1カ月4万ドルの報酬も!Kee Ta配達ドライバー

2024/07/03

香港ドリームはもはや金融街のオフィスではなく、灼熱のアスファルトの上でかなうのかもしれない。多い場合、Kee Taと契約を結んだドライバーは1カ月4万香港ドルの給料を得られるというニュースが香港メディアで報じられた。一日10時間労働の場合1200~1500ドルの報酬と推測され、10時間以下でも一日800ドルとして、月2万ドルを稼げるという。労働者層の大幅な減少に悩む香港だが、フードデリバリー業界もまた給料の底上げを推し量っている。

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フードデリバーの中でも2022年末に香港に進出を果たしたばかりのKee Ta はこの1年あまりで急激な成長を遂げた。Measurable AIの調査結果によると、24年3月のマーケットシェア(オーダー数ベース)はKee Taが44%、次いでFoodpandaが35%、Deliverooが21%と、競合を押しのけKee Taがトップの座に躍り出た。

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Foodpandaはデリバリー部門のほかに、グロサリー配達にも力を入れている。「オーダー後最短15分で届く」というのがキャッチコピーだ。Deliverooは有名店と提携し、お得なプロモーションを行うなど、両者とも独自の戦略で会員を獲得してきた。しかし、マーケット新参者のKee Taに1年あまりにして追い越されてしまったのはなぜか。

低価格の猛攻撃
Kee Taの最も大きな特徴の一つがその価格帯だ。左記調査機関によると、Kee Taの全港平均消費額が102ドルに対し、競合他社は170~180ドルと顕著な違いがある(23年年間データ)。また、期間限定プロモーションを頻繁にローンチし、牛丼チェーン店で35ドル以上の消費や、米線チェーン店で29ドル以上の消費でデリバリーコストをタダにするなど、人件費の高い香港ではタブー視されてきた未曾有の低価格戦略を推し進めてきた。

一人飯の躍進
数年前のコロナは私たちの生活スタイルにさまざまな変化をもたらしたが、「一人飯」もまたその一つ。そして、この習慣はコロナが去った今も根付いた食のニュースタイルとなった。ひと昔前、デリバリーを頼むのは自宅に来客がある際や、家族で外食が面倒くさい場合などに用いられてきた。コロナ後、一部の人はデリバリーから外の世界にグルメを求め帰っていったが、デリバリーの便利さを知ってしまった今、Kee Taが得意の「一人飯」を利用する消費者もまた多い。彼らはおよそ50~60ドル以内で迅速に配達されるこのサービスに満足している。

手厚いカスタマーサービス
低価格帯と聞くとサービスやオペレーションに不安を持つ方もいるだろう。Kee Taでは配達予定時間を15分以上過ぎた場合、購入額もしくは同等のクーポン券を贈与するなど、消費者に寄り添った補償を設けている。その分、ドライバーの意識の高さが求められるが、スタッフ教育や表彰制度を頻繁に導入し、モチベーションを高めることに成功しているようだ。
実はこのKee Taはすでに中東・サウジアラビアでオンラインプラットフォーム運営を始めており、フードデリバリーだけでなく、家電や日用雑貨など広範囲を網羅するビジネスモデルを構築中のようだ。香港だけでなく、世界の多くの都市で人目を引く黄色いアイコンのバッグを目にする日はそう遠くないのかもしれない。

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