくつもプロデュースされていますが、今後新たに手掛けたいと考えているプロジェクトはありますでしょうか。

久次米氏:【美容医療 × よりパーソナライズされた高LTVのサービス提供 × ロイヤルカスタマーの満足度の最大化】を軸に、まずは[KUJIME]を一流のブランドにします。加えて美容医療業界初の事業として“人材”に力を入れていきたいですね。というのも、人材の採用・育成・適材適所の配置などの人材戦略の部分が、業界全体的に遅れていると感じています。どうすれば解決できるのか、課題をより明確化し、戦略・アプローチ法を立案・実行していきます。また、大学在学中のプラットフォーム構築の経験をベースに、お客様と美容医療業界がwin-winであり続ける新規プロジェクトにも取り組んでいく予定です。

中込直樹:香港を始め、中華圏の女性はアンチエイジングや痩身に高い関心があり、安心と高品質の日本の化粧品やエステは非常に人気があります。[KUJIME]のブースター化粧品も間違いなく需要があると思いますが、今後、香港や中国国内などへの進出はお考えでしょうか。

久次米氏:積極的に考えています。[KUJIME]ブランドのサービス・プロダクト向上のため、アジアでのチャレンジは早めに取り掛かりたいですね。戦略的な部分では、チャネル、CRMなどを通じてアジア市場で通用する顧客体験、ロイヤルカスタマーとのコミュニケーション戦略の構築が優先でしょうか。中込さんとのパートナーシップを機に、ユーザーニーズをはじめとする情報調査を元に仕組み化し、アジア圏でPDCAを回せる環境ができつつあります。現状では[KUJIME]を越境ECとして、本格的に中国進出に向けて準備している段階です。上手く回り始めた際には、実店舗やクリニックの中国展開なども視野に入れていきたいですね。

中込直樹:今後、美容医療業界はさらに市場規模が拡大する一方で、お客様のニーズも高度で多様化してくると思われます。久次米社長が将来的に理想として目指す、美容医療業界のビジョンを教えてください。

久次米氏:共立美容外科グループは34年間事業を展開しているため、私が生まれる前の約30年前からお付き合いのあるお客様もいらっしゃいます。その方々に対面でお話をさせていただいた際に質問したことは「なぜ通い続けてくださるのか?」です。お客様の数だけ理由はありつつも、共通して根底にあるものは「共立美容外科のファンである」ということでした。私は事業家として今後数十年、自身の“ビジネスの翼”を高めながら、一生涯ビジネスに関わり続けたいと考えています。同時に、私たちのお客様が美容医療のサービスを利用し続けられるよう、私たちのスキームを構築していくことが目指すべき理想と使命だと感じています。
時代とともに求められることも変化していきますし、今はそのスピードも早いですよね。そのためにも「現状に甘んじることなく“お客様”を再定義化し続け、カスタマーサクセスの最大化を図ること」「事業、ブランド、サービスのファンを作り続けること」という軸で事業展開を続けていきます。


プロフィール写真久次米 慧人 KEITO KUJIME
医学部在学中に、美容医療に関するWebプラットフォームを作るべく会社を設立。医師免許を取得後、27歳で共立美容外科グループのプロジェクトチーフに就任。
現在は、KUJIME、Ms.などの化粧品事業の運営、共立美容外科、HADA LOUNGEクリニックの運営、SaaS、人材プラットフォーム事業など様々な新規事業開発を多角的視点で総合的にプロデュースしている。
スクリーンショット (1444)中込直樹(なかごみなおき)
Wing Fat International Creative Ltd(ウィングファットインターナショナル)代表取締役。製造拠点(中国、ベトナム)を中心にキャラクターライセンスを使用したマーケティング、企画製造を手掛ける傍ら、中国向け商品ブランディング、プロモーションを支援するDream Creation(ドリームクリエイション)を創業。多方面で活躍中。コーポレートメッセージは「日中を夢中に!」山梨県南アルプス市出身。

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